和歌山県とJAXAが衛星データ活用の共同実証の検討を開始します
和歌山県と宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)は、先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)等が収集した地球観測データを活用し、老朽化が進むインフラの予防保全の実現等に向けた共同実証の検討を開始します。
2月20日、和歌山県知事 宮﨑 泉とJAXA 瀧口太 理事/第一宇宙技術部門長との間で上記の実現に向けて、今後の連携の方向性について意見交換を行いました。
◆和歌山県とJAXAの今回の検討開始に至る経緯
和歌山県とJAXAは、2009年に締結した「地球観測衛星等を用いた国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構と和歌山県との防災利用実証実験に関する協定」に基づき、衛星データを利用した災害時の被害状況把握について連携を図ってきました。
和歌山県は、日本初の民間ロケット射場であるスペースポート紀伊(*1)を有し、多様な宇宙産業の集積を目指し、各種取組を進めています。2025年8月には「宇宙アクションプラン」(*2)、12月には「和歌山県総合計画」(*3)を策定し、重点推進テーマとして衛星データ活用を位置付けています。
JAXAでは、これまでの防災の取り組みに加え、衛星地球観測に関する特に重点的に推進すべきテーマ(*4)として「インフラ管理・防災DX」や「自然資本の把握とクレジット創出」などを位置づけています。特にインフラ管理分野においては、陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)(*5)および「だいち4号」(*6)等の衛星情報を活用した予防保全型のインフラマネジメント実現を目指し、異常を早期に検知するための研究開発を進めています。「だいち2号」は2014年から継続して観測運用中であり、「だいち2号」と「だいち4号」の観測情報を複合利用することで、2014年から現在まで長期間にわたるインフラの変化を把握できる可能性があります。
このような両者の取り組みの進展を踏まえ、和歌山県とJAXAは、これまでの防災利用実証実験の活動からのさらなる発展を目指して、新たにインフラ予防保全等の課題への取り組みや衛星データ活用による産業振興推進に向けた検討を開始しました。
◆共同検討の内容
JAXAの「だいち4号」等による観測データから得られる情報を活用し、和歌山県での社会課題解決および産業振興につながる以下を例としたテーマの共同実証実施に向けて検討を行います。
・ダム貯水地周辺の監視
・道路法面の被災の早期把握
・減災に向けた地表変動検知
その他、防災・インフラ分野以外にも、JAXAが重点的に推進すべきテーマとして取り組んでいる森林管理や森林資源量の把握についての実証連携も検討中です。
本検討の実施後、両者で覚書を締結し、来年度からの実証開始を目指します。

インフラ分野における実証イメージ ©JAXA
◆和歌山県×JAXA対話からのコメント
〇和歌山県
和歌山県知事 宮﨑 泉
最先端の地球観測技術を有するJAXAと共同実証の検討を開始する運びとなり、大変心強く感じています。和歌山県の特色とJAXAの技術力を組み合わせた衛星データ活用は、持続可能な未来を作る上で欠かせないインフラの予防保全や脱炭素の取組推進に加え、宇宙産業の振興にも資するものです。今回のJAXAとの検討が、脱炭素先進県・宇宙への玄関口としての和歌山県の飛躍と、日本・世界の社会課題解決、宇宙技術・産業の発展に向けた契機となることを期待しています。
〇JAXA
理事/第一宇宙技術部門長 瀧口 太
JAXAと和歌山県は、これまで発災時の衛星データ利用の検証を進めてきました。これは16年前、私が防災利用システム室長として始めた取組ですが、今や衛星データの有効性は広く認知され、宇宙活動の裾野も拡大しています。今回、新たに民間事業も参加できる場とすることで、和歌山県はスペースポート紀伊を核に宇宙産業振興を図り、JAXAは重点テーマにおける民間事業推進等を通じ、ECOシステムの実現を目指します。和歌山との連携で得られる成果は、更なる衛星利用の拡大に資するものであり、JAXAは宇宙を活用した持続可能な社会基盤の実現に引き続き貢献していきます。
◆注釈
(*1)スペースポート紀伊:
スペースポート紀伊は、和歌山県内の串本町田原地区に建設された日本初の民間ロケット射場。2020年代には年間20機の打ち上げが計画されており、今後増加が見込まれる民間による小型衛星の打ち上げを支える重要な基盤として期待されている。
https://www.town.kushimoto.wakayama.jp/sangyo/rocket/2021-1108-1334-11.html
(*2)和歌山県の宇宙アクションプラン:
和歌山県では、将来の市場成長性やロケット発射場がある本県との親和性が高い宇宙産業を、本県の将来を担いうる成長産業の候補として位置付け、2025年8月に紀南地域の10市町村と共同で、宇宙産業集積に向けた行動指針として「宇宙アクションプラン」を策定した。当該プランでは、ロケット・衛星分野を核とした産業創出、人材育成などを一体的に推進し、宇宙の玄関口「スペースエントランス」としての地域づくりを進める方針を示している。衛星データ利活用は、インフラ管理・脱炭素など多種多様な課題解決と既存産業の更なる高度化・効率化を実現する重要な柱として位置付けている。
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/063100/space_action_plan.html
(*3)和歌山県の総合計画:
和歌山県が2025年12月に策定した、県政の新たな指針となる計画。2040年にめざす姿として、宇宙ビジネスをはじめとする和歌山の地域特性や地理的条件と親和性の高い成長産業の集積を掲げている。また、5年間で実施する主な施策として、成長産業の誘致、衛星データ活用等の宇宙領域を活用した第三次産業の創出を位置付けている。
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/020100/d00217904.html
(*4)「JAXA第5期中長期計画における衛星地球観測の重点テーマについて」 (科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会宇宙開発利用部会(第97回)2025.7.4 より):
https://www.mext.go.jp/content/20250703-mxt_uchukai01-000043486_00006.pdf
(*5) 陸域観測技術衛星2号 「だいち2号」(ALOS-2)
「だいち2号」は、2014年にJAXAが打ち上げた Lバンド合成開口レーダ(LバンドSAR)搭載の衛星。「だいち4号」の前号機であり、災害状況の把握、森林分布の把握や地殻変動の解析など、様々な目的で運用中。
「だいち2号」プロジェクトページ:https://www.satnavi.jaxa.jp/ja/project/alos-2/
(*6) 先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)
「だいち4号」は、2024年にJAXAが打ち上げたLバンド合成開口レーダ(LバンドSAR)搭載の衛星。天候や昼夜を問わず観測可能で、200キロメートルの観測幅を持つため日本全域を最短2週間で観測でき、地表面の微細な変化を捉えることで、インフラの変化の兆候を早期に把握できる可能性を有する。
「だいち4号」プロジェクトページ:https://www.satnavi.jaxa.jp/ja/project/alos-4/
◆関連リンク
JAXAお知らせ「JAXAと和歌山県は、インフラ予防保全等に関する衛星データ活用の共同実証の検討を開始します」
https://www.satnavi.jaxa.jp/ja/news/2026/02/20/11951/index.html
◆問い合わせ先
成長産業推進課 吉田、舛田、真島
TEL:073-441-2355



