わかやま食材テロワール 「柿」

今回の特集は、「柿」

柿畑

 和歌山県伊都地方を中心とする紀ノ川沿いの丘陵地帯は、生産量日本一の柿の産地です。

 これらの地域は、複数の地質が帯状に配列された豊かな土壌で保水性と排水性のバランスが柿の栽培に適しています。また、気候は瀬戸内式気候帯に属し比較的温暖で、日照時間が長い地域ですが、北に葛城山、南に紀伊山地にはさまれているため、昼と夜の寒暖差が大きいことから、甘くて色づきの良い高品質な柿を栽培しています。

主な産地は、かつらぎ町、紀の川市、橋本市、九度山町ほか。

和歌山県の令和元年度の柿の収穫量は43,400トンで全国一位。このうち約8割は渋柿が占めています。

 今年は、8月の干ばつにより小玉の傾向が心配されていました。また、9月上旬まで夜間の温度が下がらなかったため着色が遅れましたが、10月に入り生育が一気に回復し、小玉傾向ながら上々の出来になっています。

渋柿と甘柿

 日本全国で約1,000種類の柿が栽培されていると言われています。甘柿と渋柿に大別され、甘柿も未熟な果実には渋みがありますが、成熟に従って渋みは減少して甘くなります。

 渋みのもとは「水溶性タンニン」で、これが口の中で溶けると渋く感じますが、アルコールや炭酸ガスを使って処理(渋抜き)することで、「不溶性タンニン」に変化して渋みを感じさせなくなります。

 また、皮を剥いて干し柿にすることでも同様の効果があります。

 渋抜きした生柿は、加熱処理することで再び渋くなる「渋戻り」という現象が起こります。柿ジャムなどの加熱加工をする場合は、完全甘柿の富有柿などを使って作るのもおすすめです。

 一方で、牛乳などのたんぱく質に触れると渋みを感じにくくなります。そのためケーキなど牛乳を使って作るスイーツに関しては渋抜き柿もレシピに使用することができます。

和歌山県ブランド「柿」

「和歌山県産たねなし柿」

 和歌山県産の渋柿の主だった品種は、「中谷早生 (なかたにわせ)」、「刀根早生(とねわせ)」、「平核無(ひらたねなし)」です。どちらの渋柿も種の無いのが特徴で、「和歌山県産たねなし柿」として販売しています。

 生食用には、収穫後に炭酸ガスなどを使って渋抜き処理をしてから出荷しています。

 たねなし柿は、果汁が豊富で、適度に柔らかくなめらかな食感と、甘みが強くまったりとした味わいは、老若男女を問わず広く好まれています。

渋柿を使った「干し柿」や「あんぽ柿」、「柿酢」などの加工品があります。

【出荷時期】

刀根早生 9月中旬~10月上旬

平核無柿 10月中旬~11月上旬

「紀の川柿」

樹上脱渋
樹上脱渋後の「紀の川柿」
富有柿紀の川柿
左:紀の川柿、右:富有柿

渋柿の果実を、木に成らしたまま袋掛けをし、固形アルコールをいれて脱渋しています。樹上で十分に熟してから収穫するため、糖度がより高くなります。果肉にはタンニンの黒い斑点が出るのが特徴です。

 「紀の川柿」と名付けられたこの柿は、栽培にはとても手間がかかる事や、産地が限定されていて、生産量がとても少ないため、希少価値の高いものとなっています。

【産地のこだわり】

JA紀の里ブランド「黒あま」として販売しています。

【出荷時期】

 10月下旬~11月中旬

甘熟(あまじゅく)

 県内屈指の富有柿の産地は、九度山町。

 もちろん、甘柿の「富有柿」のおいしさにも自信があります。果肉は繊密でとろけるような柔らかさが有り、甘みがあり、果汁が多いのが特徴です。

 九度山町では、一つ一つに袋掛けして樹上でじっくり完熟するまで栽培した甘熟(あまじゅく)を販売しています。

 JA紀北かわかみは、甘熟を3段階にランク付けをして、糖度18度未満のもの「甘熟(あまじゅく)」。完全着色で、糖度18度以上のものは「希(のぞみ)」。 完全着色、糖度18度以上で外観が良好なものを「夢(ゆめ)」として販売しており、ブランドの強化をはかっています。

【出荷時期】12月上旬~12月中旬(約2週間)

新品種「紀州てまり」

紀州てまり 「紀州てまり」は、和歌山県が育成し、平成31年4月に品種登録された早生甘柿の新品種。

 「早秋」と「太秋」の特徴を受け継ぎ、大玉で美しい外観と甘くてジューシーな食感が特徴です。

 令和2年10月23日に初出荷されました。まだまだ、出荷量は少ないですが、「紀州てまり」をどうぞよろしくお願いします。

【出荷時期】10月下旬~11月上旬

農家の仕事スケジュール

● 剪定 1月から2月

● 摘蕾 4月下旬から5月中旬 枝の中央部分に下向きについた蕾を主に残し、上向きの実や枝に邪魔され大きくならない枝の根元部分の蕾など約8割を摘み取ります。

● 摘果 6月下旬から7月 ヘタが大きく果実の肥大が見込まれる果実を残して、最終的には、1本の木から収穫される果実は元の蕾の数の約10分の1まで摘果します。

● 収穫 9月から12月

美味しい柿の見分けかた

 果皮にハリがあり、色づきが良く、大きいものがおいしいといわれています。

また、ヘタが大きく実との間に隙間がないものを選んでください。

「柿」と健康のお話

昔から、「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われています。柿は、ビタミンC、ビタミンA、カロテノイド類、ポリフェノール類などの抗酸化成分を豊富に含み、甘味や食物繊維なども豊富に含む栄養豊富な果物として認識されています。

「ジャパニーズスーパーフード」として認定

スーパー

「和歌山県産たねなし柿」は、2020年7月に日本スーパーフード協会から、様々な疾病に関連する酸化ストレスを抑制する抗酸化成分の豊富さに注目して「ジャパニーズスーパーフード」として認定されました。

その他商品紹介など

・おいしく食べて和歌山モール〔和歌山食のポータルサイト〕

  ⇒ https://oishii-wakayama.com/

・プレミア和歌山(和歌山県優良県産品)〔商品紹介サイト〕

  ⇒ https://premier-wakayama.jp/

・わかやま紀州館〔和歌山県アンテナショップ〕

  ⇒ http://www.kishukan.com/ TEL: 03-6269-9434

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