わかやま食材テロワール 「いちじく」

今回の特集は、「いちじく」

 古代エジプトの壁画にもブドウとともに描かれていて、旧約聖書にも数多く登場する歴史ある果物が「いちじく 」です。原産地は、アラビア半島で、少なくとも6000年前に栽培が始まったといわれています。 無花果カット

 「いちじく」は漢字で「無花果」と書きます。花を咲かせずに実を付ける果物として有名です。

しかし、花を咲かせないわけではなく、果実の内側に空洞があって、咽頭花序(いんとうかじょ)と呼ばれる小さな花がたくさんついています。実を割ったときに見える小さな粒々が花に該当します。

 一般に果物として食用にする部分は、花嚢(かのう)と呼ばれます。 いちじくは6月ごろになるとこの花嚢の中で白い花を咲かせます。

  今年は梅雨が長く、その後は気温の高い日が続いたため例年より収穫は早くなっております。

 いちじくは日持ちがしないことから、ケーキやジャムなどの加工品でおなじみでした。生果での流通は珍しいとされていましたが、収穫方法や輸送技術の向上により完熟でお届けできるようになりました。この機会においしくお召し上がりいただける完熟いちじくはいかがでしょうか。

和歌山県のいちじく生産

 和歌山県のいちじくの収穫量は、全国の収穫量の調査 ( 特産果樹生産動態調査:農林水産省)が始まって以来 、初めて平成29年次の収穫量が全国1位となりました。県内の主要ないちじくの生産地は、紀の川市、和歌山市、岩出市、海南市、かつらぎ町です。

 和歌山県の北部に位置するこれらの地域は、瀬戸内海式気候に属し、年間を通じて温暖で、日照時間も多く、天気や湿度が安定しており、降水量も少なくいちじくの栽培に最適な地域です。

 海南市で、明治時代から続く5代目の果樹専門農家、“AOKI FARM & DELI ”の代表 青木秀文 さんにお話を伺いました。

青木さん青木さんは、1970年代に水稲からいちじくへ転作しました。今は、いちじくや 柑橘、 キウイフルーツを生産しています。また、これらに付加価値を付けドライフルーツ製造にも取り組んでいます。

栽培している主な品種は、「桝井(ますい)ドーフィン」。桝井ドーフィンは、国内で生産されるいちじくの約8割を占めている最も流通している品種です。

「桝井ドーフィン」は、熟すと果皮は赤褐色になり、白い果肉の中心が淡い赤になります。味は、あっさりとした甘みとさっぱりとした風味が特徴ですが、青木さんは、最も甘さが強く、格別に美味しくなる「樹上完熟いちじく」に惚れ込み、水分管理が行き届くハウス栽培で生産しています。完熟いちじくは傷みが早いですが、輸送方法に工夫を凝らしてお届けしています。

農家の仕事スケジュール

スケジュール

●剪定(冬から春)剪定枝

いちじくは樹勢が強く、それだけに栽培が難しいといわれています。剪定作業の基本は、結実後の枝をすべて切り落とします。

●土壌改良・施肥

2月の施肥前に土壌分析をして、不足しているミネラルを補うため、石灰、鶏糞、バーク堆肥などを施肥します。

収穫後の11月は樹勢回復を目的としたお礼肥と言われる施肥をします。

●ハウスのビニール張り

いちじくは、実が柔らかく、直接雨があたったり、泥はねするとそこから腐ったり、カビが生えたりするため、極端に雨を嫌います。また、風や病害虫から果実を守るためにハウス栽培をしています。

●摘芯、誘引

新芽が出てくる4月~5月に摘芯を行います。また、日当たりをよくするため茎や枝を伸ばしたい方向へ導き固定して形を整える誘引も行い、主枝が横に一直線になる一文字整枝仕立で栽培しています。

●収穫

着色の程度や触感を確認しながら収穫します。収穫時期は、7月中旬から10月下旬です。

●ハウスのビニール除去

収穫が終了したらビニールを外し、寒さにあてて休眠させます。

イチジクハウス

美味しいいちじくの見分けかた

いちじくは、新鮮なものの見分けが重要で、新鮮でおいしいいちじくを見分けるポイントは以下のとおりです。

 ・ 果実全体が締まっていて、左右対称でふっくらとつやが良いもの

 ・ ズッシリと重いもの

 ・ 赤色が濃いもの

期待される機能性

 いちじくには、便通や整腸に役立つ食物繊維のペクチンや、皮を剥く際に出る乳白色の汁にタンパク質の消化をよくする酵素フィシンが含まれています。また、視力に役立つアントシアニン系の色素が含まれています。

その他にもカリウムやカルシウムなどのミネラルやビタミンB群やビタミンCなどが含まれています。

主な栄養素:アントシアニン/フィシン/ペクチン(食物繊維)/ カリウム /カルシウム/ 鉄分/亜鉛/ビタミンB1、B2、B6、C

いちじくは漢方でも使用されていて、乾燥した実は無花果(むかか)、葉は無花果葉(むかかよう)として漢方の生薬として利用されている食材です。

その他商品紹介など

・おいしく食べて和歌山モール〔和歌山食のポータルサイト〕

  ⇒ https://oishii-wakayama.com/

・プレミア和歌山(和歌山県優良県産品)〔商品紹介サイト〕

  ⇒ https://premier-wakayama.jp/

樹上完熟イチジクドライイチジクドライイチジク2

・わかやま紀州館〔和歌山県アンテナショップ〕

  ⇒ http://www.kishukan.com/ TEL: 03-6269-9434

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