わかやま食材テロワール 「梅」
今回の特集は、「梅」
梅の産地和歌山では、暖冬の影響で開花が早く花が充実していなかったうえ、開花期での低温・降雨によりミツバチによる受粉が不調であったことから、今年の生産量は例年の8割程度になると予想されています。
しかし、病害虫や雹などの自然災害の発生による被害がなく、外観が綺麗で品質の良い果実に仕上がっており、本県主力品種の南高梅の今年初売り価格は過去10年で最高値となりました。
さて、6月6日は「梅の日」。
今をさかのぼること四百六十余年の大昔、日本中に晴天が続き、作物が育たず、田植えもできなかったため、六月六日に時の天皇が賀茂神社に詣で、梅を賀茂別雷神に奉納して祈ったところ、たちまち雷鳴とともに大雨が降りはじめ、五穀豊穣をもたらしました。
人々は、その天恵の雨を「梅雨」とよび、梅に感謝するとともに、災いや疫病を除き、福を招く梅を梅法師(うめぼうし)と呼んで、贈り物にするようになったといわれています。
これから暑さ厳しい時期を迎えるにあたり、さわやかな梅ジュースや、熱中症対策に梅干しをためしてみてはいかがでしょう。
農家の作業スケジュール
【4月】
梅農家さんが、畑に青色のシート状のネットを敷きつめるため、周辺の斜面は一様に青色に染められます。自然に落下するまで樹上で熟するのを待って収穫する完熟梅の収穫準備です。完熟梅は、梅干しに用いられます。
【5月下旬から6月中旬】
青梅の収穫。小梅から順次、収穫が始まります。青梅は主に梅酒用に手摘みされて市場に出荷されます。
【6月中旬から下旬】
樹上で黄色くなった完熟梅は、一個一個丁寧に手摘みにするほか、梅干し用には、事前に敷き詰めたネットで受け止めて収穫します。
ネット収穫した完熟梅は、フルーティーで香りが高く、果肉がやわらかいのが特徴です。
青梅に比べ完熟梅はあまり市場には出回りませんが、もし、ご家庭で青梅で梅干しを漬ける場合は、青梅を2、3日保管して、実が黄色くなるまで追熟させてから塩漬します。
農家さんは、完熟梅を収穫したその日のうちに塩漬けします。
【 7月から8月】
農家さんのところで約1か月間塩漬けされた後、3~5日間天日干しします。できた梅干しは塩分約20%の白干し梅です。白干し梅は加工業者が買い取り、はちみつ梅やしそ梅などに加工します。
梅は熟期により加工用途が分かれます
青くて硬い実は、梅肉エキスや梅酒や梅サワーに、少し黄色く色づいた梅の実は梅干しに、甘い香りがする黄熟梅は梅ジャムにするのがおすすめです。

【青 梅】 |
5月下旬~6月中旬 |
梅酒、梅シロップ、しょうゆ漬け、ピクルス、梅エキス、甘露漬け |
【完熟梅】 |
6月中旬~下旬 |
梅干、梅酒、梅ジャム |
梅加工レシピ
JA和歌山県農「ココ・カラ。和歌山」
南高梅生産農家がお教えする「南高梅の簡単加工レシピ」の動画サイトはこちら
⇒ https://www.youtube.com/watch?v=UmLEh4hl6gU&feature=emb_logo
梅の有効成分
梅は糖分が少なく、酸味が強いため生食はせず、梅干しなどの加工品に利用されます。
酸っぱい成分は有機酸。なかでもクエン酸が豊富です。クエン酸には疲労回復効果があるほか二日酔いで肝臓を酷使している方にも有効です。便秘、咳止め、神経痛の緩和にも効果があります。
また、有機酸はだ液の分泌を促します。だ液は消化吸収を助け、粘膜の保護や侵入してきた細菌を殺菌することが知られています。
出典:からだにおいしいあたらしい栄養学
吉田企世子(女子栄養大学名誉教授)
松田早苗(女子栄養大学短期大学教授)監修
和歌山県で栽培される梅の品種
南高 (なんこう) |
みなべ町で誕生した日本を代表する品種です。 梅酒・梅ジュース、梅干、梅ジャムなどの素材としてオールマイティに用いられます。大粒で皮が薄く果肉が厚くて柔らかく、梅干し用としては最高品種とされています。 梅の実に美しい紅をさすのが特徴で、紅の部分が全体の1/3以上あるものは紅南高梅と呼ばれています。 【旬】(青梅)6月上旬から6月下旬 |
古城(ごじろ) |
5月下旬から収穫が始まります。果肉が厚く種が小さく、鮮やかな緑色と香りの高いのが特徴。カリウム、マグネシウム等のミネラルが豊富です。梅酒、梅ジュースにすると透明感のあるさっぱりした仕上がりになります。 【旬】5月下旬から6月上旬 |
ミスなでしこ |
果皮が美しい紫色で、その外観から「紫宝梅(しほううめ)」とも呼ばれます。 南高梅よりもやや小粒で、誕生した三栖地区を中心に、田辺市内の十数戸で栽培される希少な梅です。 梅シロップや梅酒にすると綺麗なピンク色が楽しめ、ジャムにすると紅紫色に仕上がります。 【旬】6月上旬から6月中旬 |
パープルクイーン |
日本で唯一、JA紀南だけが栽培している、生産量も少ない希少な小梅です。 果皮が鮮やかな紅紫色の小梅で、アントシアニンが一般的な梅より多く含まれています。 梅ジュースや梅酒に利用すると、ワインのような鮮やかな紅紫色に仕上がります。 【旬】5月下旬から6月上旬 |
露茜(つゆあかね) |
(独)果樹研究所が、スモモとウメを交配。大粒で、果皮・果肉ともに鮮紅色に着色します。うめシロップや梅酒にすると、紅色がきれいです。 【旬】6月中旬から7月上旬 |
その他商品紹介など
・おいしく食べて和歌山モール〔和歌山食のポータルサイト〕
⇒ https://oishii-wakayama.com/
・プレミア和歌山(和歌山県優良県産品)〔商品紹介サイト〕
⇒ https://premier-wakayama.jp/
・わかやま紀州館〔和歌山県アンテナショップ〕
⇒ http://www.kishukan.com/ TEL: 03-6269-9434