「みなべ・田辺の梅システム」が和歌山県で初めてとなる、世界農業遺産に認定を受けて10周年を迎えます。この記念すべき年に、もう一つの「有田・下津地域の石積み階段園みかんシステム」が県内2例目として認定を受けました。和歌山を代表する果実であるみかん栽培の知恵が、自然と共生する独自の農業システムとして、認定されたことは本当に嬉しいことです。
しかし今年は、みなべ町や田辺市を中心としたうめ園において2年連続となる甚大なひょう害が広範囲にわたり発生し、被害額は約48億円にも達しました。農家の方々の落胆はいかばかりかと言葉もございません。
そのため県では被災されたうめ農家の方々が営農をあきらめることがないように、関係機関と連携して被害果実及びうめ加工品の消費拡大応援キャンペーンを実施するとともに、次期作に向けて意欲的に営農を続けていただくために、肥料購入費の一部を支援する“うめ生産安定緊急対策事業”を創設するなど、さまざまな対策を行ってまいりました。
一方で、この農業システムが認定されたことは、みかん生産量日本一を誇る和歌山県にとって、本当に素晴らしいニュースとなりました。地域の皆さまや県議会農業遺産推進協議会
とともに認定に向けて長年取り組んできた成果として、嬉しくもあり、世界に誇れるものがまた一つ増えたなと大変喜んでおります。
今後も地域の皆さまと手をたずさえて、受け継がれてきた美しい景観と農業技術を未来へと引き継ぎ、このたびの登録を契機に「地域の宝」を世界へ発信してまいります。
これを機会にうめとみかんという和歌山を代表する果実が共に次世代の担い手へと受け継がれ、永遠に発展し続けることを願っています。