
「人と植物が共存する空間を作りたい」と佐原社長が設計した自社オフィスでは観葉植物も多く育てる。
掛け合わせの妙を探せ!
胡蝶蘭農家の
新たな挑戦
人と地球にやさしい
空間づくり
2024(令和6)年、SDGsを考慮したサスティナブルな空間づくり構想を実現させ、バイオフィリックデザインを取り入れたオフィス兼ギャラリー棟を新築したヒカル・オーキッド。
生産する胡蝶蘭が贈られた後の廃棄問題に向き合う中で、人と地球にやさしいSDGs構想は始まった。一般的な胡蝶蘭は陶器の鉢に植えられ、鉄の支柱を使う。社長の佐原宏さんは、胡蝶蘭専門の生産農家でありながら、仕立てる資材に自然素材を活用できないか独自研究の末、環境に負荷のかからない世界初の不燃ごみゼロ胡蝶蘭「FOR EARTH(フォアス)」を開発。

有田市にある自社農場で年間10万株の胡蝶蘭を生産する。
そしてSDGsな商品開発は、「空間づくり」へと発展していく。佐原さんは、自然の力を積極的に取り入れ、植物と人が調和した空間を作る「バイオフィリックデザイン」に出会った。新オフィス兼ギャラリー棟には多くの植物を配置し、自然光をたっぷり取り込む設計とした。内装には空気を浄化するとされる紀州備長炭を塗布し、建物正面の屋外空間には里山の自然を感じさせる熊野黒竹を取り入れるなど、和歌山ならではの素材もふんだんに使われている。

オフィスを取り囲むのは熊野黒竹の畑。訪問者に里山の自然を感じさせるデザインを取り入れた。
「農家として与えられた課題に向き合う中で、気づけば空間づくりにまで思いが広がっていました。私たちができるかたちで、お客様や地球に貢献したいという気持ちが原点です」と佐原さんは語る。
会社のキャッチフレーズは「これからのやさしいをつくる」。佐原さんは「植物は人をやさしい気持ちにしてくれます。私たちも、人と地球に〝やさしいもの〟や〝やさしい居場所〟をつくる存在でありたいと思っています」と語った。