木に実るじゃばらを手にする宇城公揮さん

北山村の“じゃばら”収穫量のうち6割を担う村営農園の管理責任者・宇城公揮さん。

和 vol.59

【わかやま産品 テロワール】
vol.03

【わかやま産品 テロワール】じゃばら

テロワールはフランス語で「風土、土地」を意味する「terre」から派生した言葉。地理、地勢、気候、こだわりの栽培法や確かな技術により栽培される農作物の生育環境全体を指す。和歌山県の恵まれた自然や気候、土壌環境、生産者のこだわりが集結した産品のテロワールにも注目し、それぞれの魅力を再発見してみよう。

日本唯一の飛び地の村で
発見された柑橘
まろやかな酸味と、
ほのかな苦みが独特
じゃばら

緑色の皮のじゃばらの果実とじゃばらの横断面

"じゃばら"はミカン属の柑橘類。ゆずよりも果汁が豊富で、 北山村では昔からさんま寿司などの食酢にも利用する。

 奈良県と三重県に囲まれた日本唯一の飛び地の村“北山村”は四方を山に囲まれ、北山川が村を貫く。

 “じゃばら”栽培の歴史は、村内の家の庭で見つかった一本の木から始まる。「他の柑橘類と異なる味わいがある」と噂になり、村が専門的な調査や分析を実施。新種と判明し、1979(昭和54)年に種苗登録された。“じゃばら”の名前は「邪気を払う」ほど酸味があることに由来する。村が主導して生産体制を構築し、現在は北山村全体で8ヘクタール、約5000本を栽培する。年間収量はおよそ110トンで、生産量は日本一。村営農園の管理責任者・宇城公揮さんは「村営農園の果実には種がほとんどなく、当時の方々は原木から接ぎ木で増やしたと聞いています。“じゃばら”は酸味もありますが糖度も高く、味のバランスが良いことが特徴で、村内で一定の生産量を維持できるよう努めています」と話す。

 北山村は朝晩の温度差があり、季節によっては雲海が出現するほど湿度が高い。風が抜けにくい地形は決して柑橘栽培の適地とはいえない自然環境だ。「病気の発生も多いため、栽培方法は近隣の柑橘農家や果樹試験場の知見を取り入れています。薬剤散布を極力減らし、除草剤を使わないため、夏は草刈りの繰り返しで苦労しますが、畑の草は土壌流出も防いでくれます」。皮の残留農薬はほぼなく、果汁も皮も全て加工され、さまざまな商品が生まれる。

北山村のご紹介

北山村は紀伊半島の中央部に位置し、東西20km、南北8km。村の93%を山林が占め、北山川が悠々と流れます。林業と川の文化に支えられた村の主な産業は「北山川の筏下り」と、「“じゃばら”の生産」。

左)北山村の位置を示すイラスト、右)村の主な産業である「北山川の筏下り」のようす
じゃばら加工品

果汁、ポン酢、キャンディーなど多彩な加工商品がある。北山村の道の駅「おくとろ」内の売店でも購入できる。

北山村の道の駅「おくとろ」内で販売されるじゃばら加工品

 “じゃばら”には、フラボノイドの一種であるナリルチンが豊富に含まれる。「20年ほど前、花粉症対策としても注目されると多くのメディアで紹介され認知度が上がり、村を支える産業に発展しました。村には移住者も多く、繁忙期には収穫作業などに携わっています。今後も村がチームとなり、“じゃばら”を守ります」と宇城さん。一本の原木から始まった“じゃばら”は、これからも村の産業として大切に守られていく。

おいしく食べて和歌山モール

「食の宝庫」である和歌山県で、作り手たちが心を込めて生み出したおいしい“食”。それらを集めて和歌山県食品流通課が運営する紹介サイトです。豊かな自然環境と、さまざまな発酵食品のルーツとなった和歌山県の“食”をぜひご体験ください。

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