「すさみに暮らす人々が主人公、私は思いに寄り添う伴走者です」と源口さん。
Wakayama移住定住ヒストリー
地域の魅力を地域の人と
ともに繋いでいく
合同会社シェアローカル ローカルコーディネーター ● 源口 葉月さん
太平洋に面し入り組んだ美しい海岸線が自慢のすさみ町で、地域の魅力を引き出し、発信しているのは、大阪生まれの源口葉月さん。コロナ禍で在宅勤務が続く中、すさみ町で知人が営むゲストハウスを訪れたのが移住のきっかけだった。「滞在中、サーフィンで骨折してしまい、病院に担ぎ込まれました。ところがそのおかげでこの町に住む多くの人に出会え、地元愛や仕事への誇りなど熱のこもった話しを聞き、心を揺さぶられました」。
大阪に戻り入院している間もすさみ町のことが忘れられず、自分が町のためにできることを企画書にまとめメールを送った。すると、退院後に町役場に来てほしいと連絡が入り再びすさみ町へ。町長の「やってみよう」という一言に背中を押され、2020年の12月、町内の古民家を借り、大阪とすさみ町の二拠点生活が始まった。
最初に手掛けたのは、海沿いにある元警察署の建物を観光案内所として再生するためのコンセプトづくり。町全体をひとつの宿に見立て、観光客がチェックインすると、スタッフはフロントマンとして地域の魅力あるコンテンツを案内する。観光客と地域の人が交流する場にもしたいと願いを込めた観光案内所“フロント110”が誕生した。次に地元漁師らとともに海のフードロス削減、漁師の収入向上を目指した“漁師小屋プロジェクト”を立ち上げた。
市場に出回らない未利用の魚にスポットを当て、ネットを通じ賛同してくれる企業を探し、首都圏のレストランのメニューになるまで漕ぎ着けた。そして現在は、廃校を宿泊施設として活用し、教育旅行を受け入れ、狩猟や備長炭づくり、漁師体験など、地域の人々と学生を繋ぐプログラム“生業(なりわい)体験”を提供している。
「昨年、すさみ町に完全移住しました。これからも、すさみならではのコンテンツを生み出し、県外や企業と繋げ、この町に新たな価値を生み出していきたい」と源口さん。大好きな海を眺めながら日々町中を駆け回っている。