わかやま食材テロワール 「みかん」

有田川町風景
有田川町風景

今回の特集は、「みかん」

みかん

和歌山県は、みかんの生産量全国一位を誇ります。一般にみかんといわれているのは温州みかんのことです。(以降、「みかん」と表記)

 露地物は、9月の上旬から12月に収穫し、下津の蔵出しみかんは、12月に収穫したものを貯蔵して3月にいたるまで出荷します。4月上旬からは、ハウス栽培の収穫が可能になり、通年にわたりみかんを出荷できることになります。収穫時期により「極早生」、「早生」、「中生」、「晩生」に分かれます。

 県内の多くの地域でみかんが栽培されていますが、特に有田地域は「有田みかん」の産地として有名です。有田マップ

有田みかんの歴史には諸説ありますが、約450年前に熊本県の八代市から持ち帰った木がルーツであるとの説があります。有田地域は、紀伊半島の中程に位置し、紀伊水道に面しております。一年を通じて温暖で、昼夜の温度差が少なく、柑橘類の生産に向いています。江戸時代には既に紀州みかんは評判で、和歌山から多くのみかんが船で江戸まで運ばれました。紀伊国屋文左衛門が、みかん船で財を成したことはよく知られています。

 有田地域の中央を流れる有田川下流の両岸や海岸近くの傾斜地には、石垣積のみかんの段々畑が広がります。山の斜面を利用することで、日照条件や水はけがよくなります。傾斜地のみかん畑には石垣が組まれていますが、畑が崩れないように保護するだけでなく、保温効果、排水効果、光の反射効果などもあります。

石積み
石垣積のみかんの段々畑

 この石垣は江戸時代から組まれていたといわれており、昔の人は傾斜地に大変な思いをして石垣を積み、収穫したみかんを担いで山から運び出していました。

 有田みかんは有田川や海が近くにあることで光の反射効果があるといわれ、海沿いではミネラルを含んだ潮風がみかんの味を良くするといわれています。

 また、有田地域は、山だけではなく、町中のいたるところにもみかん畑があり、みかん畑の中に街がある風景が見られます。

 みかんは、5月の初旬頃に3cm位の 可憐な 白い花を咲かせ、一帯がとても爽やかで良い香りに包まれます。

 みかんの香りに誘われた蜂は、周辺のみかん畑で忙しく飛び回り、採蜜に勤しみます。みかんハチミツも当地の特産品になっています。みかんハチミツは、かんきつ類特有の香りとさわやかな酸味がありますが、クセはなく濃厚なコクと甘みを味わえます。

 そのまま食べたり、トーストやヨーグルトやお湯割り、紅茶にもおすすめです。

みかんの花

みかんの花

爽やかで良い香りがします

みかんはちみつ
みかんハチミツ

今年の収量も、平年並みで、栽培管理を徹底し、糖度が高いおいしいみかんが収穫されています。

ぜひ和歌山のみかんをご賞味ください。

 和歌山県オリジナル品種とブランドみかん

品 種

収穫時期

特 徴 ・ 説 明

YN-26

9月上旬から10月

 「極早生みかん」

ゆら早生よりも2週間程早く収穫できる品種。

糖度は高く、程良く酸味も含まれており、昔懐かしい甘酸っぱさを楽しめる品種。

完熟状態になっても外皮の色は黄緑色のことが多い品種です。

また果肉を包んでいる皮(じょうのう膜) が薄い特徴があります。

ゆら早生

9月末から10月

 「極早生みかん」

9月下旬の果皮の色が青いうちから収穫は始まります。この時期の極早生品種としては、驚くほど甘みが強く、味が濃く、果汁が多い品種で、じょうのう膜は薄いです。

田口早生

11月上旬~下旬

 「早生みかん」

甘みが強く酸味が少ないのが特徴で、子供からも大人気です。

丸形で外皮は柔らかく、手で簡単に剥く事ができ、じょうのう膜は薄めです。

きゅうき

12月上旬~下旬

 「中生みかん」

糖度が高く、酸味が抑えられている事で、みかんの酸っぱさが苦手な方にもお勧めな品種です。またじょうのう膜は薄い品種です。
ブランド名 流通時期 特  徴 ・ 説  明

下津蔵出しみかん

1月中旬~3月上旬

JAながみねのブランドです。

蔵出しみかんは、12月に収穫したみかんを貯蔵庫で熟成させたみかんです。

細心の注意を払って貯蔵管理されたみかんは、糖と酸のバランスが良く、まろやかな食味が特徴です。

・下津町の貯蔵方法は300年の歴史があり全国でもめずらしい独特な方法です。

・みかん園地毎に6坪程度の貯蔵庫が点在しています。貯蔵庫は、瓦屋根・平屋建て・土壁・土間作りが基本です。

・収穫後貯蔵庫に入れ、約2週間予措し、1ヶ月から3ヶ月貯蔵します。貯蔵中に糖度は1度程度上昇、クエン酸はゆっくりと減酸し熟成されます。

貯蔵蔵

蔵出しみかん貯蔵庫

蔵内

貯蔵庫内

約2週間予措し、1ヶ月から3ヶ月貯蔵

木熟みかん 12月~1月上旬

 JA紀南のブランドです。

早生みかんの収穫を開花期の5月より200日かけ、12月まで じっくりと糖度が乗るまで樹に成らせ完熟させてから出荷します。樹上で完熟させると、高糖度で濃厚な味のとても美味しいみかんができあがります。

