
1月の寒い日でも次の収穫に向けて、島田さん(右)とわきあいあいと話をしながら、梅の枝を剪定していた梅農家さんたち。左から山本康雄さん、貴子さんご夫婦と、東光淑行さん。
都市と地域の人を繋ぐ
梅収穫ワーケーション
60年連続、梅の生産量日本一を誇る和歌山県。それでも生産者の高齢化に伴う担い手不足は避けられない課題である。そこで課題解決につながる取り組みとして注目を集めているのが“梅収穫ワーケーション(以下、梅ワー)”だ。「5月~7月の間、都市部で働く人々が梅農家さんの作業をお手伝いするため、みなべ町を訪れています。青梅をもいだり、完熟して梅畑に落ちた梅の実を拾うなどの単純作業ですが、梅農家さんと参加者の双方にとって良いことがたくさんあるんです」と語るのは、(一社)日本ウェルビーイング推進協議会代表理事の島田由香さん。都市部からの参加者にとって、一次産業の現状を肌で感じることができるだけでなく、心身のリフレッシュや作業に没頭することで集中力を高めることにも役立てられるという。2022年にスタートしたこの取り組みは、翌年から企業向けの人材育成プログラム“TUNAGU”となり、他地域にも好影響を及ぼすなど、さらなる広がりを見せている。

没頭没入の梅収穫作業で心と身体もリフレッシュ! 写真は2022年度の体験者たち。
また、梅ワーは地元梅農家にとってもプラスに働いている。受け入れ農家である山本康雄さん・貴子さんご夫婦、東光淑行さんたちは「繁忙期は畑と家を行き来する生活ですが、都市部からの参加者との交流を通じて、リフレッシュできるようになりました。すきま時間には参加者の方にSNSの始め方を教えてもらったりして、梅ワー後も連絡をとりあうような関係になり、今では新しい親戚が増えたような気持ちです。また、他県の柑橘農家さんが手伝いに来てくれたことをきっかけに、地域や栽培品目をまたいでの交流も始まりました」。まさしく人と人、心と心を繋ぐ体験であり、継続的な繋がりは、地域の人手不足を解決するひとつの策であるかもしれない。

新しい剪定方法などの研究にも積極的に取り組み、島田さんも枝切りハサミをもって、農家のみなさんと技術情報をシェアしている。
住所/沖縄県南城市玉城船越218-1
電話/070-9061-1542