イベントレポート“りぃぶる”語り合い広場「男性の“生きづらさ”とその向き合い方~男性相談窓口から~」
講座・イベント情報
イベントレポート
講座名
“りぃぶる”語り合い広場「男性の“生きづらさ”とその向き合い方~男性相談窓口から~ 」
講師
濱田智崇 さん(京都橘大学 総合心理学部 総合心理学科 准教授・男性専門カウンセリングオフィス天満橋代表・一般社団法人日本男性相談フォーラム理事)
開催日時
令和7年9月6日(土)13:30~15:30
場所
紀の川市打田生涯学習センター(紀の川市西大井363)
内容
日本初の“男性が男性の悩みを聴く”電話相談を大学2年生の時に開設し、以来30年間電話相談を続ける傍ら、各地の男性相談員養成にも尽力され、内閣府や各行政の委員等も務める濱田智崇さんを迎えて、相談現場からの豊富なご経験からのお話を伺いました。
まず、男性相談は、現在、全国に約80か所の機関があるが、認知度が低くまだまだ潜在的な需要があると話されました。
最も多い相談内容は“性”に関する悩みで、性器についての悩みの他、性暴力の悩みも多く、表面化しにくいが深刻なケースも多数あると紹介されました。次に多い相談は“性格・生き方”についての相談で、男性は競争社会で常に勝つことをより求められ、「男らしさ」を期待される。「男らしさ」の期待に応えようとする男性は挫折した際、「弱い自分が悪い」と自分を責め、悩み、「男らしさ」に違和感を抱える男性は「周りとの競争をやめたい」と悩むのだと解説されました。また、「男は弱音を吐くべきではない」と考える男性は誰にも相談できず、自殺者は女性の約2倍いると説明されました。
現代社会は、間違った発言をすることが許されない「不寛容な社会」がベースにあるとされ、男性の生きづらさと向き合ういろいろなヒントを次のように紹介されました。自身のあたりまえを疑い、自分を客観視する。「〇〇ねばならない」を「〇〇だったらいい」に、「〇〇すべき」を「〇〇したい」に置き換えて考える。また、あるがままの自分を許容する。本当に伝えたいことを自分を主語にして言う〔You(ユー)メッセージではなく、I(アイ)メッセージ〕。悩みを共有する。相手の感情を受け止め共感するなど。
最後に、大切なことは、社会全体で従来の男性優位社会由来の「かくあるべし」からの解放を目指すことだと強調され、終始、納得性の高いお話でした。
アンケートでは、参加者の動機として、「ジェンダーは男性側に対してもあり、強くあらねばならないのは疲れる。弱音をはける場づくりをしていきたいので参加した。」や「Gender Equalityという視点を男性の立場からみていくことは重要だと思っていたので。」という声や講座については「夫婦間の“無視”がDVにあたるのはなるほどと思いました。」や「男性の“生きづらさ”について話が聞けてよかった。夫・息子への接し方も少し気をつけようと思います。」などの声がありました。
会場の様子 濱田智崇さん