凄いぞ! 和歌山
豊かでダイナミックな自然に恵まれた和歌山。
しかし凄いのはそれだけじゃない!
あっと驚く技術を持った企業をご紹介。
パイル産業×撚糸技術
ねじれるものは何でもねじる
撚糸の持つ大きな可能性
古くから高野山参詣の玄関口として栄え、江戸時代にはすでに織物が盛んだった橋本市高野口町。やがて技術が進み、昭和には日本一の生産高を誇るパイル織物が生まれ、現在にも技術が継承されている。そんな地域で、繊維産業に欠かせない、“糸”を作っているのが“林撚糸”だ。4代目社長の林雄太さんは「当社は昭和7年に大阪で創業し、染物や軍足を手掛けていました。戦時中に一家で高野口へ疎開。織物の産地で何が必要とされているかを考え、2代目である祖父が撚糸事業に着手したそうです」と話す。
撚糸とは、糸と糸をねじり合わせること。複数の糸や異素材のものを束にすることで、繊維の性能を高めたり、特性を変化させることが可能になる。「代々受け継がれている精神は、ないものをつくること。素材にこだわらず“ねじれるものは何でもねじる”をモットーにしています」と林さん。
これまで林撚糸は、その柔軟な発想と磨き上げてきた独自の技術のもとで、多彩な製品を生み出してきた。中でも注目したいのが、生体センシングに関わる導電性素材の撚糸技術だ。医療機器に使用される極細ワイヤーと、コットンなどの肌触りの良い素材を融合した糸でつくられた衣類を身に付けることで、誰でも気軽に日常の健康状態を測ることが可能になる。加えて、膨大な情報収集により医療の発展が期待される。
糸の持つ可能性を追求し、画期的な製品を作り続ける林撚糸。同社の技術は、万博パビリオンの内装材としても使われる予定で、業界を超えたこれからの活躍が楽しみだ。