第4章第2項(東牟婁圏域)

〈東牟婁圏域〉

【構成市町村】 新宮市、那智勝浦町、太地町、古座川町、北山村、串本町
 【面積】 922.45k平方メートル
 【人口】 65,786人(平成29年4月1日現在)
 【高齢化率】 39.0%(平成29年1月1日現在)

  • 圏域面積は、県土の約5分の1と広大な面積を有していますが、その大半は山間部となっています。県境に位置しているため、生活圏域は他県にまで及んでいます。また、公共交通機関の整備は充分といえず、交通の便が悪い地域でもあります。圏域人口は 減少傾向にあり、過疎化が進んでいます。高齢化率も県平均30.9%を大きく上回る状況です。

1 圏域の現状と課題

〔指定障害福祉サービス等〕

  • 山間部では障害福祉サービスの事業所が少なく、市街地の通所サービス等を利用するにも、長距離の送迎等のサービスが必要であり、身近なところで必要なサービスを受けることができるよう、各地域でのサービスの確保や圏域内でのバランスのとれた配置が求められています。
  • グループホームは、障害のある人の地域での自立のための受け皿として、需要がありますが、その数は十分ではなく、特に精神に障害のある人が利用可能なグループホームについては整備が遅れている状態です。また、在宅からの自立に向けた利用の需要も増加しており、その整備が求められています。
  • 圏域内に重症心身障害児者のための短期入所を提供する事業所がなく、医療的支援の提供サービスについて不足しているため、充実を図っていく必要があります。
  • 今後、障害のある人とその家族双方の高齢化により、さらに各種サービスの需要が増加すると予想されます。また、家庭環境の変化等により就学前・学齢期のサービスの需要が高まっており、今後も増加すると予想されます。
  • 精神障害のある人に対するサービスとしては、居住の場の確保や、就労移行支援等の地域生活に定着するためのサービスも必要ですが、精神障害に対応した事業所が少ない状況です。

〔相談支援〕

  • 相談支援体制としては、圏域の市町村が共同で2事業者に委託して実施しています。また、圏域内の事業者と行政機関で構成する自立支援協議会において、障害のある人を一体的に支援できるようネットワークの構築に努めています。現在、「就労部会」、「精神部会」、「相談支援部会」、「子ども部会」が活動しています。今後、自立支援協議会の機能を充実させるため、ネットワークのさらなる拡大・強化が求められています。

〔発達障害のある人に対する支援〕

  • 発達障害のある人への支援については、専門医、作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士等支援のための専門職の早急な人材の確保が求められています。

〔就労支援〕

  • 林業、水産業、製紙業、製材業等の地場産業が衰退しているため、障害のある人が就労できる企業数が少ない状況です。また、就労先が見つかっても交通手段が十分でないために、通勤困難となり就労を断念せざるを得ないケースもあり、雇用の場の開拓とともに送迎サービスの充実も求められています。
  • 福祉的就労については、就労継続支援事業所での収益の柱となるものが少なく、工賃水準の向上のためにも収益が安定的に確保できる事業の形成が必要です。
  • 就労意欲の向上を図るためには、日常生活の充実が必要であり、障害のある人の余暇の充実が求められています。

〔その他〕

  • 各施設、団体における、小・中・高等学校の児童・生徒の体験学習やボランティアの活動を通して障害のある人と地域住民との交流が行われています。また、障害のある人自身が地域における清掃活動等の地域貢献活動に参加するなど積極的な社会参加が行われています。

2 圏域内の障害者手帳交付状況(平成29年3月31日現在)

視覚障害

聴覚・平衡・

音声言語・そしゃく

肢体不自由 内部障害 合計
381人 695人 3,111人 1,623人 5,810人
6.5% 12.0% 53.5% 28.0% 100.0%
A1 A2 B1 B2 合計
154人 155人 235人 282人 826人
18.6% 18.8% 28.5% 34.1% 100.0%
1級 2級 3級 合計
89 389 239 717
12.4% 54.3% 33.3% 100.0%

3 障害福祉サービス等の見込量(1か月あたり)

