第1回わかやま環境大賞表彰式

1 表彰制度の目的

 地球温暖化やオゾン層の破壊など、私たちを取り巻く環境への関心や取り組みはますます広がりつつあります。

 本表彰制度は、こうした流れを踏まえ、環境の保全に関する実践活動が他の模範となる個人又は団体を表彰し、その活動事例を広く県民に紹介することにより、県民の環境保全に関する自主的な取り組みを促進することを目的としています。

2 表彰式の日時及び場所

  1. 日時 平成14年6月5日(水曜日) 午後1時30分から午後2時
  2. 場所 和歌山県民文化会館 小ホール

3 受賞者一覧

「わかやま環境賞選考委員会」による選考を経て知事が決定。

(1)わかやま環境大賞
  株式会社 東洋精米機製作所

(2)わかやま環境賞

ア 県民部門

イ 事業者部門

ウ 教育部門 和歌山市立福島小学校

エ 行政部門 白浜町

(3)特別賞(感謝状)
  和歌山県自然環境研究会

わかやま環境賞選考委員会名簿
役職 氏名
和歌山県商工会議所連合会常任幹事 尾崎 武久
元和歌山県教育委員会委員 加藤 容子
和歌山大学助教授 神吉 紀世子(会長)
和歌山県生活学校連絡協議会長 小林 貞子
和歌山県環境生活部長 秋月 成夫

「わかやま環境大賞」候補者の選考について

 第1回目の「わかやま環境賞」に多くの方々から応募(73件)がありました。

 県内各地で、また、団体や個人、事業者、学校、行政機関のさまざま分野で多くの環境保全の実践活動が行われており、県民の皆様の環境に対する意識が非常に高まっていることに感銘を受けました。

 今回応募された方々の活動については、どれも環境保全上有益なものばかりで、選考には非常に苦慮したところですが、本表彰制度の目的が、「環境の保全に関する実践活動が他の模範となる個人又は団体を表彰し、その活動事例を広く県民に紹介することにより、県民の環境保全に関する自主的な取り組みを促進すること」から、


(1)活動が多様な立場の人々の参加を得た広がりを持つものであること、

(2)活動が継続的なものであること、

(3)活動に特色があること、

(4)環境保全の効果が現れていることを基準に判断


し、次のとおり選定しました。

1.わかやま環境大賞 株式会社 東洋精米機製作所

2.わかやま環境賞

(1)県民部門 新宮市海ガメを保護する会
       
自然回復を試みる会 ビオトープ孟子(もうこ)

 ボランティアグループ 福寿会

(2)事業者部門 住友金属物流株式会社和歌山事業部 うなばら奉仕団

 ダイビングスクール&ショップ スタードルフィンズ

(3)教育部門 和歌山市立福島小学校

(4)行政部門 白浜町

3.特別賞(感謝状) 和歌山県自然環境研究会

わかやま環境大賞

(1)受賞者
 株式会社 東洋精米機製作所

(2)評価
 水質汚染の原因のひとつである「米のとぎ汁」の対策にいち早く取り組み、また、排出された後に汚染原因物質を浄化するのではなく、汚染原因物質の排出そのものを無くすという独創性のある技術を開発している。
 また、その技術を全国的に広く普及させており、環境保全に大きく貢献していると認められる。

(3)受賞者の概要
 ア 代表者
  代表取締役社長 雜賀 慶二(さいか けいじ)
 イ 活動事例の名称
  「BG無洗米」及び「米の精」を軸とした環境汚染防止と継続的な環境保全活動の取り組み
 ウ 活動の契機等
  長年にわたる米の研究の中で、リンが大量に含まれている米のとぎ汁が水質汚染の大きな要因であることを突き止め、米のとぎ汁を流さないようにすれば、水質汚染は大きく改善されると考えた。
  米のとぎ汁を流さないようにするには「無洗米」を開発する以外にないと考え、昭和51年より開発に取り組み平成3年に「BG精米製法」を完成させた。
 エ 活動内容
 (ア)「とぎ汁汚染防止」を早期に実現するため、 全国各地に米穀企業等との合併会社・レンタル方式によるBG無洗米加工工場を設立し、供給体制を整える(現在BG無洗米加工工場は全国に45工場、平成13年度1年間の総生産量は35万トン)。
 (イ)無洗米製造時に回収された肌ヌカを有機質肥料として田畑に戻す循環型・環境保全型農業を展開
 (ウ)「とぎ汁汚染防止」を中心に環境意識向上を目的としたセミナーや講演会を全国各地で開催。雑誌への寄稿、新聞広告の掲載などの啓発活動を行う。
 (エ)平成11年5月に県内に本社を置く企業として最先にISO14001の認証を取得した。

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わかやま環境賞 県民部門

(1)受賞者
 新宮市海ガメを保護する会

(2)評価
 当初個人で始めた取り組みが、平成元年に地域住民による組織化がなされるなど、活動に広がりが認められる。また、個人の取組みは、昭和50年から始まっており、いち早く動物保護活動を実践しかつ継続している活動であると認められる。

