第18回和歌山県人権施策推進審議会議事録

第18回和歌山県人権施策推進審議会議事録

第18回和歌山県人権施策推進審議会
日 時 平成16年6月28日(月曜日) 13時~15時半
場 所 和歌山市 アバローム紀の国
議 題

(1)パブリックコメントに基づく人権施策基本方針案の修正等について
(2)その他

出席委員

稲垣委員 大畠委員 橘委員 谷口委員 月山委員 辻委員 都村委員 中川委員
中谷委員 中村委員 村田溥委員 村田恭委員 柳瀬委員 吉澤委員

配布資料

(1)和歌山県人権施策基本方針(案)「清書版」
(2)人権施策基本方針(素案)への県民からの意見
(3)和歌山県情報セキュリティ基本方針
(4)和歌山県人権施策基本方針(素案)

内 容

委 員

ただ今から、第18回和歌山県人権施策推進審議会を開催させて頂きます。

本日は、「パブリックコメントに基づく人権施策基本方針案の修正等について」のご審議をお願いしたいと思います。

県では、人権施策基本方針素案に基づきましてパブリックコメントを実施いたしました。その結果、4名からご意見を賜っており、本日はそれぞれの意見につきましての説明と、事務局の考え方等を説明して頂きまして、ご審議を賜りたいと思っております。

また、事務局では色々な作業の都合もありますので、もし、委員のご賛同が得られるならば、語句、その他の形式的な問題につきましては、改めて事務局で処理させて頂くことにして、出来れば今日をもって、審議会としては打ち上げというふうなことにさせて頂けないものかと考えておるようでございます。その点をお含みの上で、ご審議をお願いします。

それでは、事務局からご説明願います。

事務局

事務局から説明させて頂きます。

先程からもお話がありましたように、県民意見募集(パブリックコメント)を4月21 日から5月20日までの1ヶ月間行って参りました。その結果、個人でお一人、3つの団体、合わせて4者から件数に致しまして17件のご意見を頂いたところでございます。その後、ご意見及び意見についての県の考え方、並びに考え方を踏まえた基本方針の修正案というものを一覧にしたものが、今日お配りしている資料2でございます。

なお、提出のあったご意見のコピーでありますが、右上に「取扱注意」と記したものをお配りしております。これは意見が何処の誰からかというのが分かるものでありますので、一般にお見せする場合には、個人情報保護の観点から個人名等はお見せしないものであります。このため、本日の審議においては、「誰々からのなんというご意見について」といったお話ではなくて、お渡ししている資料2の左端に打っておりますナンバーで、つまり1番の、あるいは2番のといった形で、ご発言頂ければ幸いかと思います。

また、資料2は、県民からの意見を大項目、中項目、小項目といった形で分類しました上で、中程の「意見(素案)」欄には頂いた意見を記して、右端には県としての考え方を記しておりますけれども、直すべき部分につきましては、四角で囲った形で対比させています。よろしくお願い致します。

それでは、資料2に基づきまして、1番から17番まで随時、ご説明申し上げます。 まず、1番の基本的考え方の中の(1)国際的動向についての項目であります。素案でいきますと2ページの10行目からになります。

「ところが、その取組が半ばを過ぎても状況は好転せず」という部分でありますが、ご意見では、「テロと戦争に関わっての記述については、テロの背景、或いは米国の動き等について正確に記述されていないし、評価が分かれるところである。ただ、基本方針の立場からすると、テロや戦争行為は重大な人権侵害であり、如何なる理由をもってしても正当化できない行為である。そういった立場から記述されるべきである」といったご意見でございます。

県の考え方と致しましては、事実を客観的に記述するという形で修正してはどうかということで、お示しをしております。特に素案の中で、「それに対する防衛・排除が戦争という形で行われ」と、読み方によっては、いわゆるイラク戦争等については、テロを正当化した形で読みとれるといった懸念もありますので、アンダーラインを引いてますように、「同時多発テロやその後のイラク戦争など、重大な人権侵害が世界各地で起き、多くの犠牲者を出しています」といった形で、客観的な記述に修正してございます。

続きまして、No.2でございます。

この部分につきましては、同じ項目内の3ページ目。

委 員

一つずつ審議しようと思います。1番の意見に対する事務局の考え方ですけれども、これについて各委員方のご意見はいかがですか。

はい。どうぞ。

委 員 これでも別に悪いとは思いませんけれども、重大な人権侵害が起きるという場合に、誰が何処でという問題を抜きにして、人権侵害に言及したらどうかと、つまり、テロの方も卑怯なことをしているし、アメリカ軍の色々な、誤爆、その他のやり方によっては、市民に対する人権侵害があり得ると当然思うわけで、ここでは、どちらがどちらか良く分からないのですが。
委 員

どちらかと言えば、アメリカに対する批判というのが今、強いのではないかと思われますけれども。あまり、こう具体的に表現するというと、我々、審議会の意見としては、事務局のような指摘のとおりです。誰が主体なのか分からない表現になっているとは思いますけれど。

他にございませんか。なければ事務局案ということで、ご了承賜りたいと思いますが、よろしいですか。それでは、2番目の方に。

事務局

それでは、2番の方に進まさせて頂きます。素案でいきますと、3ページ3行目、「そして、実態的差別がほぼ解消されたとして特別対策の終了を迎える中で、地域対策協議会意見具申では」という行になっております。ここの部分につきまして、ご意見では、「国の立場からほぼ終了したと言っているのか、或いは県の立場として言っているのかが明確ではないし、県の立場とすれば、今まで、実態的な差別を含め、解消されていないといった形で言われてますので、表現の誤りがあるのではないか」というご意見でございます。

県とすれば、ここの部分については、2ページにもありますように、国内の動向について記述しているところでありまして、平成8年の地域改善対策協議会意見具申、その後の人権教育・啓発や救済への取組へとつながったということを記述しているところでございます。従いまして、県の考え方とか、国の考え方を述べているのではなくて、地域改善対策協議会意見具申そのものを述べさせて頂いてます。そういった考え方でおります。

「実態的差別がほぼ解消されたとして、特別対策の終了を迎える中で」といった表現につきましては、地域改善対策協議会意見具申でも実態的な格差がまだ存在すると、一部においてですが存在すると。また、これまでの対策については、概ね、その目的を達成する状況になったと。こういうことから現行法の期限である平成9年3月末をもって終了するという意見を述べられています。そういった内容について簡潔に述べたものでありますので、ご意見については修正しないとの考えでおります。以上でございます。

委 員 ここの意見の中の実態的差別のところにアンダーラインを引いておられますね。そこの右側の考え方(修正等)というところで、その線の部分は省くわけですか。
事務局 いいえ、省かずに、そのまま残したいと考えてございます。
委 員 素案通りということですね。
事務局 はい、そのとおりです。
委 員

