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掲載内容



知事メッセージ 県民の皆様へ

ニサカ知事の写真

お題目

 政治家の大事な要素は演説です。演説が上手な人は、火の吹くような言葉で人々の心を奮い立たせます。現実を悲憤慷慨(ひふんこうがい)し、理想を語り、あるべき未来を語り、進むべき道筋を示します。人々は感動し、その人を支持し、その人のもとに行動を始めようとします。これが望ましい姿なのですが、時として、あるべき未来や進むべき道筋には、具体的な実行方法が示されていない場合もあります。そういう時、批判者は、あれはきれい事ばかりだとか、あの話はお題目にすぎないなどと批判します。実際に、現実の政治や行政には理想や大義名分も必要ですが、それを実行するための方法や技術も必要なのであります。私は、どちらかというと演説が苦手で、すぐに実行策を考えたがるタイプなのですが、政治家でもない行政マンが大義は語るが実行策は示さないというのは困ります。
 県庁のような行政は、県民の皆さんを本当に何がしか幸せにしてなんぼの世界ですから、誰でも言えるような理想だけを語って、具体的な方策を示さず、実行するプログラムも示さないで終わりでは何のための存在かということになってしまいます。我々は県民の税金によって支えられ、付託を受けている存在なのだから、具体的に県民を幸せにするという成果を出さなければなりません。そのためには、お題目を唱えている暇があったら具体的な方策や実行のために技術や手法を必死になって勉強し編み出さなければなりません。
 しかし、時には、問題点だけを何十とあげつらい、理想の姿を語り、改善、改良を唱え、理想を語り、それを満載した分厚い報告書を書くことに熱中してそれに満足している向きもないわけではありません。その中にはどうしたらその問題が解決できるのかという処方箋がほとんどないのです。
 我々は行政マンです。理想を実現して、実際に県民を幸せにすることが使命です。
 お題目を唱えて満足することは止めましょうと全職員にいつも言っています。

和歌山県知事 ニサカ ヨシノブ



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