
淡緑色が美しくふっくらとしたうすいえんどう。栽培は繊細で機械化が難しく、種まきからわき芽取り、収穫まで一つ一つ手作業で行われる。JA紀州豆部会は、人手不足や設備費の高騰など課題がある中で、作付面積や出荷量の減少を抑えるため、県と連携して、栽培方法の改良や新品種の開発に努めていくという。
【わかやま 食の新発見】
いわゆるグリーンピースとは味が違う うすいえんどう [生産量日本一]
大粒で甘みが強いのが特徴で、関西では春の野菜として親しまれている“うすいえんどう”。サヤの中に詰まった実を食べる実エンドウの一種で、一般的なグリーンピースに比べ、皮が薄く、ほくほくとした食感を楽しむことができる。
明治時代にアメリカから導入された後、大阪で栽培が始まり、より気候の適した和歌山へと広まる。全国有数の産地となってからは品種選抜が重ねられ、その結果、県の特産ブランドとして今の“紀州うすい”が生まれた。日本一の生産量を支える日高地方を中心に、多くの手仕事を経て収穫されたものが10月~6月にかけて出荷される。関西での引き合いが強く、関東に出回るのはごくわずかだが、地元では豆むき大会が行われるなど、こどもたちにも親しまれる食材として知られている。

「グリーンピースと混同されるのですが、味や香り、食味もひと味違います」と話すのは、JA紀州豆部会みなべいなみ支部長の岡田好浩さん。夏場の一時期を除きほぼ通年出荷できるよう、露地やハウスでの栽培が行われている。みなべ町では、梅づくりの閑散期に栽培できると複合経営している農家も多いそう。

豆の香りとほくほくとした食感が引き立つ、関西では定番の“豆ごはん”。サヤに焦げ目がつくまで焼き、塩をふるだけの“焼きうすい”は豆本来の味が楽しめ、お酒のお供にもぴったり。

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