NPOとの協働推進ガイドライン 1章

第1章 NPOとはどのような組織か

NPOといっても、皆さんの中には「そもそもNPOとは何か」といったふうに、NPOとはどのような組織だろうと思っている方もいるかもしれません。
この章ではそもそもNPOとはどのような組織で、どのような特徴をもっているのかについて、基本的な事項を説明します。

1 NPOとは

NPOとは、Nonprofit Organization(非営利組織)の略で、一般的には「営利を目的としない民間組織」といわれています。
「営利を目的としない民間組織」ということなら、『財団法人や社会福祉法人なども営利を目的としない民間組織ではないか』といったふうに、皆さんの頭の中では色々な組織を思い浮かべるかもしれません。
それではNPOとは一体、どのような範囲の非営利組織をいうのでしょうか。
下記の図を参照ください。

NPOについての画像

確かに広い範囲で民間の非営利組織を捉えますと、上記図の非営利組織に記載されている団体のすべてがNPOといえます。(広義のNPO)
しかしながら、現在、全国の自治体等で進められている「NPOとの協働」のNPOの範囲は、上記図の太字の部分、すなわち、特定非営利活動法人(NPO法人)及び不特定多数の利益の増進を目的とする任意団体(市民活動団体)の部分のことを指します。(狭義のNPO)
この範囲の考え方は、「非営利かつ公共的利益の領域において、市民が主体となって、自発的に社会的課題を解決することを目的として設立した団体で、組織的には、おもにボランタリーな力(ボランティア、寄附)を運営の基本に備えた継続性のある組織体」という視点からです。

  • NPO法人だけがNPOではない
    まず初めに気を付けて欲しいことは、狭義のNPOの範囲においても、NPO法人だけがNPOではなく、いわゆる任意の団体(ボランティアグループ、市民活動団体)もNPOに含まれている、ということです。
    和歌山県内をはじめとして、全国には団体自らの方針で法人格を取得できる団体であっても、あえて法人格を取得せずに活躍しているNPOは多数存在し、既に行政との協働を数多くおこなっています。
    県全体の姿勢として大事なのは、契約を締結しやすくするために安易に法人格の取得を促したり、また、協働の相手方をNPO法人だけに限定するのではなく、団体の活動している内容から判断して、最良のパートナーを選定することを心掛けることです。

2 NPO法人とは

NPO法人だけがNPOではないということを述べましたが、それではそもそもNPO法人とはどのような法人なのでしょうか。
NPO法人を理解するためにはまず、その法人制度が制定された経緯を知る必要があります。

(1)NPO法人制度が成立した経緯

皆さんも、阪神淡路大震災、ナホトカ号重油流出事故において、ボランティア、NPOがめざましい活躍をしたことはよくご存じだと思います。
しかしながら、当時、そういったNPOが法人格を取得したいと思っても、なかなか法人格を取得できない状況にありました。そのため震災後、「自発的な市民活動をおこなう団体(NPO)にできるだけ簡易に法人格を付与することができないのか。」という議論が高まり、議員立法で制定されたのがNPO法です。

(2)NPO法(特定非営利活動促進法)の特徴

NPO法(平成10年12月から施行)は、前述の経緯から、組織を継続していくうえで法人格を取得したいと思うNPOに、できるだけ簡易に法人格が取得できるよう、また、法人格を取得後もできるだけその活動を行政によって損なわれることがないよう、最大限の配慮がなされて成立された法律です。
その顕著な例が認可・許可制度ではなく、認証制度を導入している点です。また、自発的な市民活動団体の活動を損なうことがないよう、できるだけ行政の監督を避けることとし、事業報告書等の閲覧制度を設け、広く情報公開を行うことにより、行政ではなく、市民によってその活動を監視していくという視点を取り入れている点が大きな特徴となっています。

