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掲載内容





特用林産物を活用して
山村地域を活性化

 山や森林から生産されるさまざまな恵みのうち、木材以外のものを「特用林産物」といいます。きのこ類や山菜、ブドウハゼ(木ろう)、花木(枝物)、木炭など、これらはすべて特用林産物です。
 植林して出荷までに長い年月を要する林業を営む人々にとって特用林産物は、短期的な収入源として重要な役割を担ってきました。また、紀州備長炭など、それぞれの地域で文化として根付いた産品も多くあります。

地域の活性化を支援

 県では、特用林産物を活用し、担い手の確保や山村地域の振興に取り組み、山村地域における特用林産物の生産活動を支援しています。

支援事業や特用林産物について詳しくはこちら

いろいろな特用林産物

紀州備長炭(主産地:紀中、紀南地域)
 生産技術は本県の無形民俗文化財に指定されています。県木のウバメガシ等を循環利用して作られ、安定した高い火力が長時間続くため、焼き物料理に重宝されます。
紀州備長炭
コウヤマキ(主産地:伊都地域)
 仏前に供える枝物として用いられます。高野山に名前の由来を持ち、古くから伊都地域で苗から生産されています。
コウヤマキ

サカキ(主産地:田辺市、日高川町)
サカキ  古くから神事に用います。収穫したサカキを結束して作る「くくり(小花)」は、和歌山県発祥といわれており、高い技術が必要です。

イタドリ(主産地:紀中、紀南地域)
イタドリ  春先に出るタケノコ状の若芽をあく抜きして食べます。お茶やドレッシングなどの商品も開発されています。「ごんぱち」という別名は、節分時期に火にくべて音を鳴らしたことが名前の由来と伝わっています。

原木シイタケ(主産地:県内各地)
 原木はクヌギやコナラを使用し、乾(ほし)シイタケや生シイタケとして出荷されます。原木シイタケ 使用後の原木は堆肥として循環利用されます。

ブドウハゼ(主産地:海草、有田地域)
 実を搾って出来る木ろうは、和ロウソクの原材料となり、かつて本県は全国でも有数の生産地でした。近年は生産者や高校生などの活躍もあり、新しい利用法の開発等に注目が集まっています。
ブドウハゼ

わさびを地域の産業に

平井  健さん

平井わさび園 平井 健さん

わさび園のわさび田  真妻わさびは、日本全国で流通するわさびの最高級品種で、実は印南町の真妻地域が発祥です。この地域はかつて盛んにわさびを栽培していましたが、近年は生産者が減少し、専業農家は県内で当園のみと聞いています。それでも、わさび栽培の伝統を絶やしてはいけないと考え、産業の復興に取り組んでいます。生産者の仲間を増やすべく、県林業試験場と連携して新たな栽培方法の開発を進めています。
 また、先進地に何度も足を運び、栽培技術の習得に努めてきました。県の支援を活用してわさび田の改良を行い、良い品質のわさびをムラなく栽培することにも成功しています。
 今後も、歴史あるわさび産業の復興に向けて、取り組んでいきます。


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