はい、いかがですか。

そうしたら、3番目の方をお願いします。

事務局

それでは、3番目に移らせて頂きます。

これは、素案の4ページの上から6行目の部分についてでありますが、ご指摘・ご意見の方は、事実誤認であるという手厳しいご意見を頂いております。

この内容については、素案では6行目ですが、「そして、同和問題解決に向けての取組は、「『人権教育のための国連10年』和歌山県行動計画」として再構築され・・・」といった記述になっているわけであります。この記述については、ご意見では、同和行政そのものが全て人権教育の国連10年に再構築されたものではなくて、和歌山県では、「和歌山県同和行政総合推進プラン」というものが平成 10年に出されておるわけですが、そこに再編成されて、教育・啓発は独立したものである。こういった形であるので、正確に書くべきであるといったご意見でございます。

県の考え方としましては、ここの部分では、本県での人権確立に向けた取組状況を概述しているものです。ご意見のように同和問題解決に向けての取組が全て「『人権教育のための国連10年』和歌山県行動計画」として再構築されたようにも受け取れますので、次のように修正しますということで、一部修正を加えてございます。

その箇所ですが、資料の右側の四角の中程ですが、「そして、同和問題解決に向けての取組は、教育・啓発を中心に」ということで、「教育・啓発を中心に」という言葉を追加しまして、ご意見の部分については対応して参りたいと考えてございます。以上です。

委 員

はい、委員方いかがですか。

また、ご意見を後で伺うとして、進めさせて頂いてよろしいですか。

それでは、その次、お願いします。

事務局

4番目でございます。ここは基本方針の位置付けというところで、素案では5ページにあたります。その中の下から6行目です。

「この基本方針においては、人権の共通・普遍性を明らかにするとともに、分野別施策の章では人権問題が持つ個別の性質を認識し」というところの、「人権問題が持つ個別の性質を認識し」という記述について、もっと具体的に書くべきではないかといったご意見でございます。ここの基本方針の位置付けとしましては、基本方針の性格とか、或いは、法令とか、他の計画との関連性などを示している部分でございます。

第3章の分野別施策では、それぞれの人権問題について個々の性質を念頭に置いた基本的な方向を示していることについて、説明をしているところでありますが、「個別の性質」といった表現をより分かりやすくするために、「それぞれの人権に関する現状と課題」という形で修正を行いたいと考えております。以上でございます。

委 員 個別の性質というものを人権に関する現状と課題というふうに変えようというわけですね。変えたらどうかという事務局の案ですが、いかがですか。
委 員

ここの部分は、本当は文章の流れから言うと、人権の共通・普遍性という、全ての人権の共通・普遍の部分を明らかにするというのが1点であって、それと対比して、個別の人権というのは、人権には個別の性質、個別性、共通・普遍性に対して個別性があるということで、対比する形で書かれていたので、それはそれで良いのだと思うのです。

けれども、更に細かく具体的に書いてほしいと言われれば、現状と課題に置き換えるというぐらいしか仕方がないのですが、流れからいうと両方対比して、人権には共通・普遍性というみんなの人権に存在するものと、個別のものとがあるということで、本当はそれで分かると思うのですが、そういうご要望があるということでしたら、それは変えるということについては、それは賛成しますけれども。

委 員

いかがですか。今、言われたように、人権の共通・普遍性ということ。その点からすれば、「人権問題が持つ個別の性質」という方がすらりとした読み方にも思いますけれども。

どうですか。

委 員 今、言われたように、元の方が私も良いと思います。何かかえって、ぼやけてしまうわけです。あと何れにしても現状と課題は書いてあるわけで、わざわざ書かなくても。やはり、普遍と個別という形で処理した方が良いと思います。
委 員

今もご意見がありましたけれども、どうですか。

事務局でお考え頂いたよりも元の案のままが良いというご意見ですけれど。

どうですか。

委 員 元のままで良いと思います。
委 員 せっかく事務局でお作り頂きましたけれども、元のままということでいかがですか。
委 員 元の案の文章が巧く出来ているように思います。個別のところをもっと具体的に知りたければ、分野別施策の推進を読んで貰えば、それで終わりですから。ここではそういうことを言わなくても良いと思います。
事務局

皆さんのご意見のとおり、敢えてより分かりやすくという気持ちで修正案を出させて頂きましたので、ご意見のとおり元のままという形で、進めさせて頂きたいと思います。ありがとうございました。

次に、5番目に移らせて頂きます。5番目につきましては、ご意見とすれば3点ございます。1つは、「人権の保障を基本においた施策や制度などの創設・運用、こういったものには基本的には異論はない。しかし、行政に求められていることは、実態を踏まえ展望を見据えた施策を的確に行う」ということであるので、より具体的な表現で明確にされる必要があるといったご意見が第1点目でございます。

そのご意見に対しては、まず1点目として素案の中では、「人権の保障」といったものについては、行政として実態を把握し、能動的・積極的に施策を進める意味で使っており、ご意見の趣旨を含んでいるものと考えますので、結果として修正はしないと考えてございます。

2つ目、7ページの下から6行目ですが、また各種申請等に対する公平な取扱という「公平」という言葉については、色々取り方があるので、慎重に扱う必要があるといったご意見でございます。

県としましては、「公平」という考え方につきましては、絶対的な公平と相対的な公平があると思うのですが、県とすれば絶対的な公平という考えは、毛頭持ってなくて、いわゆる相対的な公平という考え方でおります。一般にそれぞれの状況に応じた、より公平な取扱を想定しています。また、そういった取扱をすることが、正しく「人権を尊重した取組」になると、このようにも考えてございます。そういったことから、このまま修正せずに残していきたいと考えています。

それから、3点目ですが、県職員をはじめ公務員というのは、県民のさまざまな個人情報を持っているといったことと公権力を持つ立場にあるということを踏まえて、このことを基本とした方向性を明確に記述すべきでないかといったご意見でございます。

このご意見に対しましては、「第3章の分野別施策の推進」の「公権力と人権」の中で記述しております。総論の中には書いていませんが、各論の中できちんと記述しておりますので、ご意見については十分、応えられているのではないかと考えています。

また、今回のご意見にはなかったのですが、県が個人情報を持っていて、公権力として人権侵害を起こす可能性が高いといったご指摘に対しましては、追加という形で新たに提案をさせて頂いています。

資料の4ページの右側の中程ですが、括弧で囲っている部分です。第3章の「情報と人権」という項目、これは素案でいきますと19ページの5行目にあたります。19ページにつきましては、2行目から本県における取組を記述しているところでありますが、それの5行目の最後の方、「平成15年7月から施行しています。この条例の適正な運用により」という間に、セキュリティの文言を追加で入れさせて頂きたいということでございます。これにつきましては、平成16年の2月に、県が持っている情報についての情報セキュリティ対策という形で方針が出されましたので、併せてこの方針についても記述を追加したいと、このような今回の提案でございます。以上です。

