「山は管理すれば高品質な木が多く育つ。そのためにも林業に携わる人を増やしていきたい」と辻𦚰さん。
次世代へつなぐ
林業を通して
未来を拓く、
新しいつながり
技を学び、継承する人材育成が、途切れない循環を生み出す
和歌山の山を忘れられず転職Uターン
大学校で知を学び、現場に生かす
清水森林組合 辻󠄀𦚰奈津実さん
(林業研修部 修了生)
郷里・和歌山の山で遊んだ楽しさが忘れられず理学療法士から転職を決意し、Uターンした辻𦚰奈津実さん。2024(令和6)年4月から1年間、県農林大学校林業研修部で実践的な技術や知識、林業経営を学び、在学中のインターンを経て清水森林組合へ就職。先輩とチームを組み、木と向き合う日々を送る。
❶現場の状況に応じてその都度先輩が丁寧に教え、チームで安全に作業を進める。 ❷一本ずつ適切な方法を考えながら伐採する。
一本の木が育つまでには長い時間がかかる。その循環の中に関われることにやりがいを感じ、現場を任せられる人材になりたいと努力の日々だ。「身近な木製品や建物がどこから来た木なのか、思い浮かべながら山を見てくれる人が増えるようにしていきたい」(辻𦚰さん)。山を守る技術と経験を受け継ぐ人材の育成が、林業の未来を支えていく。
森林の課題に取り組み、
価値を生み出すプロジェクト
虫食い材を手仕事で個性にし、
熊野の森の未来を守るプロジェクト
BokuMoku
「熊野の山を守る」という想いに共鳴した育林・製材・設計・製作・家具販売のプロフェッショナルが2018(平成30)年に結集し、立ち上げたクリエイティブユニット「BokuMoku」。田辺市を拠点に「 川上(森)」から「川下(消費)」まで一気通貫で担う。家具店の4代目であり、チームの代表を務める榎本将明さんは「虫食いの穴があると建築資材には選ばれづらく、同じ木でも価値が下がります。少しでも虫食いがあると、その木は廃棄されることが多いのですが、視点を変えることで、市場価値を上げたいという思いがありました」と話す。
「木材は貴重な資源です。全て有効活用して価値を守っていきたいです」(榎本さん)。
「虫食い材」の穴や傷を個性と捉え、デザインで見せ方に工夫を凝らし、自然の風合いや木の温もりを感じられるインテリアに生まれ変わらせる。メンバーの岩見木工所の岩見桂道さんは「『虫食い材』は表情が豊か。それを個性として楽しんでくれる人がいることがわかり、とても嬉しいです」と話す。商品を仕上げるには、木の断面に合わせて一つひとつ穴を削って埋める等の作業が必要だ。通常の加工より手間暇はかかるが、今後も商品点数や販売ルートを増やす予定だ。積極的に「虫食い材」を活用して山の循環を促し、熊野の森を守りたいというチームの熱い思いがあった。
➀「虫食い材」は虫食いの穴を削り、パテで埋める等の工程を経て、家具や雑貨に使用される。 ➁木工キットを使った子ども向けワークショップも行い、山を身近に感じてもらう活動も行う。
問い合わせ先
木材市場で木を買い付けて製材し、
商品化まで一気通貫のものづくり
杢美
木材の街として長い歴史を持つ熊野エリアに拠点を置く「杢美」は、木材の仕入れから製材、加工、製品設計、販売までを一貫して行い、紀州材を多様な形で顧客に届ける。一本の木を用途に応じて切り分け、端材も無駄なく使うことを信条とする。大工として修行後に故郷へUターンした代表取締役・倉谷良太さんは「紀州材は木目が美しい。その美しさを最大限に生かすものづくりにこだわっている」と話す。
9人のデザイナーや職人が在籍し、新宮市と三重県に事務所兼ショールームを構える。
顧客が希望する名前やロゴの彫刻にも対応する。
近年は環境配慮の観点から木製品への関心が高まり、大手企業から記念品や販促品の制作依頼も増えている。一方で、木に触れる機会の減少や関心の薄れも感じるという。木を好きな人が増えれば将来的に人材不足も解消できるとの思いから、仲間とともに小学校で木工教室を行い、木の役割や魅力を伝える活動も続ける。「木材産業で地域を盛り上げたい。高まるニーズに柔軟に応えられるよう人を育て、紀州材をより多くの人に届けることが使命です」(倉谷さん)。
➀作業場に隣接する「新宮原木市場」で木材を買い、乾燥させて加工する。 ➁オーダー家具やオリジナル什器の注文も多いという。
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