2025(令和7)年はブドウハゼの収集にも部員が初参加し、地域活動の幅を広げている。
掛け合わせの妙を探せ!
消えゆく
「地域の宝」を活用
生徒の熱意が
地域の火付け役
紀美野町の里山にある、りら創造芸術高等学校。「りらファクトリー(地域おこし部)」は、地域特有の産物で町を盛り上げる活動を続けている。特に、和歌山の特用林産物の利活用に注目し、“和ろうそく”の原料になるブドウハゼや、高野山の灯明油として重宝された「榧」を使った商品の開発を行う。常緑針葉樹である「榧」は、実に脂肪分を多く含み、貴重な生活資源として利用されてきた。
2025(令和7)年9月、高野山金剛峯寺へ榧油の奉納式を行った。「厳かな空間で油に火が灯ると感動しました」と部員たち。
かつて町内で栽培していたハゼノキの品種の一つであるブドウハゼは、栽培する人が徐々に減少していたが、2017(平成29)年、枯死したとされていた原木を生徒が地元住民の聞き取りをもとに発見。その実から作られる天然製法の蝋の希少価値を知った部員たちは、コスメ商品「マルチバーム キノミノリ」を開発し、商品化した。町内の栽培復活への気運上昇に一役買っている。「榧」の実を原料とする油の製造も途絶えていたため、榧の実を収集して油を抽出し、約150年ぶりに高野山金剛峯寺へ奉納した。
ブドウハゼの蝋と榧の精油を使用した「マルチバーム キノミノリ」。
顧問の志茂梨恵教諭は、「活動の方向性は大人が答えを用意せず、生徒自身が意味を見出すまで待つこと」と話す。自分たちで考え、悩み、地域の人と対話を重ねるからこそ、熱意は本物になるという考えからだ。生徒たちは「地域の自然がより好きになりました」「山には宝物が埋まっていると気づきました」と話す。その熱心な取り組みにより、地元で榧を使った商品販売を始めようとする人が現れるなど、地域全体に変化が起こっているという。「地域活動を高校生時代の思い出づくりで終わらせず、確かな地域産業として根付かせていきたい」(志茂先生)。生徒たちの活動がきっかけとなり地域へ波及し、本物の産業再生へと繋がっている。
ブドウハゼの実