「和歌山県障害者差別解消条例(仮称)」骨子案
1 目的
全ての県民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に寄与することを目的とする。
2 定義
- 障害者
- 社会的障壁
- 不当な差別的取扱い
- 事業者
3 基本理念
障害を理由とする差別の解消の推進等は、全ての県民が障害の有無にかかわらず、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられなければならないことを前提に、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。
- 全ての障害者は、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること。
- 全ての障害者は、どこで誰とどのように生活するかについて自らの意思によって選択する機会が確保されること。
- 全ての障害者は、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されること。
- 全ての障害者は、その性別、年齢その他複合的な要因により特に困難な状況に置かれる場合、その状況に応じた適切な配慮がなされること。
- 障害を理由とする差別及び社会的障壁に係る問題は、全ての県民の問題として認識され、障害者と障害者でない者が共に学び合うことにより、その理解が深められること。
4 県の責務
県は、障害を理由とする差別を解消するために必要な体制整備を図るとともに、共生社会の実現に向けた施策を総合的かつ計画的に策定し、実施する。
5 国等との連携
県は、体制整備を図り、施策を策定し実施するに当たっては、国、市町村、事業者、県民、障害者団体と協力し、連携して取り組むものとする。
6 事業者及び県民の責務
事業者及び県民は、障害及び障害者について理解を深めるとともに、県が実施する障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
7 障害を理由とする差別の禁止等
- 何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。
- 県及び事業者は、その事務又は事業を行うに当たり、不当な差別的取扱いをしてはならない。
- 不当な差別的取扱いに該当しない正当な理由があるときは、当該障害者に対し、その理由を説明し、理解を得るよう努めなければならない。
- 県及び事業者は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合、実施に伴う負担が過重でないときは、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。
- 負担が過重であることにより合理的配慮が実施できないときは、意思の表明を行った者にその理由を説明し、理解を得るよう努めなければならない。
8 障害を理由とする差別を解消するための体制
- 県は、障害を理由とする差別に関する相談に対応する。
- 障害者及びその家族等は、相談による解決が見込めない場合は、知事に対し、和歌山県障害者差別解消調整委員会によるあっせんを申し立てることができる。
相談体制
- 相談窓口では、相談者からの相談に対し、助言や情報の提供、関係者間の調整、関係行政機関への通知などを行う。
紛争解決の体制
- 相談によっても解決に至らない場合、相談者は知事に対してあっせんを申し立てることができる。
- あっせんの申し立てがあったときは、知事は事案の調査を行い、紛争事案の解決に必要があると認められる場合は、調整委員会にあっせんを付託する。
- 調整委員会は、あっせんの付託があった場合は、あっせんを行う。
- 事業者が正当な理由がなくあっせんに従わない場合、知事は障害を理由とする差別の解消に必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
- 事業者が正当な理由がなく勧告に従わない場合、知事はその旨を公表することができる。
9 障害を理由とする差別を解消するための施策
1. 普及啓発
- 障害及び障害者に関する正しい知識の普及及び啓発を実施する。
2. 学校教育における理解の促進等
- 障害に関する正しい知識を得るための教育が行われるよう、情報を提供する。
- 障害者と障害者でない者が共に学び、障害の有無に関わらず十分な教育を受けることができるよう、必要な支援体制の整備及び充実に努める。
3. 雇用及び就労の促進
- 障害者の職業選択の自由を尊重しつつ、能力に応じて適切な職業に従事できるよう、また、職場への定着を促進するよう努める。
4. 意思疎通等の手段の利用促進等
- 手話、要約筆記、点字その他の障害の特性に応じた障害者の意思疎通並びに情報の取得、利用及び発信のための手段が広く利用されるよう必要な施策を講ずる。
- 障害者の意思疎通並びに情報の取得、利用及び発信を支援する者の養成、確保及び資質の向上のために必要な施策を講ずる。
- 障害の特性に応じた意思疎通並びに情報の取得、利用及び発信のための手段を利用して、県政に関する情報を発信するよう努める。
5. 人材の育成
- 専門的な知識及び技能を有する人材の育成に努める。
10 施行期日
この条例は、公布日から施行する。ただし、事業者による合理的配慮の提供の義務及び紛争解決体制の整備については、令和6年4月1日から施行する。