監査の種類

監査委員は、地方自治法や地方公営企業法等で各種の監査や審査・検査を行うことと定められており、その主なものは、次のとおり。

監査、審査等一覧
区分 概要 根拠法令
(条文)
1 定期監査 財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理(毎年1回以上) 地方自治法 199 (1)(4)
2 随時監査 財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理(随時) 地方自治法 199 (1)(5)
3 行政監査 県の事務全般 地方自治法 199 (2)
4 住民からの直接請求に基づく監査 県の事務全般 地方自治法 75 (1)
5 議会からの要求に基づく監査 県の事務全般 地方自治法 98 (2)
6 知事の要求に基づく監査 県の事務全般 地方自治法 199 (6)
7 財政的援助団体等の監査 財政的援助等を与えているものの出納その他の事務の執行で、当該財政的援助等に係るものの監査 地方自治法 199 (7)
8 住民監査請求に基づく監査 違法若しくは不当な財務会計上の行為又は怠る事実の監査 地方自治法 242 (1)(3)(4)
9 職員の賠償責任に関する監査 損害に係る事実の有無の監査、賠償責任の有無・賠償額の決定 地方自治法 243の2の8 (3)
10 決算審査 一般会計・特別会計の決算の審査 地方自治法 233 (2)
10 決算審査 公営企業会計の決算の審査 地方公営企業法 30 (2)
11 現金出納検査 現金の出納の検査(毎月1回) 地方自治法 235の2 (1)
12 公金の収納等の監査 指定金融機関における公金の収納又は支払の事務の監査(一般会計及び特別会計) 地方自治法 235の2 (2)
12 公金の収納等の監査 出納取扱金融機関及び収納取扱金融機関における公金の収納又は支払の事務の監査(公営企業会計) 地方公営企業法 27の2 (1)
13 基金運用状況審査 特定目的のために定額資金を運用するための基金の運用状況の審査 地方自治法 241 (5)
14 健全化判断比率等の審査 県の健全化判断比率及びその算定の基礎となる事項を記載した書類の審査 地方公共団体の財政の健全化に関する法律 3
14 健全化判断比率等の審査 公営企業の資金不足比率及びその算定の基礎となる事項を記載した書類の審査 地方公共団体の財政の健全化に関する法律 22

15 内部統制評価報告書の審査

知事が作成した内部統制評価報告書の審査

地方自治法 150 (5) 

1 定期監査

県の財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理について監査を行うものである。
「財務に関する事務」 とは、予算の執行、収入、支出、契約、現金及び有価証券の出納保管、財産管理等の事務を指し、また、「経営に係る事業」とは、公営企業会計に係る事業(電気事業、工業用水事業等)のように収益性を有する事業を指し、これらの事務、事業が最少の経費で最大の効果を挙げるようにしているか、組織運営の合理化に努めているかといった観点から監査を行うものである。

また、監査委員は監査の結果に関する報告を決定し、これを議会、知事及び関係する執行機関に提出するとともに、公表を行うことになっている。

なお、この監査は、毎会計年度少なくとも1回以上期日を定めて行うことから、この監査を定期監査と呼び、監査委員が行う監査において最も基本となるものである。

2 随時監査

監査委員は、定期監査のほかに、必要があると認めるときは、いつでも財務監査をすることができることになっており、これを随時監査と呼んでいる。

3 行政監査

財務監査のほか、監査委員は必要があると認めるときは、県の事務(一部のものを除く。)の執行について監査することができる。これは、近年、公正で能率的な行政の確保に対する住民の関心が高まっていることなどの理由により、平成3年の地方自治法改正により、新たに監査委員の職務に加えられたものである。
監査の対象は一般行政事務そのもの、すなわち部課等の組織・職員の配置・事務処理の手続・行政の運営等といった幅広いものとなっており、法令等に基づいて適正に行われているか、あるいは効率的・能率的に行われているかどうかといった観点から監査を行うものである。
また、監査委員は監査の結果に関する報告を決定し、これを議会、知事及び関係する執行機関に提出するとともに、公表することになっている。
なお、自治事務にあっては、労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除き、法定受託事務にあっては、国の安全を害するおそれのあること、その他の事由により監査委員の監査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるものは除かれる。

4 住民からの直接請求に基づく監査

選挙権を有する者が、その総数の50分の1以上の連署をもって、県の事務の執行について、監査委員に監査を請求することができる。請求の対象は、県の事務全般について行うことができる。

また、監査委員は請求があったときは、直ちにその要旨を公表し、監査を行ったときは監査の結果に関する報告を決定し、これを請求者の代表者に送付し、かつ、公表するとともに議会、知事及び関係執行機関に提出することになっている。

5 議会からの請求に基づく監査

議会は、県の事務の執行について、監査委員に監査を求め、その結果に関する報告を請求することができる。

請求の対象は、県の事務全般(一部のものを除く。)にわたり行うことができる。

6 知事の要求に基づく監査

知事は、県の事務の執行について、監査委員に監査を求めることができる。

要求の対象は、県の事務全般であり、監査委員は監査の結果に関する報告を決定し、これを議会、知事及び関係執行機関に提出することになっている。

7 財政的援助団体等の監査

監査委員は、必要があると認めるとき、又は知事の要求があるときは、県が財政的援助等を与えているものの出納その他の事務について監査することができる。

財政的援助等とは、補助金や貸付金、損失補償、利子補給その他の財政的援助、あるいは政令で定める出資並びに公の施設の指定管理等をいい、監査委員は監査の結果に関する報告を決定し、これを議会や知事に報告するとともに、公表を行うことになっている。

