凄いぞ! 和歌山 Only one story アンフィ合同会社の佐々木さんと制作中の実物大トリケラトプス

制作中の実物大のトリケラトプス。頭骨を完成させるだけで2~3カ月はかかるそう。

和 vol.52

凄いぞ! 和歌山

豊かでダイナミックな自然に恵まれた和歌山。
しかし凄いのはそれだけじゃない!
あっと驚く技術を持った企業をご紹介。

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3Dプリント×生き物専門家

AweSome! WAKAYAMA-tech

自然豊かな町で生まれる、
本物に忠実な生物模型

 棚田など日本の原風景が残る紀美野町に、最新鋭の3Dプリント技術を使った模型専門会社「アンフィ」がある。主に制作しているのは、博物館などに展示される生き物や骨格の模型で、国内外から注目されている企業だ。

オオサンショウウオの模型とオスのアカハライモリ

シーボルトの「日本動物誌」を元に作られた、オオサンショウウオの模型とオスのアカハライモリ。両生類の研究者である佐々木さんにとって、イモリやカエルは得意分野。

両生類の研究者でもある代表の佐々木彰央さんは、「私たちの強みは、3Dプリントの技術に専門性を組み合わせられること。元博物館職員や化石の研究者など専門的な知識のあるスタッフが多いので、精巧な模型を作り上げることができるんです」と話す。

キタキツネの精巧な骨格模型

生物の専門家による監修があるからこそ生まれる、キタキツネの精巧な骨格模型。

 骨格模型であれば、まず対象となる生き物の骨を一つずつ3Dスキャン。依頼元の学芸員らと情報を共有しながら、学術論文も読み込んで骨のギザギザや歯のスジまで再現し、生きた状態に近くなるまでデータを画面上で調整していく。

モササウルスの化石模型。頭骨の化石模型と歯の化石模型

2006年に和歌山で化石の一部が発見され、注目を集めたモササウルスの化石模型。形状だけでなく、限りなく本物に近い着色にもこだわっている。 頭骨の化石模型と歯の化石模型。

大きな模型は、数台のプリンタを使って18センチ角の多数のパーツに分けて出力。それらを組み立て、手作業でクリーニングや塗装を施して完成する。

大きな模型の素材となるトウモロコシ由来の樹脂

大きな模型の素材には、トウモロコシ由来の樹脂を使用。

出力された模型に残るサポート材を削り取る作業の様子

出力された模型に残るサポート材(支え)を削り取る緻密な作業。

緻密な作業の積み重ねで作られた模型は、まるで本物のようだ。

3Dプリントで制作した手のひらサイズのトリケラトプス

手のひらサイズのトリケラトプス。3Dプリント技術を用いれば、小さなものから大きなものまで自由自在に作ることができる。

 今年2月、保育園だった建物を利用し、「きみの自然体験館」を開設。全国から両生類の研究者を集めたフォーラムも開催した。骨格模型や職人とコラボした剥製を展示・販売したり、模型の着色体験を実施するなど、市民も楽しめる場を提供している。

ワークショップで子供たちが着色した、メジロとカヤネズミの模型

ワークショップで子供たちが着色した、メジロとカヤネズミの模型。

「地元の皆さんに還元していきたい」と佐々木さん。革新的なものづくりによる唯一無二の造形物が、紀美野町から、世界に向けて広がっていく。

アンフィ合同会社の代表佐々木さんと社内の様子

スタッフは8人。20台余りのプリンタを使用し、大小さまざまな模型を制作。作業室では、模型のクリーニングや着色が手仕事で行われている。

一般向けに販売されている手のひらサイズのティラノサウルス

一般向けに販売されている、手のひらサイズのティラノサウルス。自分で色を塗って楽しむことができる。

アンフィ合同会社
紀美野町神野市場78
電話/073-488-5513(10:00~16:00)
オンラインで商品販売中