種類 2017年度
実績見込
2018年度 2019年度 2020年度
居宅介護
重度訪問介護
同行援護
行動援護
重度障害者等包括支援
3,156時間 3,262時間 3,321時間 3,368時間
230人 241人 252人 261人
種類 平成29年度
実績見込
2018年度 2019年度 2020年度
生活介護 6,857人日 6,964人日 7,058人日
298人 328人 334人 338人
自立訓練(機能訓練) 34人日 40人日 40人日 40人日
2人 2人 2人 2人
自立訓練(生活訓練) 172人日 181人日 181人日 181人日
10人 10人 10人 10人
就労移行支援 70人日 151人日 202人日 252人日
4人 10人 14人 18人
就労継続支援(A型) 402人日 555人日 555人日
13人 23人 32人 32人
就労継続支援(B型) 5,116人日 5,351人日 5,608人日
260人 315人 332人 348人
就労定着支援 4人 4人 5人
療養介護 21人 22人 22人 23人
短期入所(福祉型) 383人日 523人日 556人日 586人日
34人 43人 48人 51人
短期入所(医療型) 12人日 14人日 13人日 13人日
2人 1人 1人 1人
種類 2017年度
実績見込
2018年度 2019年度 2020年度
自立生活援助 2人 3人 5人
共同生活援助 153人 160人 166人 172人
種類 2017年度
実績見込
2018年度 2019年度 2020年度
計画相談支援 244人 254人 261人 268人
地域移行支援 1人 5人 6人 8人
地域定着支援 7人 11人 12人 14人
種類 2017年度
実績見込
2018年度 2019年度 2020年度
児童発達支援 747人日 945人日 995人日 1,028人日
50人 68人 71人 72人
放課後等デイサービス 1,010人日 1,460人日 1,484人日 1,528人日
68人 100人 101人 103人
保育所等訪問支援 0人日 6人日 6人日 6人日
0人 2人 2人 2人
居宅訪問型児童発達支援 2人日 2人日 2人日
1人 1人 1人
障害児相談支援 40人 46人日 49人日 51人日

医療的ケア児に対する関連分野の支援を

調整するコーディネーターの配置人数

1人 1人 1人

4 圏域の取組

〔地域生活支援体制の充実〕

  • 障害のある人が地域で安心して暮らせるように、在宅サービスの充実に努めます。また、個々の障害種別に応じたサービスが提供できるよう事業所の専門職員の配置促進等により日中一時支援、移動支援等の充実に努めます。
  • 障害のある人が地域で安心して暮らせるように、事業者等関係機関との連携のもと、緊急時の受入体制の確保に取り組みます。
  • 日常生活自立支援事業等を活用し、障害のある人が各種福祉サービスの利用や、日常生活の各種手続き等を円滑に行えるよう支援します。

〔相談支援体制の充実〕

  • 高齢化や過疎化、地域のつながりの希薄化により、障害のある人が孤立しないように、市町村、振興局、相談支援事業所、病院、民生委員・児童委員等による見守り体制を整備するとともに、把握された課題について必要な支援につなげることができるよう相談支援体制の充実を図ります。
  • 自立支援協議会を、より活発な意見交換の場とするため、福祉、保健、医療、教育、就労等の各分野の障害のある人を支援する様々な関係機関から参加者を募り、連携を深め、一体的に支援できるようなネットワークを構築します。
  • 自立支援協議会では、圏域の実態把握に努め、社会資源の開発・改善や支援提供体制の整備等圏域で取り組むべき課題を抽出し、その課題解決の検討の場とします。

〔発達障害のある人への支援〕

  • 保育所や幼稚園、学校、PTA等の連携により、発達障害の早期発見から早期療育へとつなげるとともに、子ども・女性・障害者相談センター及び発達障害者支援センター等の専門機関と連携し、発達障害のある人とその家族への総合的な支援を行います。
  • 自立支援協議会に設置している「子ども部会」において、発達障害を含め障害児支援を充実させるため、福祉、保健、医療、教育、就労等の関係機関の連携体制を構築し、乳幼児期から成人期にいたるまで、本人及びその家族に対する一貫した支援を行います。
  • 保育士や学校の教員等の関係者及び地域住民に対し、発達障害に関する正しい知識、対応方法等の普及啓発を行います。

〔障害のある子供に対する支援〕

  • 自立支援協議会「子ども部会」において、関係機関と情報共有しながら地域における支援体制の強化を図ります。
  • 障害福祉サービス事業所や医療機関等と連携し、保護者がレスパイトできるような環境の整備を進めていきます。
  • 児童発達支援センターを地域の中核的な療育の場としつつ医療的ニーズへの対応、通所支援、相談支援の充実に向けて体制整備を図ります。
  • 児童発達支援や放課後等デイサービス等の通所支援の利用希望者の増加、医療的ケアが必要な子供の通所の場の確保等、地域における支援体制の構築、質の向上に向けて一層の連携を図ります。

〔精神障害のある人の地域生活支援の充実〕

  • 精神障害者地域移行支援部会が精神部会に名称変更され、精神保健及び精神障害者福祉を取り巻く全般的な問題解決に向けて取り組むこととなりました。地域移行・定着支援の利用拡大を目指すと共に、地域の一員として安心できる生活を保障するため、圏域の実情を見据えながら精神障害に対応した地域包括ケアシステムの構築を目指します。

〔地域における居住の場の確保〕

  • 障害のある人やその家族、また入所施設や医療機関等に対して、地域生活に必要なあらゆる情報提供に努めます。
  • 入所施設や医療機関と連携して、グループホームの利用希望の把握に努めます。
  • グループホームの整備を図るため、転用可能な公営施設情報等を収集し、運営主体となる事業所等に情報提供を行います。

〔社会参加の環境づくり〕

  • 意思疎通支援を必要とする障害のある人に対して、手話通訳者・要約筆記者を派遣する体制の充実強化を図ります。
  • 地域生活定着支援センターと行政等の関係機関が連携し、矯正施設等を退所した福祉の支援を必要とする障害のある人等の社会復帰を目指した支援を行います。

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