
「自然豊かな和歌山に移住することを告げると、虫が好きだから3人とも飛び上がって喜んでくれて」とご夫婦。一家で田舎暮らしを楽しんでいる。
Wakayama移住定住ヒストリー
移住で叶えた夢の先、
新たな家族の未来
西牟婁森林組合勤務 ● 久保田 遊己さん 由子さん
遥か昔から熊野古道の主要ルートとして、熊野三山をめざす巡礼者たちが行き交かった田辺市中辺路町に移住した久保田さんご家族。夫の遊己さんは、兵庫県尼崎市で家業を継ぐも、漠然と自然豊かな場所での暮らしに憧れを抱いていたという。移住に向けて動き出したのは長男が生まれてすぐ。移住するなら自然豊かな場所で、その地域ならではの職に就きたいと考え、林業のセミナーを見つけ参加したが、未経験の分野に飛び込むことに不安を感じ、移住にまでは至らなかった。その後、3人のこどもに恵まれた遊己さんと妻の由子さんは、こどもたちの成長と共に、都会のマンション暮らしにストレスを感じ、再び移住イベントに参加した。「林業の学校があることを知り、安全に仕事をするための知識や技術を身につければ、転職しても家族を養っていけると明るい未来を描けました」。また、尼崎市にいる頃から何度も和歌山を訪れていた遊己さんは、和歌山の自然に癒されていたことや由子さんの後押しもあって、和歌山県農林大学校林業研修部への出願を決め、晴れて入学。2022年、久保田さんご家族は念願叶って中辺路町に移住した。

家の裏の畑で家庭菜園を始め、白菜や大根など無農薬野菜の栽培にチャレンジ。

毎日薪を燃やしてお風呂を沸かす。「スイッチひとつでできることを、時間をかけて行う。この暮らしを楽しむのが田舎暮らしの醍醐味」。
農林大学校で1年間みっちりと学び、林業の技術を習得した遊己さんは、西牟婁森林組合に就職。「造林」の部門に配属され、木を植え、育てるという日々を送っている。「この木が出荷されるのは50年100年と先のことですが、未来を作る仕事だと思うとやりがいを感じます」と熱い思いを語る。一家の新しい挑戦はこれだけにとどまらず、由子さんは尼崎に住んでいた当時に習得したアロママッサージの資格をいかし、移住後に自宅サロンをオープン。今では近隣の人だけでなく、古道歩きに疲れた人たちも利用する癒し処となった。また、外国人観光客と挨拶を交わす機会も多く、長男は「外国語を学び、留学したい」という夢を見つけた。久保田さん家族は、豊かな自然の暮らしの中で、新たな夢を描きながら、それぞれの未来に向かい一歩ずつ進んでいる。

家族と共に由子さんのお父様もご近所に移住。おじいちゃん手作りの小屋は、三兄弟の隠れ家に。

自宅の一部屋をアロママッサージの施術室に改装して、心身の癒しを追求。

自宅から近露王子まではすぐ近く。世界遺産・熊野古道を身近に感じながら、近所の方と交流する日々。
木を生業にし豊かに暮らす

伐倒する木に印を付ける。農林大学校で学んだ技術を実践し、経験を積んでいく。

植栽ができる状態にするため、獣害防止ネットを張る支柱を打ち付ける作業。

刈払機を使って下草を刈り、木を伐採した跡地を整理することで、新たに植栽するスペースを作る。新たな木々が育つための第一歩。

週に1度、自宅の庭先で薪割りを行う。熊野古道を歩く人から「頑張って」と声が掛かることもあるそう。