体罰等によらない子育てを広げよう!

1.子供の権利が守られる体罰等のない社会へ

 児童相談所に寄せられる児童虐待の相談件数は増加の一途をたどっており、その中には、「しつけ」と称して暴力・虐待が行われている場合があります。

 児童虐待防止法において、親による体罰を禁止することが明記されています。

 子供の権利が守られる体罰等のない社会を実現していくためには、一人ひとりが意識を変えていくとともに、子育て中の保護者に対する支援も含めて社会全体で取り組んでいかなくてはなりません。

2.「しつけ」と「体罰」は違います

 「しつけ」とは、子供の人格や才能等を伸ばし、社会において自律した生活を送れるようにすることなどの目的から、子供をサポートして社会性を育む行為です。対して「体罰」とは、子供の身体に何らかの苦痛を引き起こし、または不快感を意図的にもたらす行為です。

 子供をしつけるときは、子供の発達しつつある能力に合わせて行う必要があり、体罰でおさえつけるしつけは、この目的に合うものではなく、許されません。

 これらは全て体罰です

・言葉で3回注意したけど言うことを聞かないので、頬を叩いた

・大切なものにいたずらをしたので、長時間正座させた

・友達を殴ってケガをさせたので、同じように子供を殴った

・他人のものをを取ったので、お尻を叩いた

・宿題をしなかったので、夕ご飯を与えなかった

・掃除をしないので、雑巾を顔に押し付けた

3.なぜ体罰をしてはいけないのか

 体罰等が子供の成長・発達に悪影響を与えることは科学的にも明らかになっており、体罰等が繰り返されると、心身に様々な悪影響が生じる可能性があります。

 親から体罰を受けていた子供は、全く受けていなかった子供に比べ、「落ち着いて話を聞けない」、「約束を守れない」、「一つのことに集中できない」、「感情をうまく表せない」、「集団で行動できない」という行動問題のリスクが高まり、また、体罰が頻繁に行われるほど、そのリスクはさらに高まると指摘する調査研究もあります。

 手の平で身体を叩く等の体罰は、親子関係の悪さ、周りの人を傷つける等の反社会的な行動、攻撃性の強さなどとの関連が示されており、また、それらの有害さは、虐待に至らない程度の軽い体罰であっても、深刻な身体的虐待と類似しているとする研究結果も見られます。

4.体罰等によらない子育てのために

 体罰等はよくないと分かっていてもいろいろな状況や理由によって、それが難しいと感じられることもあります。一方で、安心感や信頼感、温かな関係が心地よいのは、子供も大人も同じです。 

 子供との関わり方と保護者自身の工夫について一例を紹介します。

子育ての工夫

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5.子育てはいろいろな人の力と共に

 子育てを頑張るのはとても大変なことです。子供を育てる上では、支援を受けることも必要であり、市町村等が提供している子育て支援サービスを積極的に活用しましょう。子育ての大変さを保護者だけで抱えるのではなく、少しでも困ったことがあれば、まずは、お住まいの市町村の子育て相談窓口や保健センター等にご連絡ください。

 市町村の実施している乳幼児健診などの健診時や、乳幼児全戸訪問などの機会にも相談することができます。また、児童相談所ダイヤルも利用が可能です。

  児童相談所虐待対応ダイヤル 「189(いち・はや・く)」

  児童相談所相談専用ダイヤル 「0120-189-0783(いち・はや・く お・な・や・みを)」

 また、子育てには、気力・体力をとても使います。そのため、困ってから相談に行こうと思っても、その気力が湧かなくなってしまうこともあります。落ち着いているときに、地域子育て支援拠点など、子供を連れて出かけられる場所に出かけてみることも一つの方法です。子育ての不安などを話すことで気分転換になり、気になることなどを気軽に相談できるかもしれません。

 周囲の親族や地域住民、NPO、保育等の子育て支援者、保健、医療・福祉・教育現場等で子育て中の保護者に接する方は、子育て中の保護者が孤立しないようにサポートしていくことが大切です。保護者だけで抱え込まないように、声かけや支援を行い、市町村や児童相談所等とも連携して、社会全体で支えていくことが必要です。

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