委 員 少し長すぎたかと思いますけれども、今の主として3つの点につきまして、委員方の事務局案に対するご意見を受け承りたいと思います。しつこい尋ね方ですけれども、要は事務局とすれば、この右側の欄のように修正したらどうかという考えなのですね。
事務局

はい、おっしゃるとおりでございます。左側の四角で囲っているものを右側のように変えたいということでございます。

今の説明をかいつまんで言いますと、素案の7ページの10行目、「人権の保障を基本においた施策」というところを、もう少し具体的に書いてはどうかというご意見に対して、このままでいきたいということです。それと2つ下の行の「公平な取扱」というのも、このままの表現でいかせて頂きたい。それと別な項目ですが、「情報と人権」の項目に新たなセキュリティの表現を追加したいという、こういった3点でございます。

委 員 今、おっしゃった個人情報のセキュリティの問題、これをこの右側にあるような文章に変えることによってというご趣旨なのですね。
事務局 そのとおりでございます。
委 員 いかがでしょうか。
事務局 なお、情報セキュリティにつきましては、基本方針そのものですが、今日は資料No.3という形でお配りさせて頂いております。
委 員 この事務局のような修正でよろしいでしょうか。次。
事務局

次の6番、人権教育・啓発の推進の項目についてでございますが、人権教育・啓発の基本的方向、素案でいきますと8ページの一番最初の項目にあたりますが、ここの部分について、「男女共同参画」の視点を入れるべきではないかといったご意見でございます。

ご意見のように、人権教育・啓発というのは、実際に「男女共同参画」の視点は、非常に重要と考えておりますし、さらにまた、「男女共同参画」だけではなくて、それ以外の「さまざまな視点」というのもあろうかと思います。こういったことから、個々に記述するのではなくて、総論的に、8ページの9行目から10行目、「県民一人ひとりが人権を自らの問題として捉え、人権の意義や人権尊重、そして共に生きることの重要性」、そういった辺りに記述していると、この中に含まれているという考え方ですので、今回は修正しないという案でございます。

委 員 原案どおりということで、ご了承願えますか。
委 員

それで結構なのですが、この審議会は非常に多くの女性を登用して頂いていて、しかも、はっきりと、このようなパブリックコメントが寄せられているのであれば、どこか全体としたら女性のそういう人権については、強調しているとは思うのですが、枝葉末節、言葉だけでも少し入れられればという気持ちは少しございます。

もう異議なしということで、すらりとご論議頂いて、やはりこれで良いということであっても仕方がないという気はございますが、もし、お知恵がございましたらと、一言申し上げたくなりました。

委 員 事務局の案として、今のようなご意見についてどうですか。
事務局 特に女性の人権という分野別の部分で女性の参画とか、かなりの場所を割いて記述しているところでありますので、できれば総論的な部分については、一つだけ男女共同参画だけを書くわけには、我々としては、まずいのではないかと思います。それもあるならば例えば、ノーマライゼーションという考え方も入れるべきではないかと、こういったことも考えられますので、男女共同参画については、女性の人権という辺りで、教育・啓発も記述してますので、どうかなと、このように考えております。
委 員 どうですか。そういうふうな考え方ですが。
委 員

他の委員方いかがですか。女性の人権と男女共同参画ということと、少し違う視点のような気もするのですが。

そのようなことを言いながら、具体的な良い案が私自身も浮かんできませんので、進んで頂いても結構かと存じますが。他の委員方、もし、ございましたら。

委 員 全体の流れとか、ここの記述の趣旨からすると事務局案で良いと思います。
委 員 色々な考え方があるかと思いますけれども、今、おっしゃられましたようなことで、この点については事務局案で進めさせて頂きたいと思います。次。
事務局

ありがとうございます。

それでは、その次の9ページのところなのですが、中程に、アとして、「家庭における人権教育」といった部分がございます。この中でも「男女共同参画」の視点を明記する必要があるのではないかといったご意見でございます。

このご意見に対しましては、家庭による人権教育にあって「男女共同参画」の視点は重要だと考えております。こういうことから素案の中の「親が持っている人権感覚」というのは、男親であれ、女親であれ、共に男女共同参画という親が、当然、持つべき人権感覚、こういった言葉の中に入っているのではないかと考えます。

また、今、申しましたような視点から、最近では、よく言われております、父親の家庭教育への参加、こういったものが低いと、こういうことも踏まえまして、敢えて、「父親の家庭教育参加の促進」を取組として述べております。こういったところで、素案どおり活かして頂きたいということでございます。

委 員 この点で、事務局では原案どおりということですね。
事務局 はい。
委 員 事務局の案、ご承認頂けますか。ありがとうございました。次。
事務局

それでは、8番目のご意見です。

9ページの下の方ですが、イとして、「学校教育における人権教育」という項がございます。そこの部分で、学校教育に関わって、「子ども権利条約」の趣旨、特に「意見表明権」について押さえる必要がある。また、「必要な知識・技能や態度」に加えて、現実に私たちの暮らす社会の中に差別が存在し、それに苦しむ人がいるといった認識抜きにしては、「人権意識」を育むことが出来ないのではないかといったご意見です。

それから、もう1点が、「学校教育では教育活動全体を通じて、幼児・児童・生徒・学生が社会生活を営むうえで必要な知識云々」とあります。その次の下3行ですが、「幼稚園・保育所においては、遊び云々」とか、或いは下から2行目に、「小・中・高等学校及び盲・ろう学校、養護学校においては、」という部分、その次のページの「大学等においては、」という部分があります。その中で、障害児がおかれている立場からすると、小・中・高、盲・ろう・養という一括りではなくて、何らかの別な考え方があるのではないかといったご意見と、もう一つは大学について何を書いているか理解できないと、厳しいご意見になっております。

今回、修正をさせて頂いたのは、「幼稚園・保育所においては、遊びを中心に」という形で書いていたのですが、「遊びだけ」という話にも捉えられがちなので、「遊びや動植物とのふれあいなどを通して」という言葉を追加させて頂いております。そして、「育むことが必要です」という語尾も修正しております。

また、小学校・中学校・高校、或いは盲・ろう・養につきましては、素案の中では、目的として10 ページの1行目のように、最終目的が「生きる力」を育むことになっております。人権という観点からすれば、ある意味では、「人権を育むことが必要です」というような表現が正しいのではないかと、こういった目的が若干違うのではないかということから案のように、「自ら学び、自ら考える力が豊かな心などの「生きる力」を育む中で、命を大切にすることや自分や他人の権利を尊重することなど人権についての知識・理解を深め、・・・」といった形で、中心を人権の方においた表現に書き換えております。

また、大学についても「人権尊重の理念についての理解を更に深め、社会の中に活かしていく力を開発することを目指した人権教育を一層促進する」といった表現に変えております。以上でございます。

