知事からのメッセージ 平成29年11月
知事からのメッセージを紹介します。
平成29年11月のメッセージ
平成29年11月
めでたし、ロンリープラネット・ベスト・イン・トラベル2018
第5位に紀伊半島
10月24日、世界的旅行ガイドブック「ロンリープラネット」が最も旬な旅行先を紹介する「Best in Travel 2018」が公表され、紀伊半島がベスト5に選出されました。
このプロジェクトが始まって以来、毎年世界の有力な地域が10カ所、順位を付けて発表されます。和歌山県ではこのところ、外国人観光客の来県がどんどん増え、2016年には50万人を超えました。この一年で6倍を超えています。そのような中での選出なので、まさに時宜を得た快挙だと思います。
和歌山は昔からの観光地で、自然、歴史文化、食べ物、温泉、パンダ、たまちゃん、レジャー・スポーツなどいずれをとっても観光資源がいっぱいあって、日頃から和歌山に住んでいる私にとってもあそこへ行きたい、ここへ行きたい、あれを食べたい、あの温泉に入りたいといったものがいっぱいあります。ただ、職業柄少々忙しいもので、中々かなえられず欲求不満の状態であります。ましてや、他の地域にお住まいの方や外国からお越しの方にとっては、珍しいもの、楽しいものがいっぱいある世界であると思います。
しかし、しばらく前までは、高速道路の不備その他で、段々と相対的に不便な地となり、それでも昔からの成功体験で、新しいサービスや外国人その他新しい客層の開拓や積極的なプロモーションには中々手を出してこなかったきらいがあり、花形のはずの観光業も少々苦境の時代が続きました。
これではいかんと、和歌山県庁では、いろいろな仕掛けを作って再躍進のために努力を始めているわけです。特にプロモーションには大いに尽力しました。と言うと世の中ではよく自治体のトップなどが外国などに行ってイベントをやったり相手の行政のトップと会ったりし、これをトップセールスと言って、マスコミを始め、地元の方々も好感を持って評価をするということがよく取り沙汰されます。新聞報道などで、どこどこのトップの方がどこどこへ行って頑張っているというような記事を見ていると、そのうちのいくつかについては、この人あんまり分かっていないなという感のある時もあります。こういう試みも無駄ではありませんが、単発で終わっては効果がありません。職員始め第一線部隊がフォローをして初めて効果があることが多いのです。トップが行くと相手のトップの注意を引くことができますので、その後の前線の活動がやりやすくなるのです。または前線でまず営業活動をしておいて、仕上げにトップがどんと決めるという形も一つの方法です。
和歌山県の観光当局の職員は、このような意味での営業活動を誠に熱心にやってくれています。相手はその国の旅行エージェント、経済団体、マスコミ、業界情報メディア、インターネット業者その他多岐にわたるわけで、こういう地道な努力と彼らの能力と勝ち得た信頼感が、今回のようなロンリープラネットのベスト・イン・トラベル2018第5位という快挙に繋がったと思います。他にもたくさんありますが、一つ挙げると、今や世界的に権威のあるミシュラン・グリーン・ガイドでも高野山も熊野も最高位の三つ星であります。
こういう職員、特に若手職員が活躍するためには、一般に3つのことが必要であります。一つはどこへどう当たるか、何をターゲットにするかという戦略、2つめは現場の指揮官の存在、3つめは職員の能力であります。4つめがあるとすれば、それらの訓練による経験の蓄積です。
1つめはそれこそトップの仕事でありますが、2つめについては、和歌山県には、何人かの恩人がいます。もともと何もなかった所に新しい道を引くのですから、これまで、経験もそして言語的能力も無かった人たちに、いきなりやれと言ってもできません。そこで、外国人観光客を増やすことを新しいミッションとする商工観光労働部観光交流課長に、国土交通省の若手で、行動力があって、英語ができて、観光振興の仕事を多少なりともかじったことがある人をお迎えしたいと思いました。彼(又は彼女)に県庁の諸君達を指揮してもらおうとしたわけです。身をもって範をたれてもらおうとしたわけです。そこで、私はできたばかりの観光庁長官であり、かねてから親交のあった本保芳明氏に以上のような人材を和歌山県に貸してくれないかと恐る恐る頼んだのです。何故恐る恐るかと言うと、国土交通省広しといえども、そんなに全部揃っている若手がそうたくさんいるわけではないことをよく知っていたからです。にも関わらず、国土交通省は、素晴らしい人材をすでに3人も出してくれました。初代飯田修章君、2代櫻井紀彦君、3代後藤暢子君のいずれも素晴らしい活躍で、特に現職の後藤課長は今回の発表で、パネルを掲げている姿が全世界に報じられました。心から感謝をしたいと思います。
(国際観光以外の分野でも、農林水産物の輸出を含む販売促進の分野では、ジェトロの俊秀、そして、産業分野の企業誘致や新分野開拓の分野では経済産業省の若手が、県政のまったく新しい分野を開拓してくれたと思います。)
いくら指揮官が立派でも、職員に能力がないと作戦はうまくいきません。和歌山県の職員は皆中々優秀ですが、語学能力は今まで涵養されてきたわけではないので、相手が外国となると萎縮します。そこでこの10年、意識してできるだけ多くの若手職員をそのような能力の付く所に派遣して語学能力を付けさせました。中央官庁などは欧米の有力大学院に派遣しますが(実は、私は通産省でその派遣の元締めをやっていたのです)、和歌山県は貧乏なので、有力大学院などには中々出せません。そこで必死につてを求めて、様々な組織の国際部局に職員を派遣して勉強をしてきてもらったのです。そういう人達が、英語と中国語を合わせてもう100人を越しました。いずれ彼らがどんどん成長して上から下までそのような能力を持った職員が揃ったら、和歌山県は無敵の集団となるでしょうし、市町村や民間の方々の欠けたる所を補って、和歌山県の力を高めることに役立ってくれると思います。
和歌山県の観光、特に国際観光は緒についたばかり、その潜在的観光資源に比してまだまだ発展の余地があります。それにはまだまだ手を入れなければならないところ、もっと頑張らないといけないことが実はいっぱいあって、皆で全力でそれに立ち向かっているところです。
ロンリープラネットのベストイントラベル2018第5位の選出をステップの一つとして、県庁と観光業界はじめ全ての県民が協力して頑張っていこうではありませんか。