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掲載内容

平成31年3月26日、串本町で日本初の民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」の建設が決定し、令和元年11月には、建設地で起工式が開催されました。
近年、技術進歩に伴い衛星の小型化が進み、通信や観測など、さまざまなビジネスでの活用が見込まれることから、小型衛星打ち上げの需要は増加する見通しです。この需要を取り込もうと、事業会社のスペースワン(株)は、令和3年夏の完成、同年度中の打ち上げをめざし、工事を進めています。
この名前には「宇宙への扉を開き、宇宙と地球を繋(つな)ぐ新たなゲートウェイとして鍵(キー)になる射場」という意味が込められています。
「スペースポート紀伊」には、ロケットを打ち上げる射点に加え、射場全体の管理・運営のほか、人工衛星の整備や点検、ロケットの発射管制を行う施設(総合指令棟)やロケットの組立や点検を行う施設(ロケット組立棟)などが建設される予定です。



串本町は、ロケット発射場に必要な安全性や輸送面などの条件を満たしています。
「スペースポート紀伊」では、民間の小型ロケット発射場として、契約から打ち上げまでの「世界最短」と打ち上げの「世界最高頻度」で、小型衛星の商業宇宙輸送サービスが展開される予定です。
【輸送】衛星の運搬がしやすい(飛行機、陸送や船)
【環境】宿泊・レクリエーションが充実
・射場運営効果 51億円/年
・観光消費効果 13億円/年
建設に伴う直接投資や雇用創出などに加えて、新たな観光資源としても期待されています。県の試算では、10年間で670億円程度の経済波及効果を見込んでおり、継続して観光客を呼び込むための取組が重要になります。
令和3年度の初打ち上げに向けて、見学場の整備や想定される交通渋滞への対策が必要となることから、県が中心となり、串本町や那智勝浦町、商工団体、交通関係の機関などから構成される協議会を設立し、議論を始めています。


打ち上げ回数が多い小型ロケット発射場なので、見学の機会も増え、観光面での期待は大きいです。
串本の観光は自然や体験が中心ですが、ロケットを目的に、これまでとは嗜好(しこう)の異なる観光客が来られると思います。そのような観光客をロケットだけでなく、自然や体験などにいかに誘導するかが重要になります。船を使って海側から見たり、大島から見たりと見学場所も検討し、楽しんでもらえるように受け入れの準備をしていきたいと思います。