イノブタ肉のおいしさアップ~筋肉内脂肪を増やす技術~

はじめに

牛肉や豚肉はある程度、赤身に脂肪が入った「霜降り」の状態になると、「やわらかさ」や「ジューシーさ」が増し、嗜好性が向上することが知られています。このように赤身(筋肉)に入った脂肪を「筋肉内脂肪」と呼びます。一般的に、イノシシなどは筋肉内脂肪が少ないことが知られていますが、イノブタでは飼料の影響によって筋肉内脂肪が増えるかどうか明らかではありません。そこで、本県のイノブタ(写真1)の筋肉内脂肪を低コストで増やすことを目的とし、飼料としてパン屑などの食品副産物を用いた研究を行いました。

研究の内容と結果

イノブタ10頭を2群に分け、一方にはトウモロコシを主とした市販の肥育用配合飼料を給与し、対照区としました。他方にはアミノ酸の含量を操作するためパン屑などを主としたアミノ酸のうちリジンが少ない低リジン飼料を給与し、低リジン区としました(表1)。その結果、ロース芯部分に当たる筋肉である胸最長筋の筋肉内脂肪含量は対照区に比べ低リジン区で1.6倍に増加しました(図1)。しかし、増体量は対照区より低リジン区が劣り、出荷適期が44日間延びました。

イノブタ   表   グラフ

まとめ

今回の結果から、アミノ酸の含量を操作することにより、イノブタでも筋肉内脂肪を増やすことが可能であることが明らかになりました。現在、課題となった発育性を改善し、筋肉内脂肪を増やす方法について継続して研究を行っています。

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