「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
この言葉はよく聞く言葉でありまして、歴史から学ぶ事はたくさんあるということを、言いたい時の枕詞(まくらことば)のような使い方をすることが多いと思います。でも、私はかねがね、このタイトルの言葉は変だと思っています。歴史から学ぶことのできる人は確かに賢者だと思うけれど、過去の経験から学ぶ人(この場合多分自らの経験でしょう。)を、愚者というのは余りにもきつすぎるし、変だと思うのです。
それで調べてみました。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。」という言葉はドイツ帝国の鉄血宰相のビスマルクからきています。でも本当の発言は少し違うようです。どうもこう言ったらしいのです。「愚者だけが自分の経験から学ぶと信じている。私はむしろ、最初から自分の誤りを避けるため、他人の経験から学ぶのを好む。」それがいつしか標記の形に省略されたもののようです。
和歌山県も度々悲劇に遭遇しますが、その時県民を十分守り切れなかったという悔いを今後はそのようなことが二度と起こらないような工夫の原動力としています。
一例を挙げると、紀伊半島大水害の大きな被害に鑑み、緊急機動支援隊、産廃業者と協力した災害廃棄物の処理、ダムの発電用の貯水を事前に抜いてもらうための電力事業者との契約、等々の対策が生まれました。
一方歴史に学ぶ方も大事です。よその経験も良い政策もどんどん取り入れるべきでしょう。東日本大震災から和歌山県も地震津波対策でもものすごい工夫をしました。避難路などを造るパワーアップ補助金、リスク評価をした避難場所の設定、避難困難地域の発表とそれの解消の方法、家屋やホテルなどに対する大胆な耐震補助金、実際の地震による潮位変化によって津波の到達状況の予測をするシステムの開発など、「賢者は歴史に学ぶ」を基本に様々な政策が追加されました。