(3)受賞者の概要
 ア 代表者
  速水 政夫(はやみ まさお)
 イ 活動事例の名称
  新宮市王子ケ浜に上陸する海ガメの卵の保護、王子ケ浜に打ち上げられたゴミ類の清掃活動
 ウ 活動の契機等
  健康のための浜歩きの際に盗卵の跡を見つけ、種の存続の危機を感じた。また、打ち上げられたゴミ類の多さと、砂浜の浸食状態に心が痛んだ。
 エ 活動内容
  (ア)海ガメの上陸期である5月上旬から9月末まで毎日早朝に新宮市王子ケ浜(川口から御手洗)約3.5キロメートルをパトロールし、産卵した卵を人口ふ化場に移し保護している。
  (イ)地区の小学生等による海ガメの赤ちゃんの放流など環境教育の一環としての活動にも寄与している。
  (ウ)年間を通じて王子ケ浜の清掃を行っている。

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わかやま環境賞 県民部門

(1)受賞者
 自然回復を試みる会 ビオトープ孟子(もうこ)

(2)評価
 現在の環境を維持するのではなく、放置田を掘削することによりトンボ等の水生昆虫の生息環境を復元するという特色のある活動である。
 また里山環境の保全活動を行う里山案内人養成講座を開講し活動スタッフの拡大に努め、当初1枚の小さなトンボ池で始めたものが2.3ヘクタールの借用放置田を管理するまでになっており、活動に広がりが認められる。

(3)受賞者の概要
 ア 代表者

  北原 敏秀(きたはら としひで)

 イ 活動事例の名称
  孟子不動谷における「稲作水系」と「薪炭林」の保全管理と生物相の調査保全並びに環境教育、環境学習のサポート、実践

 ウ 活動の契機等
  昔ながらの水田に生息するトンボ、ミズスマシ、ミズカマキリ等の水生昆虫の生息環境を復元し、近隣の子供達に水生生物とのふれ合いの機会を設けることを目的に発足した。

 エ 活動内容
 (ア) 海南市孟子不動谷地区内の放置田を借用しトンボ池を保全管理し、水生昆虫の生息環境 の復元に取り組むとともに、不動谷地区の生物相の基礎調査を行っている。
 (イ) 里山案内人養成講座を開講するとともに、子供を対象とした自然観察会等を実施している。
 (ウ) 孟子不動谷に生息するトンボの生態写真を掲載した「孟子トンボ谷」を出版した。

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わかやま環境賞 県民部門

(1)受賞者

 ボランティアグループ福寿会

(2)評価
 海岸、駅前の清掃といった地道な活動を毎月、日を決めて、長年(12年)にわたり行っていることに会の方々の一方ならぬ努力が認められる。
 また、このような継続性のある活動は、県民に対する啓発効果も大きいと認められる。

(3)受賞者の概要
 ア 代表者
  福田 修三(ふくだ しゅうぞう)
 イ 活動事例の名称
  まちの美化活動(住みよい環境作りのための美化活動や花いっぱい運動など)
 ウ 活動の契機等
  地域社会の生活環境、文化、福祉の向上に少しでも献身寄与できることを願い、併せて自己の豊かな人間性を身につけて明日の幸せを考え、共に生きる喜びを感じ合う活動として自主的に相集いグループの結成を行った。
 エ 活動内容
 (ア) 自分たちのできる範囲内で力を合わせて地域の美化活動を行っている。具体的には、市民の憩いの場である扇ケ浜海岸一帯の清掃及び田辺市の玄関口である駅前大通り(駅から扇ケ浜)の両サイドの清掃等を毎月第三日曜日に実施している。
 (イ) 花いっぱい運動や無公害の家庭用洗剤作り等を行っている。

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    わかやま環境賞 事業者部門

    (1)受賞者
     住友金属物流株式会社和歌山事業部 うなばら奉仕団

    (2)評価
     清掃といった地道な活動を担当部署別に役割分担を行うなど組織的、計画的に長期間(26年)にわたり実施しており、事業者及び従業員の方々の環境保全に対する意識の高さが認められる。
     また、このような継続性のある活動は県民に対する啓発効果も大きいと認められる。

    (3)受賞者の概要
     ア 代表者
      団長 谷 拓哉(たに たくや)
     イ 活動事例の名称
      清掃奉仕活動
     ウ 活動の契機等
      昭和50年当時の社員・有志の提案で「1.愛と汗の理行一致の精神で、心身の鍛錬に励む。1.愛と汗の理行一致の精神で、地域社会に奉仕する。1.我々は教養を高め、視野の広い人間になろう。1.我々は明魂を顕現して、自己の完成を期そう。1.我々は環境を美化して、明るい社会の建設を期そう。」を理念目標として活動している。
     エ 活動内容
      年度始めに、団の総会を開き月毎の清掃場所、各種業務の担当部署を決め、継続的に清掃活動を行っている。

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    わかやま環境賞 事業者部門

    (1)受賞者
     ダイビングスクール&ショップ スタードルフィンズ

    (2)評価
     日常生活の中では、気づくことができない海中の清掃活動を行っており、特色ある活動にいち早く取り組んでいるものと認められる。
     海中清掃活動の今後の広がりを期待するものである。

