
ボールで粉砕した後は、炭同士をぶつけ合い、さらに細かくしてゆく。
凄いぞ! 和歌山
豊かでダイナミックな自然に恵まれた和歌山。
しかし凄いのはそれだけじゃない!
あっと驚く技術を持った企業をご紹介。
微粒子粉砕技術

右から順に備長炭が細かく粉砕されている。この工程を乾式粉砕といい、粒子に対して直接衝撃を加えるなどして細かくする。

乾式粉砕の工程の後、ナノレベルに粉砕するためには湿式粉砕という工程が必要となる。
世界に誇る紀州備長炭の
新たな可能性に迫る
和歌山県の県木であるウバメガシから作られる紀州備長炭。炭素成分が非常に多く含まれ、不純物がきわめて少ないため金属のように堅いのが特徴の白炭である。その紀州備長炭をナノレベルにまで細かく粉砕し使用用途を広げ、和歌山の森林資源に新しい需要を生み出しているのが“株式会社ラテスト”だ。

上は紀州備長炭の原料となる“ウバメガシ”の原木。下は紀州備長炭。窯に原木を入れ、窯焚きから蒸し焼きにし、炭化させる。全工程に1〜2週間もかかるという。
「パイル産業が盛んな高野口町では、パイル屑の処分に多額の費用が必要でした。その費用の軽減とパイル屑の再利用方法を研究するために、当社は創立されました。その後、備長炭をはじめ、サステナブル素材の新たな用途開発を行い、現在に至っています」と語るのは同社課長の川上大輔さん。

紀州備長炭は、生産者の減少もあり入手するのも一苦労。安定的に仕入れできているのも同社の強み。
「備長炭は燃料としてだけでなく、その特性から消臭に使用されるなど幅広い分野で重宝されていますが、そのままの形状では使い勝手が限られています。

乾式粉砕工程。作業員が手にしているのが粉砕用ボール。
そこで粉砕技術の研究を重ね、堅い備長炭を200ナノメートルという微粒子にまで細かくすることに成功しました」。粒子を細かくすることで、他の物に混ぜ練り込むことができるようになり、備長炭の使用用途は格段に広がった。

右が技術開発課参事で工業博士でもある前田育克さん。左が川上さん。「紀州備長炭という一流のモノを原料にするからには、一流の製品にしないといけないとの思いがあります。」

天然由来の原料だから化粧品関係にも安心して使用できる。

左/微細な粒子になるまでパウダー化した紀州備長炭はフェイスパックなどにも使用される。滑らかな質感が特徴で、大手外資系化粧品会社でも採用されている。右/熊野古道の間伐材から香りを抽出したアロマウォーター。天然素材100%の同社人気商品。