  • NPO法人は行政がお墨付きを与えたものではない
    NPO法人は、認証制度を導入し、簡易に法人格を取得できるよう、また、行政の関与をできるだけ排除する目的で制定されています。
    基本財産、過去の実績などの条件はなく、申請された書類を書面審査し、提出された書類がNPO法の認証基準に適合している場合は、その設立を認証しなければなりません。(特定非営利活動促進法第12条)
    また、NPO法人が法令、法令に基づいてする行政庁の処分または定款に違反する疑いがあると認められる相当な理由がない限り、行政がむやみに報告を求めたり、検査をおこなわないよう定められています。(特定非営利活動促進法第41条)
    したがって、法人格を取得している団体だから、というそれだけの理由で信頼できる団体であるとは限りません。活動内容、活動実績、会員数、事務局体制など(P20の選定基準の一例参照)から、協働の相手方としてふさわしいかどうかを判断していく必要があります。

3 NPOについて

(1)NPOの活動内容

NPOは不特定多数の人の利益の増進に寄与することを目的とした市民活動団体であるため、その活動分野は多岐にわたっています。具体的にどのような活動をしているのかイメージが浮かばない人もいると思いますので、主なNPOの活動をNPO法に定める17分野の活動に分けて掲載します。

  • 保健、医療又は福祉の増進
    高齢者の介護福祉、宅老所の運営、高齢者の生きがいづくり、高齢者の権利擁護、障害者の在宅介護、障害者支援、地域福祉の充実、難病患者への支援、福祉・医療サービス、酒害の防止、訪問理美容の普及、動物愛護
  • 社会教育の推進
    不登校の子どもの居場所づくり、ひきこもりの若者への支援、生涯学習の推進
  • まちづくりの推進
    花いっぱいのまちづくり、地域通貨の普及、地域の公園や公道の管理・運営、まちなみ保存活動、都市農村交流運動、過疎地域の活性化清掃美化活動
  • 学術、文化、芸術又はスポーツの振興
    伝統文化の振興、芸術家の支援、市民音楽団、スポーツ指導
  • 環境保全
    環境体験学習、リサイクル事業など循環型社会の推進、有機栽培の啓発・普及、自然体験、環境保護、環境保全の技術指導、省エネ推進、自然エネルギーの普及、植林活動、公害防止
  • 災害救援
    自然災害時の救援活動、災害被害者への支援、自然災害の調査研究、耐震防災技術の研究開発
  • 地域安全
    安全・安心なまちづくり、河川地域の監視活動、事故防止・交通安全活動、犯罪者の社会復帰支援
  • 人権の擁護又は平和の推進
    子どもの虐待防止、ホームレスの生活支援、HIV 感染者の電話相談、人権差別のない社会づくり
  • 国際協力
    留学生支援、ホームステイの受入・派遣、在日外国人支援、外国との国際交流
  • 男女共同参画社会の形成
    女性の起業家支援、セクシャルハラスメント防止、男女共同参画社会の推進、DV被害者支援
  • 子どもの健全育成
    子育て支援、保育、子どもの野外体験、チャイルドライン
  • 情報化社会の発展
    障害者・高齢者パソコン教室、地域のIT化推進、情報セキュリティの充実
  • 科学技術の振興
    大学関係者による科学技術の普及
  • 経済活動の活性化
    南紀熊野地域の活性化、商店街の活性化地域の観光振興、起業化支援、地域産業の振興、
  • 職業能力の開発、雇用機会の拡充
    障害者の職業訓練・就労支援、若年者の就労支援
  • 消費者保護
    消費者相談、消費者に対する商品に関する情報提供、商品知識の普及
  • NPO支援
    NPOの育成・支援、NPOのネットワーク化

あくまで主な活動内容を掲載しただけです。NPOは公益の領域で活動を行っているわけですから、ほぼ行政と同じ領域で活動を行っているといえ、その活動内容は、県のほぼ全部局に関係しているということになります。
また、行政の部局に関係なく自由に活動を行っているため、上記の分類ではとりあえず1つの分野にあてはめてみましたが、例えば家庭内暴力(DV)被害者支援の活動などは、人権擁護、まちづくりの推進などにも関係しており、複数の分野にまたがる活動を行っているNPOも数多く存在しています。

