「山の環境保全と林業の振興に必要な健全な苗木を育てていきたい」(井内さん)。
苗木作り
生産設備の改良など、
高品質な苗木作りに取り組み、
循環型林業を支えていく
循環型林業を支えるうえで欠かせないのが苗木の生産だ。山に植える苗木の一本一本が、数十年後の森林を作るからだ。山の更新を支える苗木を安定して供給するため、和歌山県山林種苗協同組合の理事長・井内優さんは、同組合員の技術向上や経営の合理化、和歌山の山に適した高品質な苗木の生産に向き合っている。井内さんが経営する井内屋種苗園は、100年以上にわたり山林用の苗木生産を続けている。現在は最新の生産設備の導入や改良を進め、効率的な苗木の生産や品質管理のシステム化に注力する。
➀充実種子選別装置を使うと、発芽率90%以上の種子が精選できる。 ➁発芽後に一定期間育成した苗木をコンテナへ植栽する。
地産地消型の木材活用は、
森林機能の維持・促進や
地球環境保全にも貢献する
苗木は、県の林業試験場が管理するスギやヒノキ等の母樹園で採取した優れた遺伝子を持つ種子から育てられる。発芽には温度や湿度、水分量の管理が重要で、わずかな環境の違いが生育に影響する。種子は一定の温度と湿度が保たれた発芽室で管理され、発芽後は育成施設へ移される。育成段階では、光量や水分を調整しながら根と幹をしっかりと育て、山に植えた後も健やかに生長できる苗木に仕上げていく。
厳しい山の環境に適応させるためにストレスを与えて「順化」させる。そのため出荷直前の苗木は全体が褐色に変化する。
井内さんは「山の伐採や植え替え予測から受注量を想定しますが、1ヘクタールに2500本ほど苗木が必要です。スギやヒノキは発芽率が20〜30%と低いうえに、発芽から出荷まで約2年を要するためコストがかかります。高品質な苗木を安定して育てるには技術革新が必要だと考え、コンテナ苗の生産に力を入れ始めました」と語る。コンテナ苗は根が土に包まれた状態で育てられる苗で、山にそのまま植えられる。苗を畑から掘り起こす時に根が切れる課題を解消し、根が真っ直ぐ均等に伸びて育つため植栽後に活着が良くなるメリットがあり、安定した生長が期待できる。そのほか、乾燥に強く通年植栽が可能であること、小さい植穴で植えられることなど、コンテナ苗は植林の低コスト化に重要な役割を果たす。「森林は土砂災害を防ぐなど多くの役割を持っています。山の若返りのため、林業従事者が一体となって循環型林業を目指したい。ただ人手不足や高齢化は深刻な問題です。人材の若返りや定着のため、技術の追求だけでなく作業者にやさしい生産体制も模索し、新しい林業を目指していきます」(井内さん)。
❶土に分解される非石油系の不織布で作られた容器で育て、根の様子の確認や植え替えの省力化を行う。 ❷コンテナの重量チェックを行うなど水、光、温度の生育環境を数値で管理し、苗の生育を安定させる。
問い合わせ先
和歌山県山林種苗協同組合
和歌山県森林組合連合会内
電話/073-424-4351
第49回全国育樹祭が
開催されます
全国育樹祭は、継続して森を守り育てることの大切さを普及啓発するため、1977(昭和52)年から毎年秋に開催されている国民的な緑の祭典です。和歌山県では初めての開催となります。
- お手入れ行事
新庄総合公園(田辺市) - 開催日 2026(令和8)年11月8日(日)
- 式典行事
白浜会館(白浜町) - 開催日 2026(令和8)年11月7日(土)
