わかやま食材テロワール 「ぶどう」

今回の特集は、「ぶどう」

デラウエアワイン業界から派生したといわれるテロワールの考え方(生産地の地勢、気候による特徴) 。ワインの原料の「ぶどう」は特にテロワールの影響を受けやすく、ワインの品質や味わいは、「ぶどう」の出来に左右されるともいわれています。

世界では、ぶどうの生産量の約7割がワインの原料になり、生食は2割程度。国内では約9割が生食に利用されています。

そこで、国内の需要や気候・風土にあった日本独自の品種改良がなされて、生食用のぶどうが、 、国内の全地域で栽培されています。

和歌山県の主要なぶどうの生産地

和歌山県の主要な生産地は橋本市、和歌山市、かつらぎ町、有田川町にあります。

橋本市でぶどう農園を営む堂田奈央さんにぶどう栽培についてお話を伺いました。

園主の祖父がこの地で創業して60年を超えました。当園は1haの傾斜地に雨よけ栽培をし、8月上旬より10月上旬まで20種類のぶどうを栽培しております。8月上旬よりデラウェア、ブラックビート、黒いバラードなどの販売を開始しています。

今年は、和歌山県内も梅雨時期の長雨とその後の日照りに見舞われたため、影響を心配しましたが着色に遅れがあったものの、糖度も高く高品質な果実に仕上がっています。

堂田氏

テロワール

橋本市橋本市の中央を東西に流れる紀ノ川流域は、複数の地質が帯状に配列された豊かな土壌で、保水性と排水性のバランスがよく、北側に発達した河岸段丘と、南側にはなだらかな山々と平野が広がります。

南には、世界遺産にも登録されている霊山・高野山があり、温暖な和歌山県では珍しく冬の積雪が多い寒冷地です。この高野山から繰り出す寒気が紀ノ川の水が生み出す上昇気流と交わると夏から秋にかけての昼夜の温度差は10度にもなります。また、所々に紀ノ川に向かって山が迫る狭窄部があるために、寒気がせき止められて橋本市や高野口町の辺りで霜を降らせます。橋本市は、朝霧の発生する街でも有名です。

この地域の気候は瀬戸内式気候帯に属し、降水量は比較的少なく、昼夜と年間の気温の高低差が大きく内陸性気候の傾向も示しています。

一般的に、ぶどう栽培は、水はけが良く、適度に風通しがよく、降水量も少なめで日照量が長く、一日の気温差が大きい土地が望ましいとされます。

本来、日本のような雨の多い気候は、ぶどうに病害や虫害が出やすいため、雨の対策が重要で、ビニールの屋根を設営したり、袋掛け時に傘を掛けるなど、生産者は手間を惜しみません。

袋掛け

和歌山県で栽培される代表的なぶどうの品種

ぶどうの品種は非常に多く、さらに品種改良が進められて、新たなぶどうが次々と登場してきています。

近頃は、種なしで皮ごと食べられる品種の人気が高まり、2006年に品種登録されたシャインマスカットは年々支持を集めています。

品 種

収穫時期

特 徴

デラウエア

プリンセスデラ

8月上旬~

8月下旬

種なしブドウの定番として古くから一般的に親しまれている。果粒は小粒でも、強い甘さと、それを支えるに十分な酸味をもち、ほのかな芳香があります。

巨峰

巨峰

8月上旬

9月下旬

果皮は濃い紫黒色をしていて、果肉は淡い緑色。しまりがある果肉は甘味が強く、果汁も豊富です。今では黒ブドウの定番品種となっています。

ピオーネピオーネ

8月下旬

9月中旬

色は濃い紫から紫黒色で、粒が非常に大きく食べ応えがあるブドウです。爽快な香気(マスカット)をもち、風味が良い。果汁多く、糖度も16度以上になり、強い甘さがあるが酸味とのバランスが良い。

藤稔

藤稔

8月中旬~

9月上旬

最大の特徴は粒の大きさです。大きいものではジューシーな果肉で肉質はやや柔らかめです。ずっしりとして甘みが強いです。

シャインマスカット

シャインマスカット

9月上旬

9月下旬

果粒が大きく、楕円形で、果皮の色は黄緑色で薄く、皮ごと食べることができます。

マスカットの香りがあり、糖度も高く甘いブドウです。

ロザリオ・ビアンコ

ロザリオ
9月上旬~10月

皮の色は緑黄色で、完熟すると黄色みがかります。粒は楕円形で、大粒です。糖度が高くて甘みが強く、酸味は控えめ。香りはあまりありませんが、果汁が豊富でジューシーな食感です。

皮は薄いので皮ごと食べることができます。

農家の仕事

スケジュール
スケジュール

●剪定(冬から春)

剪定作業は栽培の上で重要です。冬場の剪定もしっかりやっておくと、実の出来具合も違います。

●ジベレリン処理(開花期_春)

開花期のぶどうの房をジベレリンというホルモンの溶液につけることで種なしになります。ジベレリンはもともと植物が持っているホルモンで、安全性が確認されています。

●ビニール張り

ぶどうは極端に雨を嫌うので、ビニール屋根を張って直接雨が当たらないようにします。

●施肥

11月、3月に肥料を与えます。

●摘房・摘粒

花蕾が多いと養分が分散されて結実不良になりやすいので、一部を切り取る房づくりをします。摘房・摘粒などの細かい作業も行います。

●袋かけ

一房ごとに袋掛けを行い、傘掛けも行います。

●ビニール除去

ビニール張りの天井では温度が上昇しやすいため、袋・傘掛けの後は、台風のシーズンまでにビニールを外します。

●収穫

袋の端に開けた穴から着色の程度を確認しながら収穫します。

美味しいぶどうの見分けかた

果実がふっくらとして果皮に張りがあるもの、

果皮にブルームが付着していて、ぶどうの色が濃いもの、緑のぶどうは黄みがったものを選びましょう。

期待される機能性

ぶどうには、アントシアニンやフラボノイド色素、渋みの成分など多種類のポリフェノールが含まれています。これらのポリフェノールには、強い抗酸化作用があり、動脈硬化や脳卒中など循環器系疾患の予防に効果が期待されています。

からだにおいしいあたらしい栄養学より :高橋出版、吉田企世子(女子栄養大学名誉教授)、松田早苗(女子栄養大学短期大学部教授)監修

その他商品紹介など

・おいしく食べて和歌山モール〔和歌山食のポータルサイト〕

  ⇒ https://oishii-wakayama.com/

・プレミア和歌山(和歌山県優良県産品)〔商品紹介サイト〕

  ⇒ https://premier-wakayama.jp/

・わかやま紀州館〔和歌山県アンテナショップ〕

  ⇒ http://www.kishukan.com/ TEL: 03-6269-9434

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