高次脳機能障害について
高次脳機能障害とは
転落や交通事故などによる頭部外傷や脳出血・脳梗塞などの脳血管疾患、脳炎や脳症など、脳が損傷を受けることによって生じる認知面の障害のことをいいます。 脳が損傷を受けると、コミュニケーションをとる、必要な情報に集中する、記憶する、計算する、計画を立てる、感情をコントロールする、相手の気持ちを理解するなど、認知面に問題が起こり、日常生活や社会生活が難しくなってくることがあります。
障害の状態
次のような状態が単独、または重複して出現し、表れる程度にも強弱があります。
○記憶力の低下…物の置き場所を忘れる。予定や約束を忘れたり、ちょっと前のことを覚えていない。同じことを繰り返し質問する。
○注意力の低下…一つのことを続けられない。同時に複数のことができない。同じミスを繰り返す。気が散りやすい、作業が続けられない。
○遂行機能の低下…計画を立てて物事を実行することができない。人に指示してもらわないと何もできない。約束の時間に間に合わない。
○社会的行動障害…些細なことで激怒する。人づきあいがうまくいかなくなる。行動ブレーキが利かない、我慢できない。些細なことにこだわって、前に進めない。
こんなことに困っています
- これらの症状は、問題点が特定の状況にならないと見えてこないことがあります…周りから気付きにくく、また、本人も気が付いていないことがあります。わかりにくい障害であり、本人の性格だと誤解されることも多いです。
- 病気やけがが治ったようにも思えるのに、今までできていたことができなくなり、本人は混乱や不安の中にいることを理解しましょう…本人だけでなく、家族も、生活状況の変化や経済的なことで悩みを抱えておられるということに思いを馳せましょう。周りの理解が何より大切です。
- 外見からはなかなかわかりにくいため、周りの人から理解されにくく、本人自身も障害を十分に認識できないことがあります…日常生活や仕事、対人関係の面で、病気やけがの前と同じことができず、自信をなくし、不安になりやすいことを知ってください。
- コミュニケーションのサポートをしてください…話を聞いていても、内容が理解できず集団の中で取り残されたり、ほかの人に伝達することができず、誤解が生じたりする場合があります。話の輪に入れるよう配慮したり、間に入って理解を助けたりしてもらうとうれしいです。
サポート方法
- 記憶力の低下…大事なことはメモをとるように促しましょう。そして、きちんとメモができているか確認しましょう。忘れているときは、メモを見るよう声をかけて、一緒に確認しましょう。
- 注意力の低下…伝えたいことは、一つずつ、簡潔に伝えましょう。そして、その内容が理解できているかどうか確認しましょう。こまめに休憩するよう合図しましょう。テレビを消すなど、目に見えるもの、耳に入ってくるものを制限して、集中できる環境を作りましょう。
- 遂行機能の低下…なるべく決まった日課に沿って、生活するよう協力をお願いします。目につきやすいところに、日課を提示したり、スケジュール帳を利用するとよいでしょう。携帯電話のアラームやタイマーなども有効です。
- 社会的行動障害…カッとなったら、その場を離れたり、話題を変えるなどして、気分転換を図るようにしましょう。また、感情を刺激するようなものを避けるようにするのも一つの方法です。ほしいものや、やりたいことのコントロールが難しい場合には、本人と話し合って、最低限のラインを決めるなどの約束をし、紙に書いておきましょう。
高次脳機能障害に関する情報について
- 和歌山県高次脳機能障害支援普及事業支援拠点機関
電話相談・研修・普及啓発を実施しています。実施内容についてはこちらをご覧ください。 - 失語症者向け意思疎通支援者について
和歌山県では、令和元年度から「失語症者向け意思疎通支援者養成事業」を開始し、令和4年度からは養成した人材を支援が必要な方の元へ派遣する「失語症者向け意思疎通支援者派遣事業」を実施しています。