おいしい霜降り豚肉&イノブタ肉生産技術の開発
[研究期間]
平成25~27年度
背景とねらい
‘霜降り豚肉’は軟らかくジューシーであることから高値で取引されています。しかし、飼料のコントロールにより霜降り豚肉を生産しようとすると、ブタの発育が悪化したり、赤身の肉量が減少したりすることがあり、実用的ではありませんでした。そこで、食品副産物を飼料としたエコフィードを用いて、安価で発育を悪化させない霜降り豚肉生産技術の開発に取り組みました。
研究の成果
1.飼料中のリジン/タンパク質比を調整したエコフィードの給与により、筋肉内脂肪(筋肉組織の中の脂肪)が一般的な市販飼料に比べて約1.4倍に増加しました(図1, 図2, 図4)。
2.イノブタ(図3)の筋肉内脂肪含量は豚に比べ少ないことが分かりました。また、リジン/タンパク質比を調整したエコフィードの給与により、イノブタでもわずかに筋肉内脂肪含量が増えました。
3.エコフィード(図4)を給与した区のブタの一日当たりの体重の増加量は市販飼料を給与した区と差がなく、発育に悪影響は認められませんでした。
図1 エコフィード給与により霜降りになった豚肉 図2 飼料中のリジン/タンパク質比と豚の胸最長筋の筋肉内脂肪含量
(細かい脂肪が筋肉組織の中に入っています) (筋肉内脂肪が約1.4倍に増加しました)
図3 エコフィードを食べる農家の豚(左)と本県の特産品であるイノブタ(右)
(豚は3元交雑種:イノブタは父がイノシシ、母が豚の交雑種です )
図4 トウモロコシを主とした一般的な市販飼料(左)とエコフィードの一例(右)
(市販飼料に比べエコフィードは菓子などが多く入っており、甘い香りがする)
成果のポイントと活用
1.規格外の麺類や菓子などを飼料として活用し、飼料中のリジン(アミノ酸の1種)含量を低くせず、タンパク質を増やし、リジン/タンパク質比を低くすると、発育に悪影響無く筋肉内脂肪含量を増やすことが出来ました。
2.食品副産物を主原料とした「エコフィード」を使うことで、飼料コストを20~30%程度削減できます。
3.飼料の原料によっては、豚肉の品質を低下させる場合もあります。技術活用をご希望の場合には畜産試験場にご相談下さい。