糖度11度以上は特選として ,12度以上は超特選として、出荷されています。

農家の仕事

● 1月  土づくり(堆肥、石灰類の施用)

● 3月  剪定 (果実によく日が当たるようにする)、春肥施用

● 4月  発芽開始

● 5月  開花

● 6月  生理落果期(多すぎた実が落ちます。)

● 7~9月 摘果作業(多すぎる果実を摘み取ります。)

● 10月  極早生収穫

● 11月  早生収穫、秋肥施用

● 12月  中晩生収穫

●病害虫防除 年間4~6回

みかんの苗木は、通常2年生苗を4月に定植します。定植後3年目くらいから果実が実ります。

品質が安定し、まとまった収量が得られるのは定植後10年~30年で、40年を超えると老木となり収量も低下します。

美味しいみかんの見分けかた

 

●果皮の紅の色が濃い

● ヘタの切り口が小さい。

(実のなっている枝が細い)

● 果皮が薄く、果皮がボコボコしている。

(「菊みかん」とも言われます。8~9月の水分供給を抑えた、濃厚な味のみかんになります。)

● 果皮が浮いてなく引き締まっている。生地が滑らか。

● 赤道部に擦り傷がある。

(赤道部に擦り傷のある果実は、木の外側になっていた可能性が高く、たくさんの日光を浴びて甘くなっている。)

● 果実の大きさはM・Sサイズは品質が安定しており食味がよい。

みかんの保存方法

● 段ボールなどに入ってるみかんで、もし傷んだり、カビが発生したみかんを見つけたら、必ず取り除いてください。傷んでいるみかんを入れておくと、その周りのみかんも傷んできます。

● 箱を開けるときは、裏側からあけてください。重みで傷んだみかんをみつけることができます。

● 冷蔵庫での保存は、ずっと入れておくと乾燥したり、みかんの甘みが下がってしまいます。冷蔵庫での保存する場合はお早めにお召し上がりください。

● 冬場であれば、冷暗所(5~10度)で、風通しの良いところでの保存をお勧めします。

● 保存期間は、2~4週間程度です。

「みかん」と健康のお話

みかんには、ビタミンC、βークリプトキサンチン、ペクチン、ヘスペリジン等が含まれています。

ペクチン、ヘスペリジンは、薄皮部分(じょうのう)や白い綿状の部分(中果皮;アルベド)に多く含まれているので、表皮部分を剥いてそのまま食べると効率よく摂取できます。

●ビタミンC

皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。

また、コラーゲンの合成に関与しています、コラーゲンが不足すると細胞同士の結合が弱まって血管や皮膚・骨がもろくなります。

その他ストレスに打ち勝つために分泌する副腎皮質・髄質ホルモンの合成。

肝臓の解毒代謝に関わる酵素の活性化、鉄の吸収促進などの働きがあります。

●βークリプトキサンチン

カロテノイド(天然色素)の1つです。

骨代謝の働きをたすけることにより、骨の健康に役立つことが報告されています。

また、強い抗酸化作用もあり、発がん抑制効果があります。

●ペクチン

水溶性食物繊維の1つです。

血糖値の上昇抑制、血中コレステロール値の上昇抑制など生活習慣病予防効果があります。また、腸内環境を改善することで便通を整えます。

●ヘスペリジン

ポリフェノールの1つです。ビタミンCの吸収を高め、コラーゲン合成を促すことで、毛細血管を強化します。また、抗酸化作用により、血管の老化を抑制し、動脈硬化を予防します。血流の改善をはかり、冷え性改善にも有効です。血圧の上昇抑制による高血圧の予防や、血中の中性脂肪や、LDL-コレステロールの上昇抑制による脂質異常症の予防、骨密度の減少を抑制し、骨粗しょう症を予防します。

(和歌山県産食材機能性ガイドより)

その他商品紹介など

・おいしく食べて和歌山モール〔和歌山食のポータルサイト〕

  ⇒ https://oishii-wakayama.com/

・プレミア和歌山(和歌山県優良県産品)〔商品紹介サイト〕

  ⇒ https://premier-wakayama.jp/

・わかやま紀州館〔和歌山県アンテナショップ〕

  ⇒ http://www.kishukan.com/ TEL: 03-6269-9434

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