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第2章 紀淡海峡周辺地域の地域交流資源の発掘

2−2 風土・文化の共通性・類似性の現状

4 めぐり(お遍路・熊野詣・修験道)
 先の地名については、生活者の意識や視点での交流を以後深めていく可能性を秘めているだろう。しかし、地域振興にはその一方で、ビジターの視点をもとにした地域交流策も必要である。実際この地域では、四国遍路があり多くの旅人が参詣に訪れる。ここでは、このお遍路のなかでも、「めぐる」という部分に着目したい。めぐるとは霊場や名所を回って歩くことであるが、古くから日本人の心をひきつけてきた。お遍路の四国、そして対岸の和歌山側でも熊野信仰をもとにした熊野詣という同じ「めぐる」スタイルで人々を魅了するものがある。本州側では西国三十三めぐりがある。
 またその両者ほど一般的になっていないが、役行者(えんのぎょうじゃ・役小角・えんのおのずぬ)を開祖とする奈良時代の山岳宗教の「修験道」が紀淡海峡周辺地域に伸びている。役行者は、友ヶ島虎島の序品窟に法華経の第一巻を納め、加太を第一宿として、葛城山系に至る二十八の霊場に法華経を納めた。その霊場の基点が友ヶ島であり、そこから大阪、奈良に続く山に、めぐる道がある。

めぐり図
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