イベントレポート(平成30年度男女共同参画特別公開セミナー)

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講座名

男女共同参画特別公開セミナー
「 女性が活躍できる社会―行動経済学で考える 」

開催日時

平成30年6月28日(木) 19時~20時半

場所

和歌山ビッグ愛 1階大ホール

講師

大竹 文雄さん  (大阪大学大学院経済学研究科 教授 )

内容

 男女共同参画に対する理解を深め、男女共同参画推進の気運を高めることを目的に、和歌山市、一般社団法人和歌山社会経済研究所との共催で開催しました。

 NHKの番組にも出演され、世の中の問題を行動経済学の観点からわかりやすく分析されている大竹文雄さんに、女性にとっても、男性にとっても活躍しやすい働き方の極意について話していただきました。

 最初に『外科医のクイズ』を出題し、参加者に男女の性差による「無意識のバイアス」「思い込み」がないかどうかを問われ、皆、自分のジェンダー意識を振り返るところから始まりました。

 次に、講師は自らが解説を書いた「WORK DESIGN」から引用して、ダイバーシティ研修の効果について、人々の価値観を変えることは難しいが、行動経済学的特性をもとに、適切な表現やデザインを導入すれば人々の行動は変えられると説明されました。それは、「ナッジ(nudge 合図や注意の為に肘で人をそっと突くこと)」を利用した政策で、イギリスの大臣の発言の変化、督促状のメッセージ、ホテルのタオル再利用促進の文章、「約束を守らない人がこんなにいる」という情報を示すのではなく、「約束を守る人はこの割合でいる」と目的とするところの情報を提示することで、対象者は、「自分も約束を守る人の仲間に入ろう」と考え行動する傾向にあることが実証されているなど、様々な例を引いて、行動経済学を利用して人々の行動を変えられることをわかりやすく説明されました。

 続いて“管理職に占める女性の割合”について、女性の管理職が少ない理由として、データを示しながら従来から女性の昇進が少なかったこと、女性が昇進を希望しないこと、さらにその原因として、家庭の負担が女性に多くかかっているため仕事と家庭の両立が難しい、ロールモデルがないなどがあげられました。賃金格差をめぐる経済学については、昇進格差の実態として時間的調整がしやすい職種(特に営業職)で男女間賃金格差が大きいことや、女性は離職しやすいなどの「統計的差別」は、実際にはそうでなくても企業側の思い込みだけで事実になることを挙げ、柔軟な働き方の普及が必要と指摘しました。また、男性と女性の傾向の差があることをテニスボールの実験例を挙げて、男性は自信過剰で競争を好む傾向があり、女性がいるとより自信過剰傾向は強くなるのに対し、女性は男性がいた場合、自信過少で競争を好まない傾向であるが、女性同士だと競争を好むことがわかっていることから、社会においても男性がいることでリーダーシップを発揮できない女性の場合は女性のみのグループにするなどのアファーマティブアクションが有効だと言及しました。

 まとめとして、男女共同参画を進め、女性が活躍するためには、差別的管理職を減らす、保育や労働時間等の女性職員が不利にならない体制や環境整備をする、女性ばかりのグループを作るなどの方策をとり、文化的昇進競争への選好差を解消する、女性管理職比率を設定する、女性を1人ずつ昇進させず一括採用・昇進を進める、履歴書から人種や性別等の情報を削除する、良いロールモデルをつくる、行動経済学的に情報を開示することの必要性など、今後の企業や団体運営に役立つ情報をたくさん教えていただきました。

 行動経済学の専門的な視点から様々な例を用いて、また、ユーモアもまじえながら分かりやすくお話され、示唆に富んだヒントをたくさんいただけ、充実した講演会となりました。
 

※アファーマティブアクション:弱者集団(例えば黒人や女性)など、少数派を制度的に優遇する措置の総称
 

大竹文雄さん      講座の様子

講師の大竹文雄さん              講演会の様子

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