(2)NPOの組織構成

NPOはボランティアが集まった団体と思っている人も多いと思います。
NPOには確かにボランティアが関わっている場合が多いのですが、ボランティアだけで構成されているとも限りません。
それではそもそも、NPOの組織の構成はどのようになっているのでしょうか。
NPOの活動は福祉、環境、まちづくり、スポーツ振興など多岐の分野にわたっており、その組織構成は多様で、これがNPOの組織構成ですと一概にはいいきれないのですが、あくまで参考として、一般的なNPO法人によく見られる組織図の一例を掲載します。

NPO法人の画像

NPO法人の基本的な構成員は社員(正会員)であり、この社員は、法人の社会的使命(ミッション)に賛同して加入する団体あるいは個人のことをいいます。いわゆる営利組織の社員(会社員)ではなく社団法人の構成員という意味であり、一人一人が法人の総会において議決権を持っています。
NPO法人の最高の意思決定機関は、「社員(正会員)総会」であり、運営に関する重要事項(定款変更、解散及び合併、事業報告及び収支決算など)はすべて総会で議決しなければなりません。
なお、NPO法人の場合、この社員(正会員)は、10人以上いることが要件となっています。
またNPO法人は、理事3人以上、監事1人以上の役員を置くことが義務づけられており、法人の理事会では、総会の議決した事項の執行に関することなどが議決されます。
社員総会は通常、年1回だけ開催される場合が多く、運営に関する重要事項を総会で決めておいて、普段の活動の打合せなどは、運営委員会や○○部会などを設けて議論されています。
また、組織として活動を行うため、事務局を置いているところが多く、事務職員については、有給の専従職員を置いている、有給の職員とボランティアとが混在している、あるいはボランティアだけで構成されている、といったように、NPOによってその形態は様々です。
組織の意思決定は行政とは違ってフラットなところが多く、理事であっても、ボランティアであっても対等な関係で意見を出し合い、出来る限り全員の合意のもと意志決定を行う団体が多いといえます。
それから、正会員としてまでは参画できないが、資金的な支援や協力をしたいという人達を対象に、賛助会員を設けているところも多くあります。

(3)NPOの財源構成

「NPOはボランティアが集まった団体だから、人件費もいらないし、収益事業もおこなってはだめなんでしょう」そう思ってはいませんか。
NPOは、事務局の職員に人件費も支払えますし、本来の活動に支障がなければ収益事業も行えます。
そのことを理解する参考になると思いますので、以下にNPOの一般的な財源構成を掲載します。

「収入の部」
種類 詳細
入会金収入 正会員・賛助会員等から
会費収入 正会員・賛助会員等から
寄付金収入 個人、団体、企業等から
事業収入 セミナー等の参加費
収益事業 など
補助金等収入 自治体、民間助成など
借入金収入
その他収入
「支出の部」
種類 詳細
事業費 本来事業
収益事業
(但し、別会計)
人件費 事務局の人件費
管理費
その他

(補足)財源構成のため、実際の収支計算書、貸借対照表と項目が異なっています。

NPOは、団体の社会的使命(ミッション)を達成するために、活動を行っています。(本来事業)
活動を行っていくためには、当然、事業費、人件費、管理費など費用が必要になります。そのため、財源をどこかから調達しなければなりません。
NPOの一般的な財源収入としては、会員からの入会金、会費収入、また個人・団体からの寄付金収入が考えられます。
しかしながら、よほどたくさんの会員がいるとか、企業などからの大口の寄付金などがなければ、事業費や人件費が賄なえるほどの収入が難しいのも現状です。
そのため、人件費についてはボランティアで行うことで経費を抑制し、事業費の方に重点をおき、資金を費やすNPOが多いため、NPOはボランティアが集まった団体、といった誤解が生じるわけです。

