イベントレポート『語り合い広場「男性が介護するということ~新しい介護社会のなかで~」』

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イベントレポート

講座名

語り合い広場「男性が介護するということ~新しい介護社会のなかで~」

開催日時

令和2年12月5日(土) 13:30~15:30

場所

和歌山県男女共同参画センター‟りぃぶる”会議室A

講師

講師:津止 正敏さん(立命館大学産業社会学部教授)

内容

 介護のために離職する男性が20%(前年度は30%)にものぼる現代。男性が介護をする中での課題や社会背景をとおして、新しい時代の介護の現状とこれからの介護との向き合い方をお話しいただきました。

 タイトルから男性が参加しやすかったのか、男性参加者が女性参加者の2倍と男性の関心の高さが伺えました。

 講師は、「85歳以上では認知症でない人の方が少なく、介護する人もされる人も共に後期高齢者という老老介護世帯が3分の1に上ること」や「30年後には100歳を超える人が現代の7倍強の50万人を超えること」を指摘されました。そして、「介護年数の長期化や介護離職など、現行の介護保険制度だけでは対応できない新しい介護実態が出現している」と説明されました。

 介護する側も、従前は全体の4割が「妻」、「息子の配偶者」、「娘」が占めていましたが、今は「息子の配偶者」の割合は1割弱と減り、代わって「男性」、「高齢者」、「認知症や障害を抱える人」、「単身者」、「ヤングケアラー(子、孫、甥姪)」などが担っていると話されました。言いかえれば、「若くて健康で介護に専念する時間的余裕がある人」から「若さ、体力、家事や介護の経験、時間がない人」へと変化しているということでした。

 その象徴的な存在が「男性介護者」で、多くは家事の経験がないうえに介護を担わなければならず「介護だけではない、生活のすべてが辛い」という訴えが多いと紹介されました。

 このような事情から、今後の介護スタイルとして、介護サービスを利用しつつ、通いながら、子育てしながら、働きながら、通院・通所しながら介護もするという「ながら」介護を提唱されました。

 また、講師は、介護の負担を感じる介護者ほど介護に喜びを感じるという調査結果をあげ、「介護は辛くて大変だが、辛いことばかりではない」と感じるという介護感情の「両面性」をあげ、介護の中に見出す喜びが介護のモチベーションになることを示されました。

 一方、介護制度の課題として、これまでは要介護者のための法整備であったが、今後は介護者の人生も大事にしながら介護するための介護(者)手当などの経済的支援をはじめとする家族介護者支援が求められると示唆され、先進事例として川崎市の家族支援の条例をあげられました。

 最後に、講師は、介護はもしかしたらもっと深い人生の扉を開いてくれるかもしれない。介護を排除して成り立つ暮らしや働き方ではなく、介護のある暮らしや働き方を「社会の標準」にする必要があると結ばれました。

 参加者からは、「50年前の歴史も含めて、介護保険への時代の流れがとてもわかりやすく理解できた」「要介護者だけでなく、介護者の健康が要介護者のためにもなる」「介護の両価値など新しい概念を勉強することができた」などの感想を、また、実際に介護離職した男性参加者からは、「男性介護者の課題が身近にあることを実感しました」 との感想をいただきました。


 講座風景(津止)  講座風景(全体) 

    津止 正敏さん                講座の様子        
 

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