【水質汚濁防止法】事業場の排水・有害物質に係る規制

水質汚濁防止法(瀬戸内海環境保全特別措置法)について

 水質汚濁防止法では、特定施設を有する事業場は特定事業場に該当し、排出水(雨水を含む)に対する規制基準の遵守等が義務付けられています。法の大まかな体系は下図をご覧ください。

 特定施設は、様々な業種の施設が対象となります。施設設置や構造等の変更にあたっては設置(工事着手)の60日以上前までに届出を要し、特に、公共用水域への1日の最大排水量が50m3以上となる瀬戸内海地域の特定事業場に関しては届出に代わり、瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく許可を要します。事業計画が決まり次第、早めにご相談ください。

※瀬戸内海地域(和歌山県):和歌山市、橋本市、海南市、有田市、紀の川市、海草郡、那賀郡、伊都郡、有田郡、日高郡由良町及び日高郡日高町の一部(日の岬以北)

水質汚濁防止法の体系

taikei

対象施設・届出(申請)様式

 水質汚濁防止法(和歌山県公害防止条例(水質)) 特定施設一覧

 届出(申請)等様式:申請書ダウンロード(外部リンク)

水質汚濁防止法届出のタイミング(例)

届出書等 届出が必要となる事例 届出期限等

特定施設設置届出書(法第5条)

特定施設変更届出書(法第7条)
工場の設備の更新、新しい設備の導入、
排水処理施設の改良、水量の増減、
排水口の位置変更・増加、水質の改善
設置や変更の60日前
(実施の制限)
氏名等変更届出書(法第10条) 社名・工場名変更、代表者の変更、
代表者の住所変更
変更後30日以内
承継届出書(法第11条) 事業譲渡、相続 承継後30日以内
特定施設使用廃止届出書
(法第10条)
特定施設の更新、廃止 廃止後30日以内

汚濁負荷量測定手法届出書

(法第14条第3項)
汚濁負荷量の測定方法が決まった時、
方法等の変更
事業場稼動前または
手法を変更する前
事故時の措置の届出書
(法第14条の2)
排水基準を超過した排水、貯油施設からの油、
指定物質の流出により、人の健康や生活環境に
係る被害のおそれがある時

直ちに応急の措置を講じ、

その状況等を届出

排出水に対する規制

 特定事業場は、雨水を含め、公共用水域への排出水すべてに下表の基準が適用されます。
 基準に違反した場合、行政による改善命令などを経ることなく、直ちに罰則が科されます。
項目 適用される特定事業場 自主測定義務(記録:3年保存)
排水基準 有害物質
(28項目)
全て 排水口から通常排出される項目として、
届出様式第一別紙4に記載した項目
(排水基準が適用される項目に限る)
=1年に1回以上
※温泉水利用の旅館業の一部項目
 =3年に1回以上
生活環境項目
(15項目)
日平均排水量50m3以上
総量規制基準 COD,窒素,りん 日平均排水量50m3以上
かつ瀬戸内海地域の事業場
事業場の総排水量に応じ、下表の
排水の期間毎に1回以上
日平均排水量(m3) 期間
400以上 毎日
200以上,400未満 7日
100以上,200未満 14日
50以上,100未満 30日

排水基準値一覧

uwanose

【備考】和歌山県における「環境大臣が定める湖沼、海域等」について (生活環境項目「窒素含有量」「りん含有量」関連)

排出水の流入先(下記海域及び湖沼に流入する河川や水路等の公共用水域への排出を含む)
窒素含有量 瀬戸内海(日の御埼より北の海域)及び田辺湾(田辺市斎田埼と白浜町番所ノ鼻に囲まれた海域)
りん含有量 瀬戸内海(日の御埼より北の海域)、田辺湾(田辺市斎田埼と白浜町番所ノ鼻に囲まれた海域)、
殿山ダム貯水池(合川貯水池)(田辺市)、桜池(紀の川市)、山田ダム貯水池(紀の川市、紀美野町)、
広川ダム貯水池(広川町)、二川ダム貯水池(有田川町)、切目川ダム貯水池(印南町)、椿山ダム貯水池(日高川町)、
七川ダム貯水池(古座川町)及び七色ダム貯水池(七色調整池)(北山村)
 

有害物質の取扱いに関する規制(平成24年6月1日改正)

 平成24年6月、水質汚濁防止法が改正され、水質汚濁防止法施行令第2条に規定する有害物質を取扱う施設(以下[1]、[2])の設置者に対し、地下水汚染防止のための構造、設備及び使用の方法に関する基準守、定期点検及び結果の記録・保存を義務付ける規定等が新たに設けられました。

 〇有害物質使用特定施設等の規制について/点検・構造基準早見表

 〇水質汚濁防止法の改正~地下水汚染の未然防止のための実効ある取組制度の創設~(平成24年6月1日施行)(外部リンク)

 〇地下水汚染の未然防止のための構造と点検・管理に関するマニュアル(第1.1版)(外部リンク)

[1]有害物質使用特定施設

 有害物質を使用、製造または処理する、特定施設を指します。

 平成24年6月の法改正以前から、特定施設の設置においては原則同法第5条第1項に基づく届出(又は瀬戸内海環境保全特別措置法第5条に基づく許可申請)の義務があります。当該改正以前に届出(申請)をしている施設について改めて届出(申請)をする必要はありませんが、構造基準及び点検の義務が適用されます。

