柿の概要

主な品種の紹介

甘柿

富有(ふゆう):完全甘柿

富有(完全甘柿)の写真
  • 収穫時期
    11月中旬から下旬
  • 果皮色
  • 果実重
    280グラム
  • 糖度
    15度から16度
  • 開花期
    松本早生富有より3日ほど遅い。花は雌花のみ。
  • 長所
    果形が良く玉揃いも良好。果汁が多く食味に優れる。渋抜けが良く、地域適応性が広い。
  • 短所
    ヘタスキ性がややあるためスムーズに肥大させる水管理が重要。

松本早生富有(まつもとわせふゆう):完全甘柿

松本早生富有(完全甘柿)の写真
  • 収穫時期
    10月中旬から11月上旬
  • 果皮色
    やや赤
  • 果実重
    250グラム
  • 糖度
    15度から16度
  • 開花期
    富有より3日ほど早い。花は雌花のみ。
  • 長所
    食味は富有と同様で、甘味は中程度。果汁は多く、肉質も本来軟らかいほうであり、食味が優れている。肉質は完全甘柿の中では粗いほうであるが、粉質化しない。
  • 短所
    脱渋は夏秋期の温度によって影響を受け、夏秋期の温度が高くなければ脱渋不完全となる。着果量は多く、生理落果もやや多い。たんそ病に弱いので徹底した防除が必要。

西村早生(にしむらわせ):不完全甘柿

西村早生(不完全甘柿)の写真
  • 収穫時期
    9月下旬から10月上旬
  • 果皮色
  • 果実重
    220グラム
  • 糖度
    14度から15度
  • 開花期
    松本早生富有より7日程度早い。花は雌花、雄花をもつ。
  • 長所
    単為結果性が強く結実良好。肉質は粘質で褐斑が多くやや粗。果汁は中程度。
  • 短所
    種子が4粒以上入らないと渋みが残る。受粉樹が必要。

渋柿

平核無(ひらたねなし):不完全渋柿

平核無(不完全渋柿)の写真
  • 収穫時期
    10月中旬から10月下旬
  • 果皮色
    黄橙
  • 果実重
    220グラム
  • 糖度
    14度
  • 開花期
    5月中旬で富有柿より7日程度早い。花は雌花のみ。
  • 長所
    肉質は緻密で、きわめて多汁で食味は非常に優れる。日持ち性がよい。汚損果が少ない。
  • 短所
    樹勢が強すぎると生理落果を生じる場合あり。アルコール脱渋の場合、軟化や汚損果が発生しやすい。

刀根早生(とねわせ):不完全渋柿

刀根早生(不完全渋柿)の写真
  • 収穫時期
    9月中旬から10月上旬
  • 果皮色
    黄橙
  • 果実重
    200グラム
  • 糖度
    14度
  • 開花期
    平核無とほぼ同じ。花は雌花のみ。
  • 長所
    肉質は緻密で、きわめて多汁で食味は非常に優れる。日持ち性は平核無と同程度。
  • 短所
    収穫期の気象条件(高温)により軟果する場合あり。

串柿

四ツ溝(よつみぞ):完全渋柿

四ツ溝(完全渋柿)の写真
  • 収穫時期
    11月中旬
  • 果皮色
    やや赤い橙
  • 果実重
    150グラム
  • 糖度
    19度
  • 開花期
    平核無より2日ほど遅い。花は雌花が着きやすく、雄花は樹齢が進むと少し着生する。
  • 長所
    単為結果性が高く、豊産性。果肉は緻密で粉質性はなく食味は良好。日持ち性が優れる。干柿としての品質は、粘質で糖度が高いため優良。
  • 短所
    やや着色むらが生じる。脱渋性は平核無よりやや劣る。

話題の新品種

太秋(たいしゅう):完全甘柿

太秋(完全甘柿)の写真
  • 収穫時期
    11月上旬(松本早生富有とほぼ同じ)
  • 果皮色
    黄橙
  • 果実重
    380グラム
  • 糖度
    17度
  • 開花期
    松本早生富有より3日ほど早い。花は雌花、雄花、小型の無核果の両全花。
  • 長所
    極めて大果。果肉は日本梨のようにサクサクで多汁食味に優れる。渋抜けは早く、青い時期から食べられる。
  • 短所
    樹勢が弱く隔年結果しやすい。汚損果が多い。

早秋(そうしゅう):完全甘柿

早秋(完全甘柿)の写真
  • 収穫時期
    9月上旬から10月上旬(刀根早生とほぼ同じ)
  • 果皮色
  • 果実重
    240グラム
  • 糖度
    14度から15度
  • 開花期
    伊豆とほぼ同じで富有より早い。花は雌花のみ。日持ちは13日程度。
  • 長所
    収穫期は早く、肉質は柔らかく緻密。果汁が多く、食味良好。
  • 短所
    果形が凸凹になりやすい。着果量は多く、生理落果もやや多い。摘蕾と人工授粉が必要。たんそ病に弱いので徹底した防除が必要。

