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第2章 紀淡海峡周辺地域の地域交流資源の発掘

2−2 風土・文化の共通性・類似性の現状

5 産業(伝統産業・近代産業・農業・庭園産業)
 本章の冒頭でもふれたが、現代における玉葱やみかんの伝播の歴史は、地域間交流が生み出したものである。また阿波の伝統産業である藍の発展には、大阪・泉州での木綿生産の拡大が大きく影響したとされている1)。産業における交流は、近代産業にもみられ、泉南・和泉地方の紡績など繊維産業は紀淡海峡周辺地域で発展した。特に明治末から大正にかけて、紡績業における泉南地域と和歌山の結びつきは強く、両地域間の工場で技術支援や技術提携などがみられた2)。
 今日においては、近代産業の建造物は近代化遺産となり、泉州・和泉・淡路(洲本の鐘紡など)の各地で、歴史的建造物として博物館やレストランなど多彩に活用されている。産業が文化ストックを形成し、それが形をかえて市民に親しまれている。また伝統産業の藍についても、藍の豪商奥村家の屋敷跡に「藍住町歴史館藍の館」が建てられ、まちづくりに活かされている。


産業図

繊維産業に関する歴史遺産の活用例

1「カネボウ紡績跡煉瓦工場建築物群」場所:洲本市(明治〜大正期び創建)
 <活用方法>平成7年ミュージアム「アルファビア」(壁面利用により洲本市立図書館が開館)

2「大阪合同紡績元社長宅旧谷口邸」場所:大阪府田尻町(洋館近代建築)
 <活用方法>平成6年「愛らんどハウス」(コンサート、展示会場)

3「旧中林綿布工場」場所:大阪市熊取町(近代煉瓦工場・のこぎり屋根)
 <活用方法>中林綿布から熊取町へ寄贈 活用検討中

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