委 員 この修正について、いかがですか。前から大学のところについては、分かりにくいと思っておりました。正しく、ご指摘ありました。それで、事務局としては、このようにしたらということで、変えさせて頂いたのですけれども、全体として、こういうふうな補充といいますか、訂正ということで、よろしいですか。
委 員 よろしいです。
委 員 そうしたら、次。
事務局

ありがとうございます。

続きまして、意見の9番、「公権力と人権」、素案でいきますと、16 ページにあたります。ここの公権力に関わる記述の中で、在日韓国人、朝鮮人をはじめ、その旧植民地に対する強制連行・徴用・従軍慰安婦問題等々についての記述が欠落しているというご意見です。

また、外国人の人権には記述はされているが、ここの部分で、国籍条項の問題も触れる必要があるのではないかといったご意見でございます。

このご意見に対しましては、分野別の枠を越えて、すべての人権に共通的に関わる人権問題の一つとして、この部分は公権力の問題を総括的に取り上げている部分であると、我々は理解しています。そういった基本的な方向をこの中で示しているものであり、又、ここに出て来ています部落問題とか、ハンセン病の問題、こういった問題については、公権力と人権をより分かりやすく理解して頂くために例として掲げたものでありますので、すべて書くわけにはいかないということで、素案のままでいきたいと考えてございます。

なお、国籍条項については、分野別のところでも、記述されているところでございます。

委 員 今の事務局の説明でよろしいですか。原案どおりでということなのですか。たくさん例をあげれば、誠に我々のような戦前というものの、韓国、朝鮮に対する我が国の異常な仕打ち、現在の国際問題の考えについても取り上げたいというふうに思いますけれども、あまり例がたくさんあるという考え方でございます。一応、事務局のような考え方でよろしいですか。ご了承願えますか。次。
事務局

ありがとうございます。

続きまして、10番目の意見でございます。環境と人権という部分でございます。次の17ページから18ページにかけてでございますが、橋本市のダイオキシン問題についてここで取り上げて欲しいといったご意見でございます。

このご意見に対しまして、小委員会でも話が出ましたし、分科会でももしかしたら出たという記憶があるのですが、一時、橋本市のダイオキシンの問題について議論をされたと記憶してございます。そういったこともございまして、案のような形を18ページの上から6行目の次に示させて頂いている案を追加したいと考えてございます。

委 員 県の考え方で、なぜ橋本市を除いたのですか。和歌山県の場合は、特に橋本市ということで、おそらく読んだ人のイメージがわくのです。この修正案でいくと、本県のどこで何があったのか全然分からないです。
事務局 ご意見のように「橋本市で起こった」といった形で記述する方法もあろうかと思いますが、よく言われるように風評とかいう話もありますし、敢えてここでは橋本市というのを抜いた案で書かしてもらっています。
委 員 他に橋本市以外でダイオキシンの大きな問題になった地域が県のどこかにあるのですか。
事務局 記憶では無いと思います。
委 員 非常に一般化したわけで、こういう問題は具体的な意味が伴わないと、やはり読んだ人には実感がわかないと思います。内容的に非常に具体性に欠けると思う。全国からどういう処理技術が出て、どういう対策が取り上げられて、どうしたという具体的な話は全然ないわけです。私はこういう修正をしてもあまり意味がないと思います。
委 員 今、橋本市という一つの象徴的なものを表した方が良いのではないかというご意見が出て参りましたがどうですか。
委 員 対策協議会が出来たようなところは他には全然ありませんし、今までずっと報道がなされてますから、今更、橋本市に風評被害が及ぶということは考えにくいし、言われるように、橋本市の場所の特定とジオメルト方式も具体的に書かれた方が、私も良いのかなという気がしますが。
委 員

私は、橋本市という固有名詞を使うということは、ただ単にそこだけ取り上げたという形になるので、やはり普遍的に展開していこうというわけです。

例えば先程の9番目の在日韓国・朝鮮人や徴用・従軍慰安婦という国籍条項云々という具体的なことを抜く中で、全般的な観点から進めていこうということ、流れてきているという視点からしますと、個別に橋本市云々ということではなくて、あくまでこれを教訓にして水平展開していくというふうに捉えておるので、私は、事務局の案に賛成したいというイメージでございます。

委 員 橋本市だけしかないのです。それをなぜ、県全般のように一般化する必要があるのですか。だから先程、橋本市以外でもあったのですかと聞くと、ありませんということで。
委 員 橋本市しか歴史的にはないということでクローズアップするということ、そういうふうなインパクトのある出し方ということですが、県民が共有する意味では、こういうことがあったということで、全体的にするということが、今までの流れから来たら、今やっていこうとする流れからすれば、ベターではないのかなと思いましたので、橋本市の固有名詞は入れるべきではないというのが、私の意見でございます。以上です。
委 員 インパクトがない。この意見ははるかにインパクトが全然ありません。
委 員 私はむしろ、もっと和歌山県が主導して、こうした解決の仕方をしたというのを書いて欲しいと思うぐらいですが、どうでしょうか。非常に特殊な問題で、和歌山県橋本市においてのみ発生した問題ですので、非常に象徴的なこととして、もう少し具体的に書くというのも一つの方法でないかなと思いますけど。

委 員

橋本市と入れる。さらに具体的にということですか。
委 員 ジオメルトを書いて欲しいと思います。
事務局 色々と考え方があります。この事件自身が直接、人権云々というものではなくて、我々が考えているのは、事件が起こった後の処理について、後段にも書いておりますように、開かれた中で住民も入って、人権に配慮したという観点での事件であったということから、むしろ後段部分の方が、人権という観点からすれば、より重要な部分ではないかなと考えています。
委 員

最大の人権というのは、やはり人命です。人の命の危険というのが、一番人権の根本にある。ダイオキシンというのは、猛毒なのです。大体1グラムで実験モルモット80万匹を殺せるというくらいのものすごい毒なのです。

そういうことも書かれてなく、第一、ダイオキシンが出たこと自体が重大な事件なのです。そのことをまず強調しなければならない。後は、処理に絡む問題ですから。処理の中で和歌山県がどれだけ全国的に有名なことをされたか私はよくは知らないけれど、両方書かれたら良いと思います。むしろ広島に原爆が落ちたから原爆記念館を作って、永久に象徴化するわけです。橋本市で、和歌山の教訓としてここで、ダイオキシンという猛毒が発生して、処理されたのだということをはっきりさせた方が、僕は良いと思う。

委 員

私は、事務局案で良いと思います。要するに、全体に見ていて、確かに橋本市のダイオキシンの問題は、大きな問題であることは事実なのですけれども、そのようなことをいうと、他の部分でも取り上げなければいけない個別的な事例は、沢山全体の中にあると思うのです。ここの環境のところのダイオキシンの橋本市の問題だけが、特定の市の名前を挙げるとか、特定の処理方式の名前を挙げて個別に強調しなければならない問題のことではなくて、それをするのであれば、他の個別の人権分野のところでも、いろいろ挙げないといけない部分が出てくると思います。

