腸管出血性大腸菌感染症(O157など)について

腸管出血性大腸菌感染症(O157など)とは

注意喚起リーフレット、カラー(PDF形式 196キロバイト)

注意喚起リーフレット、モノクロ(PDF形式 168キロバイト)

病原体とは

大腸菌は、家畜や人の腸内にも存在します。ほとんどの種類の大腸菌は無害ですが、このうちいくつかのものは、人に下痢などの消化器症状や合併症を起こすことがあり、病原大腸菌と呼ばれています。病原大腸菌の中には、毒素(ベロ毒素)を産生し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こす腸管出血性大腸菌と呼ばれるものがあります。
腸管出血性大腸菌は、菌の成分によりさらにいくつかに分類されています。「O157」はこの腸管出血性大腸菌の一種で、正式には「腸管出血性大腸菌O157」と呼ばれています。この他にO26 、O111 、O128など多くの種類があります。

症状や潜伏期は

全く症状がないものから軽い腹痛や下痢のみで終わるもの、さらには頻回の水様便、激しい腹痛、著しい血便とともに重篤な合併症を起こす場合があります。

しかし、多くの場合(感染の機会のあった者の約半数)は、2日から14日(平均3日から5日)の潜伏期をおいて頻回の水様便で発病します。さらに激しい腹痛を伴い、まもなく著しい血便となることがありますが、これが出血性大腸炎です。発熱はあっても、多くは一過性です。
これらの症状の有る者の6パーセントから7パーセントが、下痢などの初発症状の数日から2週間以内(多くは5日後から7日後)に溶血性尿毒症症侯群(HUS)や脳症などの重症合併症を発症するといわれています。
激しい腹痛と血便がある場合には、特に注意が必要です。

感染経路は

飲食物を介する経口感染がほとんどで、菌に汚染された飲食物を摂取するか、患者の糞便で汚染されたものを口にすることが原因となります。ヒトを発症させる菌数はわずか50個程度と考えられており、少数の菌で感染が成立するため人から人へ二次感染を起こすことがあり、家族内での感染事例も多くみられます。潜伏期間が長いため、原因食品・感染源の特定が難しいのも特徴です。また、動物と接触することにより感染した事例も報告されています。

原因食品

日本では、肉類、サラダ、野菜、井戸水などが、外国では、ハンバーガーなどのひき肉を用いた食品、生野菜、果物、アップルジュースなどが原因食品となった事例がみられます。このように腸管出血性大腸菌O157 等はさまざまな食品から見つかっています。

家族がかかった場合の家庭での注意点

まず必要なことは、患者さんと同じ飲食物を摂取した家族が感染していないかどうか、あるいは患者さんから家族への感染がないかどうかの診断を受けることです。この時に便の検査は、症状がなくても行われることがあります。同時に、家庭内の消毒についての知識を得て、必要な範囲での消毒を行います。また、2次感染予防のために、日常生活での患者さんへの接し方についての知識を得て実行することが大切です。これらのことは保健所の職員が指導していますので、良く聞いて、分からないことがあれば質問してください。

感染予防の注意点

1 手洗いの励行

トイレの後や、調理の前、食事の前には、石けんと流水でよく手を洗います。
患者の便を処理する場合(おむつの交換など)にはゴム手袋や使い捨ての手袋などを用います。手袋を用いた場合も使用後には手を洗います。また、おむつ交換による汚染の拡大を防止するため、決められた場所で行います。
患者の世話をしたときは、手を洗った後、逆性石けんまたは消毒用アルコールで消毒(速乾性手指消毒薬が適しています)を行います。
ペーパータオル、個人の専用タオルで水気をふき取る。タオルの共用はしないようにします。

2 消毒

患者が使用したトイレ、洗面所等のドアのノブなどを消毒します。
(逆性石けんまたは両性界面活性剤などを規定の濃度にうすめて布に浸して絞り、拭き取ります。)
患者が使用した衣類などは、家庭用漂白剤につけ置きした後、洗濯します。

逆性石鹸のうすめ方

  • 便器等消毒の場合(0.2パーセント)
    市販されている10パーセント逆性石鹸2に対し、水98の割合で混ぜる。
    タオル等に消毒液がある程度残留する位十分量をしみ込ませて確実に拭き取ってください。
    (例)バケツ一杯分(約10リットル)つくるには、 消毒薬200ミリリットル対9800ミリリットル
  • 家庭用漂白剤のうすめ方食器の場合(0.01パーセント)
    消毒薬に30分以上浸漬後水洗いする。
    (例)1リットルつくるには、家庭用漂白剤2ミリリットル対水998ミリリットル
  • 着衣の場合(0.05パーセント)
    消毒薬に30分以上浸漬後、洗濯する。
    (例)バケツ一杯分(約10リットル)つくるには、 家庭用漂白剤100ミリリットル対水9900ミリリットル 

3 食品に対する注意

大腸菌は熱に弱いので、仮に食品が大腸菌に汚染されていたとしても、十分に加熱(75度、1分間以上)すれば安全です。
生肉の調理に使用したまな板、包丁、食器等はよく洗浄した後、熱湯などで十分消毒します。(そのまま他の調理に使わないよう注意します。)また、生肉を扱った後は、よく手を洗います。
野菜を生で食べる場合は流水で十分洗浄します。ブロッコリーなど複雑な形のものはゆでるなどして加熱します。
焼肉の時は、生肉を取るはしと食べる時に使うはしを別々にします。
調理した食品はなるべく早めに食べます。

4 患者入浴時の注意

患者はできるだけ浴槽につからず、シャワー又はかけ湯を使います。
患者が風呂を使用する場合は他の家族と一緒にはいることは避け、乳幼児は患者の後に入浴しないように気を付けます。お風呂の水は毎日替えます。

バスタオルは、ひとりで一枚を使用し、共用しないようにします。

5 プール使用時の注意

遊泳用プールについては衛生基準が設定されており、それに従って塩素による消毒がされています。また定期的に、プールの水に大腸菌群が含まれていないかどうか調査しています。
家庭用プールについては、水道水(いわゆる塩素消毒されている上水道の水)を利用し、使用のたびに水を交換しましょう。また、患者や下痢をしているこども等は、プールに入らないようにします。

リンク

このページの先頭へ