木を使う
粘り強さや耐久性、
美しさを持つ紀州材は
多くの建築物に選ばれる
和歌山県内の温暖多雨で急峻な地形から産出される紀州材は、住宅や公共施設、民間の非住宅建築物等で利用される。建築物の木造化に取り組む和歌山県建築士事務所協会会長の城本章広さんは「紀州材は年輪が緻密で木目が細かく、粘り強さもあり、高い強度を持っています。その特性は県が行う各種試験や測定結果で証明されています。見た目の美しさもあり、評価が高い木材です」と話す。同じ寸法の木材と紀州材を比較すると、強度は上回る性能があるものが多く、構造材に適しているという。
同協会では紀州材の積極的な活用を推進し、建築物への利用拡大を図るため、木造化に向けた支援を行っている。木材が持つ調湿性や紀州材の美しい木目を生かして用途に応じた設計をすれば、構造材以外にも多くのパーツに木材を使用できるという。推進する理由の一つは、戦後に植えられたスギやヒノキが伐採期を迎えており、その木を伐って使い、再び植える循環を保ち、山の健やかさを守りたいという思いだ。「耐久性に優れた木造の建築物は、100年でも持つと言われています。良質な紀州材を継続的に育てるためにも、伐採期を迎えた木を伐って使うサイクルを支えていきたい。適材適所の活用方法を提案し、利用促進を続けます」(城本さん)。
「紀州材を確実に確保するため、調達計画作りも支援します」(城本さん)。
木材は炭素を長く蓄える性質を持っているため、建築物に利用すれば、大気中へのCO2の放出を防ぐ「カーボンストック」としての役割も期待ができる。さらに、鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べ、製造から利用・廃棄までに排出されるCO2を抑えられるという。伐って、使って、植えて、育てるの過程でCO2排出量が少ない木材は、脱炭素社会に貢献できるサステナブルな建築資材なのだ。
紀州材は県内で生産、製材、加工された木材であり、地元での活用が進めば、資材輸送による環境負荷も抑えられる。山から紀州材を伐り出し、建築物の木造・木質化を促進することは、環境にやさしく、森林や地球環境を守ることに繋がる。
地産地消型の木材活用は、森林機能の維持・促進や
地球環境保全にも貢献する
木造化 公共建築物利用 高野山こども園
建て替えを機に、世界遺産・高野山の町並みに調和させるとともに、こどもたちが木に親しみながら成長する環境を目指して木造化。県内の製材所から調達した紀州材は塗装を抑え、木の風合いや経年変化を楽しめる木造園舎とした。
木の温もりを裸足で感じられるよう床暖房を採用。
➀クラス名に合わせてデザインした木製看板を設置した。➁室内には木の香りが漂い、五感を刺激する。➂広さは848平米で、最大75人が利用可能。
問い合わせ先
高野町教育委員会
木質化 民間非住宅建築物利用 ハピネスちかつゆ 夢
インバウンド利用が多いエリアの宿泊施設と食堂。和歌山の風土をより感じてもらえる空間作りのため、紀州材をできる限り活用。特に良質な材料を目立つパーツに使用するなど、紀州材の印象が残るよう木材選定に工夫を凝らした。
宿泊施設は床やドアなど内装にも紀州材を使用。
❶大きな木製看板が利用者の目を引く。 ❷窓からは季節ごとに表情を変える木々が見える。 ❸食堂のテーブルセットも紀州材で制作した。
問い合わせ先