ここは分野別施策推進の中で、個別の人権の中の前段部分ということで書いており、他のバランスから考えても、今、事務局がおっしゃられたように橋本市のダイオキシン問題というのが、特に強調するべきことではなくて、環境問題について、こういう解決方法もあったという、或いは、和歌山県ではこういう解決方法もしたという意味で、書かれるというので、そこに意味があるのだろうと思うわけです。

私自身はどちらかというと、事務局案でも詳しすぎると思っているのですけれども、全体のバランスからいうと、もう少し、簡潔に書いてあってもいいのではなかろうかという気がしています。どちらにしても、そんなにここの所だけ力を込めて、橋本市の固有名詞を挙げるとか、詳しく書く必要はないと思います。

委 員

深く書いていくのであれば、先程おっしゃられましたが、最初にダイオキシンが発生したという時点で人権を侵害しているのであれば、「民間の処理業者が行った」とありますけれども、それ以前に県とか行政に対して責任を問われなかったかという記述が必要になってくるのではと私は考えるのです。

だから、この事務局案のように、特定しないで流しておく方が良いのではないかという意見なのです。処理とかの問題まで深くしていくと、なぜそこでそういう事件が起こってしまったのだということを問われかねない。問われて当たり前だと思うのですが。

橋本市でこうなっていくまでの過程とかを考えると、もっと重い責任とかも考えないといけないと思うのです。そうでなければ、特に特定せずに、一応、こういう問題がありましたよという記述で押さえておく方が。

委 員 固有名詞を挙げないでということですか。
委 員 はい。それで良いのではないかなと。
委 員 環境と人権はここだけでしょう。他に具体的な、個別的な施策というのは書かないわけです。問題自体に象徴する必要があると思うのです。環境の破壊と人権がどれだけ大きな密接な関係があるかということを強調しなければならない。全般を通じて生命に対する認識がはっきり言って、非常に弱いと思うのです。生命を侵害されるという問題を軽視している現れの一つだと思うのです。だから僕はやかましく言っているのです。コンパクトに書かなくてはならない。別に橋本市を出しても、そんなに長々書く必要はない。いくらでも、書き方によってはコンパクトに書けます。長さの問題ではなく、別にH市でも何でもいいですから。ある特定の場所で重大な問題が起こっているということの認識が大事なのだということ。しかも、県がこう書くと、意図的に県が民間の処理業者に責任をなすりつけているというふうに言われたらどうしますか。民間の処理業者が悪いから起こったという書き方になっている。その点はどうですか。県の責任はどう考えるのですか。
委 員 いろいろ考え方があるかと思いますが、この点についてどうですか。橋本市ということを入れるかどうか。それについて、若干の修正をするかどうか。
委 員 別にH市だったらいいですよ。
委 員

例えば、和歌山県の場合、このかけがえのない地球の環境を守るということでいうと、前の時、ここでお話したように、橋本市のダイオキシンと田辺の天神崎のナショナルトラストの二つは、県外に行きますと非常に有名なものとして知られていますが、全く両極端で捉えられている。

橋本市が一番心配するのは、橋本市のダイオキシンということで、風評被害の悪い側で捉えられる可能性がある。田辺の場合の天神崎というと、田辺に来る人全部が、田辺市の人が全部いい人のように、みんなが環境を守るような人に思われて、結構なものだという話もあるのですが、橋本市の場合には、結局、ダイオキシンの処理が、県が和歌山方式という形できちんと出来た処理が完璧であったということを、むしろ、明らかにしてもらって、橋本市のダイオキシンが悪い側ではなくて、すごい形で出来て、それは環境破壊ではあるとか、命の破壊みたいなもので、市民全体が人権侵害されるものについて、どうそれを守ろうかというような意見の部分で一致したので、単なる金銭の利害の問題は、処理の段階での話は、諸々どこでもあろうから、その部分についてのクローズアップした話ではなくて、出来たら処理が今、完全に出来た。それは市民全体が、或いは、県民全体の環境を守ろうという人権とつながった形での取り組みの側という形で、ここに橋本市から大きく前進して解決に向かっていると聞いている。この問題から得た教訓もたくさんあると思うので是非取り上げて欲しい。市民の人権感覚が和歌山県を動かせたというものでもあればというようなことが、実の意見ではないかと思います。

委 員 私は、橋本市と出した方が実績としてよく分かるのではないか。県がこういう形で関わって、ダイオキシンという大きな問題を解決に導いたということが、それまでの過程はともかくとして、出て来たものに対する処理をこのように行ってきたということが、出す方が分かりやすい。こうして書いてあると確かに普遍化していると言えば、普遍化なのですが、知らない人はよく分からないということもあって、私は、載せた方がいいのではないかと思います。
委 員

確かにこの問題は悩ましい問題であると思うのですが、結論から言いまして、これはやはり橋本市を入れた方がいいのではないかなと。今、私は、色々聞いたり、考えたりして思いました。

その理由は先程から色々出ておりますけれども、橋本市というのを出して差し支えはない。むしろ、それは誇るべきもの、自慢すべきものであれば、出していいのではないかと。また、環境と人権はここだけしか出ていなく、ここでせっかくのそういう例を強調しておくということも良いのではないかと思います。そういったことから入れても良いのではないかと考えます。

委 員

何か引っかかるのですけど。本県では、一番最後に対策を行っています。結果的に良い方向へいきましたとなっています。それでは、民間処理業者が悪者であったと、読むとそこですごく引っかかるのです。「本県では、産業廃棄物の不適切な処理によって」となっていれば、あまり引っかからないような気がするのですが、「民間処理業者が行った悪行をこのように対策を行いました」と読んでしまうとそうなるので、場所の特定とか色々言うのであれば、ここの所、何かすごく引っかかるのです。

行政の責任は全く無かったのか、民間業者だけが悪かったのかというふうに、原因があって結果が起きているわけですから、結果が良かったというのであれば、原因部分でこういうことが起こってしまいましたということを捉える必要があるので、それであれば、一層、民間の処理業者が行ったというところを、ただ単に事件が起きたという「産業廃棄物の不適切な処理によって」とする方が、まだ良いのでは。何か問題をすごくごまかしているような気がしますけれども。何かここに引っかかります。

委 員

具体的にどうするかは分からないのですが、趣旨から言うと橋本市という名称を入れてもいいだろうと。もう一つは、人権文脈で書くということを少し工夫すれば。

つまり、問題は人権問題なのです。環境と関わっているのは人権問題ですから、そこを少し工夫して入れればという感じはするのですが。ただ、どういう文章にするかというのは分からないですが。そうすれば当然、橋本市の事例が活きてくると思います。処理の問題だけではないわけです。