 また、当該改正により、雨水も含め公共用水域に一切排出水を排出しない工場・事業場でも、有害物質使用特定施設を設置する場合は、水質汚濁防止法第5条第3項に基づく届出が必要となりました。

 (注)有害物質を使用している試験研究機関の研究棟、病院等の洗浄施設(第71号の2イ,第68号の2ロ)はその施設で直接有害物質の取扱いがなくても、例外的に有害物質使用特定施設に該当します。

[2]有害物質貯蔵指定施設

 液状の有害物質を貯蔵する施設を指します。

 一定期間設置して使用するものをいい、一斗缶やドラム缶等容器の一時的な貯蔵庫は対象外です。(容器を物理的に固定して貯蔵している場合等、施設とみなされる場合は対象)

1 有害物質使用特定施設・有害物質貯蔵指定施設の届出(許可申請)について

 有害物質使用特定施設・有害物質貯蔵指定施設の設置(変更)しようとする場合は、設置(工事着手)の60日以上前までに届出ください。

 なお、瀬戸内海環境保全特別措置法の特定事業場に設置の有害物質使用特定施設の場合は、設置に許可を要します。

  届出(申請)等様式:申請書ダウンロード(外部リンク)

2 構造等に関する基準

 有害物質使用特定施設または有害物質貯蔵指定施設は本体、設置場所の床面及び周囲、付帯配管等(地上・地下)、排水溝等について、地下水汚染を未然防止するための構造基準を満たす必要があります。
 具体的には、床面はコンクリート等不浸透材質にする、周囲を防液堤で囲む(想定される流出量分を防止できる容量を確保する)等の対応が必要となりますが、設置された時期によって、適用可能な基準(A・B基準)が異なります。

適用される基準一覧
新設(平成24年6月1日以降に設置された(工事中含む)施設) A基準
既設(平成24年5月31日までに設置された(工事中含む)施設)      A又はB基準  

3 定期点検・記録の義務

 構造基準に応じた頻度で定期点検し、その結果を記録ください。記録は3年間保存ください。

 点検については、具体的には、施設本体、床面及び周囲、付帯配管等について、ひび割れ、亀裂、損傷等の異常の有無、漏洩の有無等の確認を目視により、又は、目視が困難な場合は検知システムの導入等により行うこととなります。

●点検結果の記録事項(水質汚濁防止法施行規則第9条の2の3)

  1. 点検を行った有害物質使用特定施設又は有害物質貯蔵指定施設
  2. 点検年月日
  3. 点検の方法及び結果
  4. 点検を実施した者及び点検実施責任者の氏名
  5. 点検の結果に基づいて補修その他の必要な措置を講じたときは、その内容

 (定期点検によらず、異常等が確認された場合の記録事項)

  1. 異常等が確認された有害物質使用特定施設又は有害物質貯蔵指定施設
  2. 異常等を確認した年月日
  3. 異常等の内容
  4. 異常等を確認した者の氏名
  5. 補修その他の必要な措置を講じたときは、その内容

【ひな形等(環境省ホームページ)】

 ・点検要領の作成例[Word]

 ・点検計画表の作成例[Excel]

 ・点検記録表の作成例[Excel]

 ・定期点検で異常等が確認された場合の記録表の作成例[Excel]

4 使用の方法等

 有害物質使用特定施設及び有害物質貯蔵指定施設に係る作業及び運転は、有害物質が地下に浸透したり、周囲に飛散、流出しない方法で行う必要があります。(水質汚濁防止法施行規則第8条の7)

  1. 有害物質を含む水の受け入れ、移し替え、分配等の作業は、有害物質を含む水が飛散し、流出し、地下に浸透しない方法で行うこと。
  2. 有害物質を含む水の補給状況や設備の作動状況の確認等、施設の運転を適切に行うこと。
  3. 有害物質を含む水が漏えいした場合には、直ちに漏えいを防止する措置を講ずるとともに、当該漏えいした有害物質を含む水を回収し、再利用するか又は生活環境保全上支障のないよう適切に処理すること。
  4. 上記1.2.3.について定めた管理要領が明確に定められていること。

【ひな形等(環境省ホームページ)】

 ・地下水汚染未然防止のための管理要領等策定の手引き

 ・管理要領の作成例[Word]

土壌汚染対策法に係る調査(留意事項)

 特定有害物質(土壌汚染対策法)を使用する有害物質使用特定施設の使用廃止時は、土壌汚染対策法第3条に基づき、土地の所有者等に土壌汚染状況調査の義務が生じます。

 また、特定有害物質(土壌汚染対策法)を含む水の取扱い履歴がある事業場敷地(例:バッチャープラント設置事業場、温泉水利用事業場)を含む形で、 土壌汚染対策法第4条に係る一定規模以上の土地の形質の変更時も、土地の所有者等に土壌汚染状況調査が命令される場合があります。ご留意ください。

 「土地の所有者等」とは、管理者及び占有者のうち、土地の掘削等を行うために必要な権原を有し、調査の実施主体として最も適切な者のことを言い、通常は土地の所有者が該当します。

関連ファイル

このページの先頭へ