  • NPOだから委託費などで人件費を支払う必要がないのでは。
    NPOにおいても、組織として活動をしていく中で当然、事務局が必要となります。しかしながら、財源収入が見込まれない場合、多くのNPOは事務をボランティアで行っています。
    財源の収入が見込まれる場合は、私達行政職員と同じように労働の対価として必要な人件費を事務局の職員がもらうことは当然のことです。
    したがって、行政がNPOに委託事業を実施する場合に必要となる人件費については、当然その積算をして、NPOに人件費(必要な経費)として支出する必要があります。
  • 非営利なのに収益事業ができるのか。
    NPOは非営利の組織だから、収益事業をおこなって利益を生じたらおかしいんじゃないだろうか。そのような認識をもっている方もいるかもしれません。
    NPO法人の非営利という意味は、企業などが利益を生じた場合に株主や構成員にその利益を分配することができる事を禁じているだけです。ですので、年間を通じて生じた利益を法人本来の社会貢献活動に当てるのであれば、収益事業を別に行っても構いません。
    むしろ、本来の活動を拡大し、社会通念上の常識の範囲内において事務局職員の人件費を支払えるためにも、自己の財源収入の手段の1つとして収益事業を行うことは、法人の資金計画の面からも、また、自主独立した活動を行う上でも必要なことといえます。
  • NPO豆知識
    NPOとボランティア
    ボランティアとは、営利を目的とせず、自発的な意思に基づいて他人や社会に貢献する実践的な活動を行う個人のことをいい、NPOは、そういった活動を行う組織のことをいいます。
    例えば、美化活動を行うボランティアが集まって、会の名前をつけたり、メンバーの名簿を作成したり、活動報告をするまで規模が大きくなると「ボランティア団体」になり、さらに活動が拡大し、会則を定めたり、役員会を置くなど組織としての形が整って、メンバーが入れ替わっても継続的に活動を行う団体にまで発展すると「NPO」になります。NPOとボランティアの画像
    NPOとNGO
    NPOとは、Nonprofit Organization(非営利組織)の略で、一般的には「営利を目的としない民間組織」といわれています。
    NGOとは、Nongovernmental Organization の略で、一般的には「非政府組織」といわれています。
    それでは、NPOとNGOは異なる組織なのでしょうか。
    これは、考え方の切り口の問題であって、営利を目的としない、利益を分配しないことを強調する時にNPOという呼び方が使われることが多く、他方、政府からの独立を強調する時にNGOという呼び方が使われている傾向があるようです
    日本では、Nongovernmental という言葉を、国境にとらわれないという意味に捉え、国境を越えて活動する民間国際支援団体を特にNGOと呼んでいる傾向が強くなっています。
    中間支援組織
    中間支援組織とは、NPOのマネジメント講座や交流会を開催するなど個々のNPOの運営又は活動のサポートを行ったり、行政とNPOが協働する時にコーディネーター役をつとめるなど、行政とNPOとの中間にあって、両者の橋渡しができるようなNPOのことをいいます。
    実際、全国にはこのような民間の中間支援組織が多く存在していて、様々な活動を展開しています。
    中間支援組織にはNPO経験者や今でもNPOに関わっている人が多く、NPOのニーズにあった支援活動を実施しています。地域の各拠点にこのような民間の中間支援組織が誕生し、個々のNPOの情報・交流の拠点として定着した場合、行政側も個々のNPOではなく、中間支援組織を通じての協働がおこなえるということで期待されています。
    コミュニティビジネス
    コミュニティビジネスとは、地域(コミュニティ)が抱える住宅や福祉、環境、教育、中心市街地の空洞化等の問題に対して、地域にある労働力、原材料、ノウハウ、技術といった経営資源を利用し、地域住民が主体となって自発的に取り組み、ビジネスとして展開していく活動のことをいいます。
    NPOの活動がコミュニティビジネスにつながっていった場合、コミュニティの再生と経済活性化が図れるということで、現在、注目されています。

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