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掲載内容



スマート農業とは

スマート農業は、高齢化や労働力不足など生産現場での課題を解決するため、これまで培われてきた農業技術に、ロボット技術やICT(情報通信技術)などの先端技術を取り入れた新しい農業です。農作業の省力化や生産性の向上だけでなく、集積したデータを解析することで農作業の技術習得が容易となり、若者や女性など新たな担い手・労働力の確保にもつながります。

スマート農業の効果
作業の自動化   技術の継承   データの活用
ロボットや管理システムなどの活用により、作業を自動化して人手を省くことができ、身体的に負担の大きい作業から解放されます。   熟練者の技術やノウハウなどをデータ化することで、新規就農者でも短期間で技術が習得でき、技術の継承が可能となります。   収集した気象、生育・品質に関するデータを解析し、農作物の生育や病虫害を予測することで、必要な場所にだけ農薬を使用するなど、高度な栽培管理が可能となります。

スマート農業への取組として、県内の試験場でもロボットなどの先端技術の導入を進めています。

アシストスーツを着用して荷物を持つ写真○アシストスーツ

人力に頼っている農作業で、腰や身体への負担を軽減。負担の少ない姿勢で長時間の作業が可能。

農業用ドローンの写真○農業用ドローン

農薬散布や生育状況の確認など、さまざまな目的で利用が可能。特に傾斜地などにおいて作業効率が向上。

オランダ型先進農業の導入
オランダの農業の写真

県では、平成29年からスマート農業先進国であるオランダに職員を派遣し、取組を学んでいます。

オランダの国土面積は九州とほぼ同じですが、スマート農業への取組により面積当たりの収穫量が非常に多く、世界第2位の農産物輸出国となっています。大規模な企業経営で生産品目も厳選し、最先端技術で環境制御した施設内で生産しているのが特徴です。

しかし、オランダの環境制御技術は大規模施設を対象としたもので、本県のように小規模な施設では高コストになるため、そのまま導入するのは適当ではありません。そのため、オランダの技術を活かしながら、小規模でも導入可能なシステムに変更する必要があります。

オランダ型農業の特徴から見た県農業の方向性
オランダ   和歌山
(1)積極的な設備投資による生産性向上
[1]大規模化
[2]大量・均質生産、安定供給
[3]省力化
矢印 [1]小規模でも収益性が高い農業経営
[2]高品質化、高付加価値化、安定供給
[3]省力化
(2)メーカー主導の技術普及
・企業や民間コンサルによる普及
矢印
・企業の農業関連産業への参入を働きかけ(行政主導)
・技術革新による農業活性化
(3)選択と集中
・少数品目の生産
矢印 ・多種多様な品目の生産
(4)企業家としての高い教育レベル
・経営マインドを持った人材
矢印 ・法人化等による企業的な農業経営
矢印
スマート農業普及に向けた方針
システムの低コスト化

農業試験場と暖地園芸センターにICTを活用した統合環境制御温室を整備し、低コストで導入可能な環境制御システムとその制御方法について研究を実施しています。

スマート農業実践者の育成

農業試験場等に整備した統合環境制御温室を、農業者や学生の技術習得の場としても活用します。また、農林大学校のカリキュラムにオランダ型施設園芸技術を組み入れるなど、スマート農業を実践できる農業者の育成にも取り組んでいます。

メーカー主導の技術普及

民間企業が持つ技術力を現場に活かすため、メーカーと農業者の意見交換、マッチングにより参入機会を積極的に創出することで、生産現場の技術革新を促進します。



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