    (3)受賞者の概要
     ア 代表者
      中家 勝之(なかや かつゆき)
     イ 活動事例の名称
      ワン ダイブ ワン クリーン
     ウ 活動の契機等
      天神崎でダイビングの講習をしている時、水底に沢山の空き缶が転がっていた。持っていた袋に空き缶を詰めていると、生徒達も一緒になって拾い集めてくれた。
     エ 活動の内容

     (ア) 毎回のダイビングで海中より1個のゴミを回収する。

    実績(1999年4月から2002年3月までの3年間)
    300ダイブ(年間)×500人(年間)×1個=約150,000個/年
    150,000個×3年間(活動期間)=約450,000個

    (イ) 場所を決めて年間4から5回海域の清掃を行う。

    (ウ) 環境保護に関するダイビングの講習を実施している。

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    わかやま環境賞 教育部門

    (1)受賞者
     和歌山市立福島小学校

    (2)評価
     幅広い環境活動を学校全体として取り組んでいるだけではなく、先輩から後輩へと受け継がれ、学年を超えた継続性のある活動を行っており、児童に対する教育効果も認められる。

    (3)受賞者の概要
     ア 代表者
       校長 栗山 隆(くりやま たかし)
     イ 活動事例の名称
       美しい青い星・地球をいつまでも
     ウ 活動の契機等
      20世紀は、科学技術が進歩し、私たちの生活が豊かで快適になった。しかし、一方でオゾン層の破壊、森林破壊、地球の温暖化、水質汚染、産業廃棄物や家庭ごみの処理等といった環境問題が引き起こされている。このまま何もせずに手をこまねいていては、
      未来の地球に人は住みにくくなる。今、まさに環境を守ることが教育の場に求められているということを感じ、環境教育に取り組んだ。
     エ 活動の内容

    (ア) 児童達の心のオアシスである校内の「福島の森」を守り、先輩から後輩へ受け継いでいく。

    (イ) 児童達が自ら作った有機肥料による花や野菜づくりを行う。

    (ウ) 「捨てればただのごみ、リサイクルすれば宝物」をスローガンに給食室から出る野菜くずで有機肥料を作ったり、牛乳パックからハガキを作ったり、古新聞や古布を利用したリサイクル劇を行ったりなどのリサイクル活動を行っている。

    (エ) 各学年で「環境教育一覧表」を作り各教科の中で環境に関連のある単元にを付け、環境について話し合うようにしている。

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    わかやま環境賞 行政部門

    (1)受賞者
      白浜町

    (2)評価
      早くからゴミの減量、分別収集に取り組んでおり、また町民が参加した種々の環境保全活動も実践しているなど広がりと継続性を有した活動を行っている。

    (3)受賞者の概要
     ア 代表者
      白浜町長職務代理者 白浜町助役 竹中 円也(たけなか かずや)
     イ 活動事例の名称
      「ごみの減量化と環境保全の推進できれいな町づくり」の展開
     ウ 活動の契機等
      観光の町、白浜町の環境保全に重点をおいた取り組み
     エ 活動の内容

    (ア)循環型社会の構築、ごみ減量化への取り組み

    (イ)環境学習・教育の実施

    (ウ)地域環境美化活動の実施

    (エ)環境保全の普及・啓発に関する活動

    (オ)自然環境の保全

    など様々な活動を町民も参加した形で町ぐるみで実践している。

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    特別賞

    (1)受賞者
     和歌山県自然環境研究会

    (2)評価
     自然環境調査・研究という環境保全に不可欠な基礎的調査・研究を長年にわたり実施していることは非常に有意義なものであると認められる。
     調査・研究の成果が環境保全活動に活用されるなど今後もさらに様々な展開に発展するものと期待される。

    (3)受賞者の概要
     ア 代表者
      会長 玉井 済夫(たまい すみお)
     イ 活動事例の名称
      県内の自然環境を調査・研究して把握し、その内容を発表すると共に、自然の大切さやその保全について啓蒙活動を行う。
     ウ 活動の契機
      紀南の山間部に残存していた森林(照葉樹林)について、その調査や研究がほとんどなされていなかったこと。
     エ 活動の内容

    (ア) 大塔山系に残っていた森林(自然林・照葉樹林)を調査し、それが大変貴重であることを発表しその保全を国・県及び関係機関に訴えた。そして、平成14年3月には、「大塔山系大杉大小屋(おおすぎおおごや)国有林・黒蔵谷(くろぞうだに)国有林自然環境調査報告集」 を出版した。

    (イ) 大塔山系の自然や、熊野古道に沿った自然について、「くまの文庫」をはじめ各種の書物に解説をした。

    (ウ) 県内各地の自然調査やカモシカ調査などについて、国、県などの委託調査に協力した。

    (エ) 市町村から委託される市町村誌(史)等に各地方の自然解説を掲載してきた。

    (オ) 各種の自然観察会や後援などで、自然を解説し、その保護・保全についての啓蒙活動を行ってきた。

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