凄いぞ! 和歌山
豊かでダイナミックな自然に恵まれた和歌山。
しかし凄いのはそれだけじゃない!
あっと驚く技術を持った企業をご紹介。
3Dプリント×生き物専門家
自然豊かな町で生まれる、
本物に忠実な生物模型
棚田など日本の原風景が残る紀美野町に、最新鋭の3Dプリント技術を使った模型専門会社「アンフィ」がある。主に制作しているのは、博物館などに展示される生き物や骨格の模型で、国内外から注目されている企業だ。
両生類の研究者でもある代表の佐々木彰央さんは、「私たちの強みは、3Dプリントの技術に専門性を組み合わせられること。元博物館職員や化石の研究者など専門的な知識のあるスタッフが多いので、精巧な模型を作り上げることができるんです」と話す。
骨格模型であれば、まず対象となる生き物の骨を一つずつ3Dスキャン。依頼元の学芸員らと情報を共有しながら、学術論文も読み込んで骨のギザギザや歯のスジまで再現し、生きた状態に近くなるまでデータを画面上で調整していく。
大きな模型は、数台のプリンタを使って18センチ角の多数のパーツに分けて出力。それらを組み立て、手作業でクリーニングや塗装を施して完成する。
緻密な作業の積み重ねで作られた模型は、まるで本物のようだ。
今年2月、保育園だった建物を利用し、「きみの自然体験館」を開設。全国から両生類の研究者を集めたフォーラムも開催した。骨格模型や職人とコラボした剥製を展示・販売したり、模型の着色体験を実施するなど、市民も楽しめる場を提供している。
「地元の皆さんに還元していきたい」と佐々木さん。革新的なものづくりによる唯一無二の造形物が、紀美野町から、世界に向けて広がっていく。