
●青みかん色:間引きされる摘果みかんの皮
●完熟みかん色:加工品を作るときに出て、廃棄されるみかんの皮
●じゃばら色:温州みかんと時期をずらして収穫されるじゃばら
●みかんの枝色:木の健康を保つためカットされた剪定枝
●みかんの炭色:畑にまかれる、みかんの老木を材料にした炭
well-being 和歌山
【みかんくれよん】
みんなが健康的で幸せな状態であるウェルビーイングは、
豊かな自然と温暖な気候に恵まれた和歌山そのもの。
そんな和歌山で生まれた“ウェルビーイング”をご紹介。
アップサイクルな
みかんくれよんに
秘めた思い
生産者とともに作りあげた
ストーリーが詰まった5色
450年続く温州みかんの名産地・有田地域で誕生したアップサイクル商品“みかんくれよん”。大手繊維機械メーカー(株)島精機製作所(本社・和歌山市)から出向起業し、一次産業を支援するために設立された(株)はまさとが手掛ける第1弾の商品だ。

みかんの生産量が全国1位の和歌山県。特に有田地域は全国シェアの約1割を占めている。
代表の南村真衣さんは、生産者と関わる中で、農産物の作り方やその工夫について知らないことが多々あることに気づいたという。「地域のこどもたちが地場産業に興味を持つきっかけになるような商品を作りたい」と、みかん栽培の過程で出る廃棄物などを使い、みかん作りの背景を表現するクレヨンの開発をスタートさせた。

おいしいみかんを作るために、摘果という間引き作業が行われ、近年はこの摘果みかんの積極的な利用も進められている。

発色を良くするため、みかんの皮の内側にある白い部分が少ない両端をパウダー状に加工。

みかんの木を炭にして畑にまくことで、環境にやさしい畑づくりに活用。
糖度の高い果物は油分がしみ出しやすく、クレヨンにするのは難しい。そんな中で南村さんが協力を仰いだのは、柑橘類をはじめとした農園業を営みながら、ジュースやジャムなどの加工品も手掛ける紀伊路屋長谷農園(広川町)代表の長谷光浩さんだった。南村さんは、「常に新しいことに挑戦している長谷さんなら、楽しんで取り組んでくれるはずだと思いました」と話す。長谷さんは、“多くの人にもっと有田のみかんを知ってもらいたい”と制作を快諾。

じゃばら畑に立つ南村さんと長谷さん。「商品そのものからは伝わりきらない生産者の想いを伝えられるよう支援していきたい」と南村さんは話す。

地域のイベントで、みかんくれよんを使ったワークショップなども実施。参加者の間では、自然とみかんに関する会話が生まれていたそう。
「みかんの皮などをパウダー状にする設備や技術を持っていたものの、色彩を重視して加工するのは初めて。思い通りの色が出るまで試行錯誤しました」と振り返る。安心してこどもたちが使えるよう自然由来で作ることにもこだわり、原材料の細かな調整を重ねながら、約3年をかけて納得のいく“みかん色”のクレヨンを完成させた。
今後は、クレヨンとセットでみかんジュースなどの特産品が文房具コーナーに並ぶなど、農業と人をつなぎ、販路開拓の一端を担う新たな商品として、幅広い展開が期待されている。

和歌山らしさにこだわったパッケージ。外箱にはコンテナいっぱいのみかんを描き、mikan crayonはご当地フォントである“和歌山ふぉんと”を使用。