委 員

事務局の方、分かって頂けましたか。委員さん方のご意見を。

橋本市という固有名詞を入れることについて、ご意見があるかと思いますけれども、事務局にお任せ頂くということで、ご了承頂きたいと思いますが、よろしいですか。はい。

委 員 希望だけです。汚染された土壌の無害化処理という所に用語解説を付けていただけたらと思っています。その中にでも橋本市が入ればと思いますが。
事務局 はい。わかりました。
委 員 大方の委員のご意志をくみ取って、事務局案をそういう方向で訂正して頂き、また、改めて各委員の方に配布させていただきます。次。
事務局

はい、分かりました、色々とありがとうございました。

それでは、11番、分野別の同和問題のところでございます。ページでいきますと素案の42ページになります。

ここの42ページの下から10行目辺り、「そして、このような基本認識のもとで、同和問題の解決に向けた今後の主要な課題として、依然として存在している差別意識の解消、人権侵害による被害の救済等の対応、教育、就労、産業等の面でなお存在している較差の是正などがあげられています」といった記述をしているのですが、この記述については、県とすれば多くの課題を抱えているという、今まで言ってきたこと、或いは、未だに格差是正、そういったことについて、誤りではないかというご指摘です。

また、2点目として、次の43ページの始めの方ですが、こういった部分については、現状認識が出来ていない。住環境については、立地条件や安全性とかいった観点から見ると、そこに書いておりますように、公営住宅など既存施設のアフターケア等の課題、或いは産業・就労についての問題等々がある中で、現状認識が出来ていないといったご意見でございます。

最初の方の42ページの部分については、現状と課題という項目の中で、平成8年に出された地対協意見具申が述べていることをそのまま要約して書いているという考え方でおります。

また、2つ目の現状に関する記述については、最近の経済状況の変化などを踏まえまして、若干、右の案のとおり、アンダーラインを引いているように、3点ばかり修正を加えております。

まず、1点目が、「劣悪な状況は大きく改善されました」と言い切っているところを「されてきました。」とか、或いは「若年層の就労等にも明るい兆しが見えていますが」というところを「一定の成果をあげてきました」と、それから、資料の7ページの左側の中程にアンダーラインを引いていますが、「一方で脆弱さが残る同和地区の生活・経済基盤により、」云々といった部分については、この文章の構成自身が、元々の素案の構成自身が、今までの成果、成果と並べてきて、途中で課題という記述になっていますので、そういったものを整理し直すという観点から、成果ばかりを続けてきて、最後の方に課題という形で持ってきて整理をしたと、こういった修正案でございます。以上です。

委 員

今の3点程につきましての事務局の案、いかがですか。

特に、ご意見がなければ、それでは、次の12番ですか。

事務局

12番目のご意見です。同じように同和問題の43ページの (2)基本的方向の部分ですが、「人権侵害と教育啓発に限定されて実態的差別に関わる記述が全くされていない。人権侵害と人権啓発だけしか書いていないのではないか。しかし、この項目というのは、問題解決への基本的方向に関わる重大な部分であるので、そういった基本的方向を書くべきではないか」といったご意見でございます。

そのようなことから、素案の44ページの7行目辺りに、「それぞれの地域ごとにその課題に応じた取組を進めます」といった記述になっておるわけですが、今後の方向づけとして、「まちづくりを進め、個人の自己実現を図るという観点に立った取組を総合的に推進していきます」といったより具体性を帯びさせた表現に変えております。以上です。

委 員

より具体的になったかどうかは別にしまして、事務局案でよろしいですか。そうしたら、次。

事務局:13番に移らせて頂きます。44ページの中程の(3)基本的なとりくみの、すぐ前に、「教育啓発と悪質な人権侵害等への法的な規制は、」云々と、素案では書いております。そういったことに関して、法的な規制が必要と書いていますが、私共は、必要はないと考えております。問題解決が法規制で図れるものではなくて、啓発活動を工夫を凝らして実施していくべきではないかといったご意見でございます。

法規制の考え方につきましては、勿論、人権教育・啓発というのは、非常に重要であるというのは、言うまでもないと考えてございます。しかし、一方で、現実的に人権侵害が繰り返されているという実態がございます。被害者に対しては、実効的な救済を図ることが、人権教育・啓発と並んで大切なことであると、このようにも考えております。

そうしたことから、教育・啓発と救済というのは、当然、行政にとっては、両輪になると、この両輪がお互いに機能を果たして、初めて効果的なものになると考えてございます。そういった人権救済をより実効的なものにするためには、やはり、法的な枠組みということが必要になってくると考えまして、ここでは、原案どおりでいきたいと。以上でございます。

委 員 事務局のご意見どおりで、よろしいですか。そうしたら、その次。
事務局

14番目です。(3)基本的なとりくみの部分ですが、同和問題に関わって、現状認識や課題について何点か今まで指摘した関係上、記述全体について再点検されたいと。特に、他の人権課題に比べ、基本認識・方向について明確にされていないといったご意見でございます。

そういったことから、いわゆる修正というのですか、再検討、見直しをした中で、同和問題の中のページでいきますと、46ページの中程に、「エ 生活環境等の整備」という項目がございます。その中で、現状認識とか、或いは、最近の課題とかいう項目の中で、単なる「安心して暮らせることが大切です」とだけ書いておったわけですが、そういった言葉を、「これまでの取組により、生活環境については大きく改善されてきたところですが、今後においてはすべての人が住み慣れた地域で、また、安全な生活環境の中で安心して暮らせることが大切です」といった表現に修正をしていきたいと、他にも箇所があるのですが、取り敢えず、1点目だけ、ご説明申し上げました。

委 員 15番の情報と人権に関する意見ですけれども、それについての事務局案のご意見も。
事務局

はい、続けさせて頂きます。

同じように、現状認識とか、実態をきちんと留意する必要があるとか、或いはボランティア活動や連携についてきちんと書く必要があるというご意見に対してですが、18ページの「情報と人権」という項目の上から6行目、「国民一人ひとりに保障されるべき基本的人権の問題であるという考えが広まってきています」といった表現については、「人権の問題であるとの認識が重要です」と、きちんと認識をすべきという考えから、修正案を出させて頂いております。

また、2行下の「個人情報が流出する危険性が高まっています」のところで、危険性が高まっていますという表現に止めていましたが、現時点で流出していますので、「大量に流出する事件が相次いで発生しています」と、こういった現状認識を行っております。

一応、ここで止めさせて頂きます。

委 員 事務局の考え方と言いますか、文言を改めた、それから危険性と言うよりも、現に大量に流出する事件が相次いでいるという現状認識にしたいと、すべきだということですが、よろしいですか。次。
事務局

