「炭焼きを通してたくましく生きる力を手に入れた」と笑顔が眩しい伊藤夫妻。
Wakayama移住定住ヒストリー
自分らしさを求め
たどり着いた紀州備長炭の地
紀州備長炭 伊藤商店 ● 伊藤弘貴さん 周子さん
最高品質の木炭として知られる紀州備長炭の炭焼き職人として生計を立てている伊藤弘貴さんと周子さん。周子さんは東京で東日本大震災を経験し、それを機にこどもを田舎で育てたいと関西に移住。まもなく弘貴さんと出会い、3人の生活が始まったものの、より自分らしく暮らせる場所はないかと探していた時、「和歌山県の移住フェアに参加し日高川町を知りました。移住者も多く、受け入れにも積極的に取り組み、多様性のある町であること、地場産業に従事できることも魅力に感じました」とご夫婦。早速町を訪れてみると、ご近所の人から「早くおいで」とうれしい言葉が投げかけられた。さらに思い描いていた古民家も見つかり、こどもが小学校に上がるタイミングで移り住んだ。
日高川町に住むにあたり、弘貴さんは炭焼き職人になることに迷いはなかった。修行中に「使っていない窯があるよ」と声をかけてもらい、譲り受け独り立ちもした。「周りの人たちが気にかけてくれるのもありがたいです。山の木を切り、炭にして売る。自分たちは和歌山の自然のおかげで生活しています」と感謝の気持ちを忘れず備長炭作りに日々勤しむ。また、2018年には長男が、2021年には次女が誕生し、現在は家族5人、そして猫3匹とともに賑やかな毎日を送っている。
仕事に子育てに大忙しのふたりではあったが、2023年夏に、古民家をもう1軒借り、国内外の学生らが田舎暮らし体験を行う「教育民泊」の受け入れを始めた。「旅に出る機会が減ったので、それなら来てもらおうと思ったんです。外国人のお客様だと言葉が通じないこともありますが、一緒に料理するなどして家族全員でおもてなしをします。将来は炭焼き体験も取り入れたり、援農に来ている人達のためのシェアハウスを始めたいな」と目を輝かせる周子さん。ご夫婦の周りは笑顔が溢れ、出会った人との絆がしっかり結ばれている。