Listen to this page using ReadSpeaker
第2章 紀淡海峡周辺地域の地域交流資源の発掘

2−2 風土・文化の共通性・類似性の現状

8 国際交流の場
 紀淡海峡周辺地域においては国際交流の歴史を物語るものもみられる。ひとつは、先にみた徳島県鳴門市のドイツ人俘虜収容所跡地を中心にしたドイツ村公園である。ここには、当時のドイツ兵と日本人との音楽、料理、スポーツなどの様々な交流を伝えるドイツ館も建てられている。また、技術交流の観点で興味深い「ドイツ橋」がある。ドイツ兵が帰国を記念に、日本人との友情の証として、当時のドイツの土木技術を生かし建設したアーチ構造の石橋が現在も残っている。資材は地元の和泉砂岩を用いたものである。
 また、和歌山県日の岬の美浜町には、アメリカ村資料館がある。明治21年に、同町の三尾地区から北米へ約三千人が移住し、その帰国者達の資料や移民の歴史を伝えるものである。
 この他、昭和3年、ブラジル移民のため設置された神戸市中央区山本通の国立神戸移民収容所(のちの移住斡旋所)では、現在ブラジルとの交流をテーマにした催しが行なわれている。
 外洋・太平洋をのぞむ地域性が、海外へ出ていく進取の気性を共通して育んでいるといえよう。

国際交流の場図
目次<<戻る次へ>>