同じ項目に対して、見直しの3点目ですが、52ページをお願いします。

「ハンセン病、HIV等」の項目でありますが、52ページの上から8行目、「近年、わが国においてもHIV感染者は増加の傾向にあり、感染原因については性行為によるものがほとんどを占めています」と、これは事実ではありますが、ある意味で読めば、この部分だけ読めば、性行為だけかなといった観点での捉まえ方をされる可能性もありますので、右の案のように「感染経路については、性的接触、血液感染、母子感染などがありますが、最近では性的接触によるものが大部分となっています。」といった記述に改めております。

また、ボランティアの活動については、これも重要ということは認識しておりまして、最後の行、最後の項目であります第4章、ページで行きますと64ページになりますが、64ページの中程に「(4)県民、企業、NPO等との協働」という項目の中で、修正案のように「NPO、ボランティア団体等」といった表現にするとともに、ボランティアというイメージから(4)県民、企業、NPOとの協働の2行目、「社会のあらゆる分野において寄与することが求められています。」という前に、「すすんで社会のあらゆる分野において寄与することが求められています」と、「すすんで」という表現も追加しております。

また、下から4行目の「このことから、今後さらに県民や企業、NPO、ボランティア団体等との連携を図る」となっていたのですが、「連携・協働」として「協働」という言葉も追加してございます。こういった関係で企業やNPO、ボランティア団体等という言葉が何回も出てきますので、下から2行目、「また、県民や企業、NPO等」というところについては、「これらの」という言葉で、だぶらないようにしているというのでしょうか、表現を変えています。以上でございます。

委 員 今、第3章と第4章の2つが一緒に出ましたけれども。
委 員

感染経路についてのところなのですが、つまり、HIVに対しては、非常に誤解や偏見が強いわです。性的接触といっても、例えば、キスとか接吻とか、そういう軽い接触でも、移るということになると、はっきり言って、偏見です。

それから血液感染に関しては、血液製剤です。勿論、製剤に付いて感染している。

また、母子感染は良く分からないのであって、これは妊娠中に母から子に移るのか。その母親が子どもにお乳をやったり何かしていると移ってしまうのか。感染経路を少し厳密にしていかないとHIVは何でも移るのだという、そういう偏見を生じかねないことになると思うのですが。

だから、性的接触といっても、ほとんど、性行為です。その辺はどうなのですか。あまり感染経路が多くなり過ぎてしまうような気がするのですが。

委 員 事務局の考え方はどうですか。
事務局 この項目というのですか、区分については、厚生労働省が出しております調査結果に基づいて、こういった表現で書かして貰っているところでございます。
委 員 誤解が生じないかということを言っているのでありまして、統計上は最近、若者に増えているのでしょう。それは、恐らく性行為だと思うのですが。あとの血液感染は、はっきりしているのだけど、母子感染と性的接触という非常に漠然とした言い方はどうなのでしょうか。
事務局 事務局としては、厚労省が使っている一般的な表現を用いたと、こう考えているところです。
委 員 だけど、非常に感染経路が多すぎるみたいです。HIVはものすごく移ってしまう。現実にはやはり、上手く対応すればそんなに移らないものですが、日本でも数百人に。アフリカでは、ものすごい数の、毎年何百万の人が死んでいる。逆に、簡単に移るとなると、HIVに対する偏見を強めることになるのです。感染経路を厳密にすることが大事。そうして、注意していれば移らないのだということを具体的に。
委 員 事務局は、かえって薄めるために、こういうのを入れた。
事務局

薄めるためというよりは、今までの原案でありますと、「性行為によるものがほとんど占めています」と、ここをあまりに強調しすぎているという考え方がありましたので。

だから、経路を「これだけではないのですよ」と、「他にもあるのですよ」というのをはっきりと記述して、最近の傾向を書いて、若い世代への防止に関する正しい知識が必要ですといった形でつなげるという手法を取ったということでございます。

委 員 手法は良いけれど、感染経路については、厳密に比較する必要があると私は申し上げているのです。僕は反対だけれども、あなた方、多数が良いのであれば、これで良いのだけど。何でも一緒、簡単に移るように書くと、かえってHIVに偏見が強まると思うのです。そこのところを心配しているわけです。
委 員

感染経路を見てみると、一般的にいわゆる性的接触とここに書いている性行為が感性経路の大部分を占めていると、原案では書いてある。それは恐らく、書いている側からすると、その部分を我々個人が一人ひとりが注意をしながら生きていこうという面で書いたと思うのです。母子感染であるとか、或いは血液などの、このところの献血センターなどであるような問題というのは、個人の注意の問題ではなく、もっと全体として、製薬会社であってみたり、或いは病院であったり、その他の部分の注意の部分であり、母子感染そのまま個人が注意をしてというよりは、中心としては性行為の部分での注意を呼びかけていくので良いのと違うかなと。

だから、あまり広げていって、以前のハンセン病みたいなことにはならないとは思いますけれども、どのようなことでも怖いような形にしてしまうことも、また、弊害があるのかなという思いはあります。感染経路は医学的には幾つかあるというのは分かるのですが、我々が今、言うていく部分というのは、教育・啓発をしていく部分として戻ってきた場合に、表示の仕方で強弱なり、主従なりの落差をつけておくことが出来ないのかなと思います。

委 員 結論的に言うと、素案で良いのだろうという気がしますが、HIVは用語解説をしていますので、その中に感染経路みたいなものを入れても良いのかなという感じがします。
委 員 元の素案に、従来、血液製剤で感染して問題になったとか、簡単に感染するという誤った知識が広まったとかということが、きちんと書いてあるので、あまり神経質に考えなくても良いのではないかなという気もします。結論から言えば、元の素案のとおりでも良いのかという気もしますけど。
委 員

私も、むしろ、素案の方が良いと思います。ただ、小学校か中学校かは知りませんけれども、コンドームを使うことを教えるという話が出ています。要するに、「コンドームを使えば必ず防げると思う」、「HIV菌が精液を媒介することも多いらしい」とは書けないから、上手く処理というか、上手く予防法を徹底すればかなり防げるのだということを伝える。

また、欧米では性行為による感染がどんどん減っていますので、その辺を少し強調する必要もある。要するに、「HIVというのは、かかってしまうとかなり重病な病気だが、きちんと予防をすれば、それなりに防げるのだということ」、「欧米では減ってきている」、「何かそういう怖い病気だけどきちんとすれば防げる」という意味を表示すればいいのです。

委 員

委員とすれば、やはり、原案のとおり、「感染原因については性行為によるものがほとんど占めています」という表現で良いのではないかということですか。

大方のご意見が、そういうことのようですが、事務局はいかがですか。

人権の啓発として、我々が取り上げていく、その取り上げ方とした場合、感染原因と言いますか、感染経路というものをあまりこと細かにしていくことが、果たして意味があるかどうかということですか。

