イベントレポート【男女共同参画週間公開セミナー】「科学の未来とジェンダー~元村有希子さんと考える、誰もが生きやすい社会~」
講座・イベント情報
イベントレポート
講座名
男女共同参画週間公開セミナー「科学の未来とジェンダー~元村有希子さんと考える、誰もが生きやすい社会~ 」
講師
元村 有希子さん (科学ジャーナリスト)
開催日時
令和8年7月11日(土)13:30~15:00
場所
和歌山ビッグ愛1階大ホール
内容
男女共同参画週間に因んで、今年も和歌山市との共催で講演会を開催しました。ジェンダー平等社会の実現において推進が急がれる「理系分野における女性の活躍」や「誰もが生きやすい社会」をテーマに、マスコミでコメンテーターとしても活躍する元村有希子さんをお迎えしました。
理科嫌いだった元村さんが文系の仕事をと新聞社に入社したところ、12年後に人事異動で科学記者となった。すると、一流の科学者と一緒に「答えのない謎」を解き明かす楽しみに目覚め、科学記者を20年以上続けられたそうです。
入社当時、新聞社の女性記者比率は約10%(2025年は約27%)。地方機関には女性記者がほとんどおらず、新聞記事は男性の常識で選ばれ書かれるのが常で、今は校閲ルールがり、使われない表現、「黄色い声」「女流作家」などが普通に登場する時代だったと話されました。
技術革新や画期的な社会変革のためには多様性が必要で、理系分野にもジェンダー平等や女性の活躍が必須であるが、現状では日本における女性研究者の比率は18.5%と主要国で最低水準だと話されました。その背景には、幼少期からのジェンダーバイアスや進路選択における固定観念、キャリア形成や仕事と家庭の両立を阻む環境など、根深い構造的な課題があることを指摘されました。制度上は平等でも現実にはまだ不平等な日本、「平等」から各人の個性やハンディキャップに合わせ、同じだけの貢献ができる「公平」な社会に移行してほしいと語られました。
印象的だったのは、「科学技術に『ケアの倫理』を持ち込むことが重要である」という視点でした。『ケアの倫理』とは、競争や成果主義ではなく、その陰で無視されがちな“声の小さい人々”や“弱い人々”に目を向け、他者を思いやる行動規範です。原発事故の教訓、孤独を癒すロボットや、病気・障害で外出できない人の社会参加を助ける分身ロボットなどの最先端技術を例に、これからの科学技術には利便性や効率性ばかりでなく、他者への配慮や他者に寄り添う眼差しが欠かせないと結ばれました。
理工系分野における女性の活躍を阻むあらゆる壁を取り除き、科学技術の発展に多様な視点や新たな感性を取り入れることは、これからの持続可能な社会を築く足がかりとなり、誰もが生きやすい豊かな未来へとつながると、改めて考えさせられた講演会でした。
会場の様子 元村 有希子さん