8 住民監査請求に基づく監査

住民は、県の執行機関又はその職員について、下記(1)に掲げる行為や事実があると認めるときは、監査委員に監査を求め、下記(2)に掲げる必要な措置を講ずることを請求することができる。

なお、請求は行為のあった日又は終わった日から1年以内に行うものとされている。

(1)請求の対象となる行為や事実

次に掲げる県の財務会計上の違法又は不当な行為や事実が請求の対象。

  1.  公金の支出

  2.  財産の取得、管理、処分

  3.  契約の締結、履行

  4.  債務その他の義務の負担

     1から4については、相当の確実さをもって予測される場合も対象

  5.  公金の賦課徴収を怠る事実

  6.  財産の管理を怠る事実

(2)必要な措置

  1. 違法又は不当な財務会計上の行為を防止するために必要な措置
  2. 違法又は不当な財務会計上の行為を是正するために必要な措置
  3. 怠る事実を改めるために必要な措置
  4. 県が被った損害を補填するために必要な措置

9 職員の賠償責任に関する監査

出納職員等が故意又は重大な過失により、保管する現金等を亡失し、又は損傷したとき、あるいは、支出負担行為等の権限を有する職員等が故意又は重大な過失により法令の規定に反して、当該行為を行ったり、又は怠ったりしたことにより、県に損害を与えたと認められるときは、知事は監査委員に対して、その事実があるかどうかを監査し、賠償責任の有無及び賠償額を決定することを求めることができる。

なお、「出納職員等」とは、現金の出納若しくは保管又は物品の出納若しくは保管の事務をしている職員等を、また、「支出負担行為等」とは支出負担行為のほか支出命令や支出・支払等の行為を指す。

10 決算審査

決算審査には、次のように一般会計及び特別会計(公営企業会計を除く。以下同じ。)に関するものと公営企業会計に関するものとがある。

(1)一般会計及び特別会計

知事は毎会計年度、会計管理者から提出のあった決算及び証書類その他政令で定める書類を監査委員の審査に付すこととされており、監査委員は計数を確認するとともに、各種監査・検査の結果を勘案して適正で経済的かつ効率的な予算の執行がされているかといった観点から審査を行うものである。

監査委員は、毎年9月に知事に審査意見を提出している。

(2)公営企業会計

知事は毎会計年度、公営企業管理者から提出のあった決算、証書類、事業報告書及び政令で定めるその他の書類を監査委員の審査に付すこととされており、監査委員は、計数を確認するとともに、各種監査、検査の結果を勘案して適正で経済的かつ効率的な予算の執行がなされているかといった観点から審査を行うものである。

監査委員は、毎年9月に知事に審査意見を提出している。

11 現金出納検査

県の現金の出納は、毎月定められた日に監査委員が検査することとされており、監査委員は、会計管理者や公営企業管理者等から提出された検査資料に基づき、現金の出納について毎月の計数を照合確認するとともに、県の財政収支の動態を主として計数面から把握し、検査を行うものである。

なお、監査委員は、検査の結果に関する報告を議会及び知事に提出することになっている。

12 公金の収納等の監査

公金の収納等の監査には、次のように一般会計及び特別会計に関するものと公営企業会計に関するものとがある。

(1)一般会計及び特別会計

監査委員は、必要があると認めるとき、又は知事から請求があるときは、指定金融機関が取り扱う県の公金の収納又は支払いの事務について監査することができる。なお、監査委員は、監査の結果に関する報告を議会及び知事に提出することになっている。

(2)公営企業会計

監査委員は、必要があると認めるとき、又は公営企業管理者から請求があるときは、出納取扱金融機関及び収納取扱金融機関が取り扱う地方公営企業の業務に係る公金の収納又は支払いの事務について監査することができる。

なお、監査委員は、監査の結果に関する報告を議会、知事及び公営企業管理者に提出することになっている。

13 基金運用状況審査

知事は毎会計年度、特定の目的のために定額の資金を運用するための基金について、その運用の状況を示す書類を作成し、これを監査委員の審査に付すこととされており、監査委員は決算書その他関係書類に基づいて計数を確認するとともに、基金の運用が適正かつ効率的に行われているかといった観点から審査を行うものである。

14 健全化判断比率等の審査

審査には、次のように県の財政に関するものと公営企業の経営に関するものとがある。

(1)県財政

知事は毎会計年度、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率及び将来負担比率並びにその算定の基礎となる事項を記載した書類を監査委員の審査に付すこととされており、監査委員は計数を確認するとともに、各種監査、検査の結果を勘案して、審査を行うものである。監査委員は、9月に知事に審査意見を提出している。

(2)公営企業会計

知事は毎会計年度、資金不足比率及びその算定の基礎となる事項を記載した書類を監査委員の審査に付すこととされており、監査委員は計数を確認するとともに、各種監査、検査の結果を勘案して、審査を行うものである。監査委員は、9月に知事に審査意見を提出している。

15 内部統制評価報告書の審査

知事が作成した内部統制評価報告書について、知事による評価が評価手続に沿って適切に実施されたか、内部統制の不備について重大な不備に当たるかどうかの判断が適切に行われているかといった観点から検討を行い、審査意見を提出する。

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