たくさん実ったみかん
和 vol.56 【特集】
果樹王国和歌山。その秘密 -2-

果樹王国 和歌山

 緑豊かな和歌山は県土の約8割を山林が占めている。その斜面を利用した果樹栽培が盛んに行われており、南北に長く起伏に富んだ地形や気候、豊富な日照量などを生かし、多種多様な果実が生産されている。その栽培の歴史は記録に残っているだけでも400年以上前まで遡る事ができ、先人たちが積み重ねてきた多くの知恵と工夫により産地が形成され、発展してきた。
 和歌山の代名詞ともいえる“梅”や“みかん”、“柿”は日本一、“桃”は西日本一の生産量を誇る。また、県内農業産出額の約7割を果実が占め、その金額は毎年、全国トップクラスに位置していることが、「果樹王国 和歌山」とよばれる所以である。

梅・みかん・柿・桃の他にも
自慢のフルーツがたくさん

①はっさく/②いちじく/③いちご/④じゃばら

①はっさく:甘みと酸味、苦みの絶妙なバランスが特徴。生産量・産出額ともに日本一。 ②いちじく:食物繊維を豊富に含み、健康食として注目。生産量・産出額ともに日本一。 ③いちご:県のオリジナル品種である“まりひめ”は、甘みが強く程よい酸味で、ジューシーだと人気。 ④じゃばら:日本で唯一の飛び地の村「北山村」で発見された柑橘。

 異なった品目や品種の栽培、収穫期間の延長や貯蔵方法の工夫などにより、出荷時期をずらすことで、和歌山県産の果実を一年を通じて味わうことができる。これは、柑橘などの“常緑果樹”の一大産地と、梅や桃といった“落葉果樹”の一大産地が併存するという珍しい県だからこそともいわれている。また、長年トップブランドとして君臨している“南高梅”をはじめ、“有田みかん”“あら川の桃”といった地域ブランドや、“紀の川柿”という栽培方法の工夫により生まれたブランドも定着している。加えて、紀の川沿いに広がる「桃源郷」やみなべ・田辺地域の「梅林」など、開花期には生産地が景観を楽しむ観光地になっているのも特徴だ。
 和歌山の自然や風土、そして長年にわたり取り組んできた品種や栽培方法の改良、産地を支えてきた人々の思いによって「果樹王国 和歌山」は作られたのだ。そして今も、人手不足や気候変動への対応、国内外の販路開拓といった新たな課題へのチャレンジは続いている。

年間を通じて楽しめる和歌山の果実

和歌山の果実の旬を記したカレンダー

和歌山県の取り組み

大手飲料メーカーに向けに開催した和歌山の果実を紹介するための勉強会の様子

大手飲料メーカーに和歌山の果実を紹介するための勉強会を開催

 県では産地の維持や農家の所得安定に向け、販売促進や販路開拓にも取り組んでいる。バイヤーや消費者へのPRは国内にとどまらず、拡大する海外市場への輸出も支援しており、これからも生産者と一緒に「果樹王国 和歌山」を守る事業を展開していく。

東京都有楽町にある和歌山県アンテナショップ「わかやま紀州館」

~和歌山県アンテナショップ『わかやま紀州館』のご紹介~

 東京都有楽町にある和歌山県アンテナショップ「わかやま紀州館」にはイートインコーナーがあり、果樹王国ならではのみかんや桃、梅を使ったジェラートやソルベ、GI(地理的表示)に指定されている和歌山梅酒など、美味しい果実を使用した商品を提供している。