事務局 はい、分かりました。原案ということですけれども、「ほとんど」というところが非常にこだわりましたので、ある意味では、ここを大部分とかといった形で検討したいと思います。
委 員 そういう趣旨で、できる限り原案どおりということの意見が、この審議会で強かったということをしんしゃくして頂いて直して頂きます。次。
事務局

ボランティアの辺りの部分は、よろしいですか。

先程、説明漏れしたのですが、項目にも「連携」としか書いていないのですが、「連携と協働」という形で、「協働」という言葉を追加したいと考えております。

委 員

「ボランティア団体」が入っていなかったということで、新たに入れるのと、もう一つは、「連携・協働」これを並列的に取り上げるということですか。

ご意見が特にございませんようでしたら、その次の16に移らさせて頂きます。

事務局

それでは、16番に移らさせて頂きます。

素案には基本的に理解を示し、県民に対して一定の方向性を示すものとしては有効的と考えますと、一定の評価を頂いてます。しかし、国内の人権課題が、私人間の問題に矮小化されることがないよう、また押し付けにならないよう行政機関は特に配慮をして欲しいという要望がきております。

また、正しい人権認識をしていく上での自主的な学習、啓発を支援することも大切な取組と考えます。県当局が自ら「人権の視点に立った行政の推進」をしていく上での取組を行うことは評価できる。今後ともさまざまな機会で「自主性を尊重し、異なる意見に対する寛容の精神に立って、自由な意見交換ができる環境づくりに努める」ことは大切なので、是非とも実現して欲しいと、こういったご意見でございます。

これは、ある意味では要望という整理になるかと思います。

具体的には、そこにも書いていますように、素案におきましては、人権課題を私人間のものだけに限定せず、第3章の「公権力と人権」、或いは、第2章の「人権の視点に立った行政の推進」として、本県行政の基本的方向を示しています。

また、人権問題については、多種多様な意見が県民の中にあることを踏まえて、第2章「人権教育・啓発の推進」では、「県民の自主性の尊重」とか、「異なる意見に対する寛容の精神」、そういったものを人権教育・啓発の基本的な在り方としています。

「今後は、この基本方針に基づいて、さまざまな施策に取り組み、県民の皆様と一緒に社会づくりの推進をしていきます」という形で、回答しようと思っております。基本的には、ある意味では、修正を審議頂く部分ではないのかなと考えております。

委 員 よろしいですか。その次17番。
事務局

最後になるのですが、素案全般についてという項目で頂いております。理解出来る部分と出来ない部分があるのですが、現在の行政人権は国会以下税収入を基本に取り組まれたものになっている。そもそも、小選挙区という「小は大を兼ねる」との辞書にもない国の考え方に不信を抱いている。云々と。

私の住む地域は、携帯電話は「圏外」、ブロードバンドは使用不可能、農業用燃料についても「道路税」を支払っているにもかかわらず、「国道425号線」は3.5mの云々と。

下の方です。今後は「同和人権」をほぼ完了し、他の人権の阻害に国を挙げて取り組まなければ、云々とあります。そういったこと、或いは、地方の人権の阻害という言葉、そういったことをピックアップしまして、右の案のような形で、回答が必要かと考えております。

まず、回答の要旨ですが、1点目については、色々なご意見を頂きありがとうございます。今後は適正に対処してまいるといったこと。

人権に関するご意見の中で、同和問題については、ほぼ完了したと言っておりますが、まだ事件などが発生して、県としても取り組んでいきますということ。

「地方の人権」については、人権はどこでも等しく保障されなければならないもので、この素案では、市町村や県民の皆様などと連携・協働しながら総合的な施策を推進することによって、人権尊重の社会づくりが県内一円に広がっていくことを目指しています。こういった県の考え方を述べております。

以上です。

委 員

特に、この17番につきまして、ご意見等ございませんか。

寄せられた4人の方の意見について、先程から委員方にご検討を頂きましたようなことで、書面ではなく、ホームページで回答するわけですか。回答する方法を説明願います。

事務局 基本的には、左側の質問に対して右側の回答をホームページにて、この基本方針が決定した以降に発表するという予定です。
委 員 先程からご審議を賜りまして、色々とご意見を賜りました。その中で、ほぼ決定されたと思いますので、その点につきまして、事務局で改めて、各委員方に案をお配りして頂いて、特に、ご異論がありましたら、また事務局へお寄せ願うということ。特に、ご意見がなければ、そのままご了承を頂いたということで、処理させて頂きたいと思いますけれども、よろしいですか。
委 員 本文の中に、「和歌山県セキュリティ基本方針」というのが加わったので、最後の用語の解説のところに、それも入れておかないと、少し分かりにくいかなと思います。その点ご配慮頂きたいと思います。
事務局 分かりました。
委 員

なお、その他、各委員方で、この点は是非というようなことがありましたら、どうか事務局まで、申し出を頂きたいと思います。

基本方針につきましては、審議会で一応、ご了承を賜ったということで、終わらせて頂きたいと思いますが、よろしいですか。

ありがとうございました。

今後の進め方等について、事務局からご説明を頂くことがありましたら、おっしゃって頂けますか。

事務局

本日は、色々とありがとうございました。

以前に7月28日ということで、第19回を予定をして、皆様にも、お知らせをさせて頂いて、また今日は、事務連絡という形でお渡ししているものもあります。

その2つ目については、無くなりましたので、1番の部分だけということで、ご了承を頂きたいと思います。

今後につきましては、先程からもお話がございましたように、事務局の方で、ご指摘のあった部分の修正をさせて頂いて、委員の皆様に、再度お示しをして、またご意見があれば、ご意見を頂いて修正という形になろうかと思いますが、何れにしろ、8月10日ぐらいには、最終的な決定をして、こういったものを県内、或いは県庁内の方に広げる啓発活動というのですか、そういった形で進めていきたいと考えています。以上でございます。

委 員 これは、知事の決定ということで、確定するわけですね。
事務局

はい。まとまりました意見を知事決裁という形になります。

また、先程、言いましたように、今6月なのにどうして8月という話もあろうかと思いますが、知事選も間もない状況であり、その間、知事が不在という形になります。その辺も考慮に入れての時期だと考えております。

委 員 7月28日は、委員方にご予定を頂いたけれども、一応は取り消しということで、良いのですね。
事務局 はい。7月28日は取り消しです。審議会は本日をもって、基本方針に関する部分は終了致しましたということでございます。
委 員 なお、今後とも、この審議会の委員方に。
事務局 今後とも、県の人権施策について、色々とご意見を頂きますようよろしくお願い申し上げます。
委 員

各委員の方で、特別に何かこの機会にということのご意見等がございましたら、お聞かせ頂きたいと思いますが。

特に、ございませんようでしたら、これで閉会させて頂きたいと思います。

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