新秋(しんしゅう):完全甘柿

新秋(完全甘柿)の写真
  • 収穫時期
    10月中下旬(平核無とほぼ同じ)
  • 果皮色
    黄橙
  • 果実重
    240グラム
  • 糖度
    17度から18度
  • 開花期
    西村早生と伊豆の中間位。花は雌花のみ。
  • 長所
    糖度は高い(20度以上のものもある)。肉質は緻密で完熟するとやや多汁となる。果汁が多く、食味良好。
  • 短所
    汚損果を生じやすい。汚損部分から軟化する。ハウス栽培向き。

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柿の生育ステージ

柿の生育概要の説明資料

整枝・剪定

結果樹の整枝剪定
主枝や亜主枝から側枝を配置し、側枝上の枝に結実させます。これらの側枝を永年使用すると、太い枝が増え、混み合い樹幹内部の結実する枝が無くなるので、4年から5年を目途に更新します。
側枝の更新には、主枝や亜主枝から発生した突発枝(徒長枝)を利用しますが、枝の上面から発生した直立した強い枝は取り除き、側面やや上面から発生した中庸な枝を利用します。
側枝から発生した結果母枝は、必要な本数に整理し残す。残す結果母枝は品種や園地の条件によって異なるが、10アール当たり富有柿で約5,000本から6,000本、平核無柿で6,000本から8,000本程度を目安とします。
なお、大玉果を生産するには、側枝は果実が結実した時、全体としてやや下垂することが望ましく、側枝の更新時期や側枝候補の選び方に十分注意します。また、こういった樹型ならば、図のように枝の先端の長い枝を母枝として残す方が大玉果生産につながります。
整枝せん定の図

詳細説明

結実管理

隔年結果を防止し、品質の良い大玉果を連年安定生産するためには、結実管理は必須の作業である。その作業としては、整枝剪定による母枝数の調整等や摘蕾、摘果、受粉作業等がある。

「摘蕾」
大玉果生産には、必須の作業である。5枚以上の葉のある新梢に1蕾、新梢基部から4節から5節程度の外やや下向きの大きな蕾を残すようにします。葉が5枚以下の枝の蕾は全て摘み取る。
摘蕾作業の適期は4月下旬から開花までと期間が短いので、生育の早い刀根早生柿から始めますが、富有柿生産している場合は、ヘタスキ果の防止、受粉作業の効率化を図るためにも富有柿を優先し、開花までに完了するよう努めます。
摘蕾の図

「受粉」
富有柿や早生富有等受粉を必要とする品種のみ、開花時期に受粉器で実施する。花粉は赤柿等から採取し、石松子で20倍程度に希釈したものを使用します。

「摘果」
摘果は結果量の総仕上げであり、実施時期が早いほど、残った果実は大きくなる。一般的には、6月の生理落果がほぼ終了する時期を待って、7月上中旬より摘果を始める。

  1. 摘果の程度
    果実の発育にも大きな影響を及ぼすのは葉である。摘蕾でも述べたように、1果当たり、20枚から25枚の葉数が適正結果数の目安となる。摘果の程度は、剪定時に結果母枝が適正に残されていれば、富有では一結果母枝に1個から2個(平均1.5個)、平核無では一結果母枝に2個を目安とする。
  2. 摘果の方法
    摘果は、樹上選果であり商品性を高めるため、次のような果実を摘果する。
    果実の発育が悪い小玉果で、収穫時にM級以上に肥大しない果実。
    単為結果した無種子果実、扁平で果頂部がへこんでいるもの。
    ヘタに傷のあるもの、奇形果や病害虫の被害果など。
    上向きに着生した果実で、日焼けを生じやすいもの。
    下枝で日当たりの悪い位置の果実。

詳細説明

土づくり・施肥

「土づくり」
土壌改良は土壌改善目標(1)-(2)第4表を目安とし、土壌診断結果(1)-(3)第10表に基づき、深耕と有機物(土壌改良資材)の投入を行い、土壌の物理性及び化学性を改善する。ただし、深耕は断根の恐れがあるため、深耕位置は主幹から2メートル程度離し、3年から5年で樹冠を1周する程度が望ましい。

「施肥」
施肥については、まず深耕や有機物施用等の土づくりを行い、根域の拡大と天然養水分の利用を促進し、その分施肥量を削減するとともに、肥料も急激な肥効の起こらない有機質肥料を主体とすることが望ましい。
礼肥の施用時期は収穫の早い「刀根早生」及び「平核無」で9月下旬から10月上旬、「富有」で10月中旬から下旬とし、元肥もできるだけ効率的に吸収させるため、「刀根早生」・「平核無」で11月上旬、「富有」では11月上旬から中旬が適当である。

詳細説明

かん水

柿は深根性であるが耐干性が低く、土壌の乾湿の変化が大きいとヘタスキなど種々の生理障害が生じやすい。7月から8月にかけての期間は葉の光合成活性が最も活発な時期であるため、この時期の土壌の乾燥は光合成活性を低下させ果実肥大を抑制する。また、この時期は降水量が少なく蒸散量が多いため、干ばつの被害を被りやすいので、晴天日が10日以上続くような場合はスプリンクラー等で20ミリメートルから30ミリメートルのかん水を行うとともに、株元への敷ワラや敷草等により土壌水分の蒸散抑制に努める。

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