第14回和歌山県人権施策推進審議会議事録

第14回和歌山県人権施策推進審議会議事録

第14回和歌山県人権施策推進審議会
日 時 平成15年10月29日(木曜日) 13時~15時半
場 所 和歌山市 アバローム紀の国
議 題

(1)人権施策基本方針総論について
(2)その他

出席委員

大畠委員 辻委員 月山委員 都村委員 中川委員 中谷委員 中村委員
西委員 村田溥委員 村田恭委員 柳瀬委員 吉澤委員

配布資料

(1)人権施策基本方針(案)
(2)基本方針(案)の概要
(3)今後の人権施策推進審議会のスケジュールについて(案)
(4)差別事件処理体制
(5)和歌山県人権侵害事件対策委員会設置要綱(案)
(6)差別事件の処理方法(市町村)(案)
(7)差別事件の処理方法(県の組織内で起こった場合)(案)

内 容

委 員

ただ今から、第14回和歌山県人権施策推進審議会を開催させて頂きます。

よろしくお願いいたします。

前回は第1章について各委員から貴重なご意見を賜りました。事務局では、それに対する修正案等を作成しているようでございますが、これは後日に回し、本日は第2章を中心にご審議を頂きたいと思います。

第1章についてのご意見は、総論全部の審議が終わった段階で、まとめてご報告をいたし、委員方のご意見をまた頂きたいと考えております。

それでは、第2章からご審議を賜ることにしまして、事務局で第2章の概要についてご説明願います。

事務局

9ページから第2章が始まりまして、「人権施策の推進方向」ということで、基本理念の達成に向けて、さまざまな人権分野に共通する施策について、「人権の視点に立った行政の推進」、「教育・啓発の推進」、「人権に関する相談・支援体制の整備」、「人権行政の推進体制等の整備」としてございます。

「人権の視点に立った行政の推進」については、県行政が行う全ての業務は、あらゆる分野で人権と関わっており、職員一人ひとりが人権行政の担い手であるとの自覚で、人権の視点で問題意識を持って業務を行う必要があります。その(1)では、職員の人権意識の高揚のための仕組みづくりや、職員研修の充実に努めるよう書いてございます。また、(2)としまして、各所属に人権施策推進担当者を配置して、常に人権尊重の視点から制度や業務の点検・見直しを行うなど、人権に配慮した取組を推進するとしてございます。

それから「教育・啓発の推進」ということで、(1)では人権教育・啓発の基本的方向を書いてございます。人権の意義や人権尊重、そして共に生きることの重要性について理性・感性の両面からの理解を深め、あらゆる場と機会を通じた総合的な教育・啓発活動をより一層充実していく必要があります。そのため、(ア)、(イ)、(ウ)、とさらに分けて記述してございます。(ア)としまして、国・市町村や関係機関等の連携による多様な機会の提供、(イ)としまして、日常生活の経験を取り上げるなどの効果的な方法の検討と実施、それから(ウ)には、人権教育・啓発に対する県民の理解の促進と県民の自主性の尊重に努めるように書いてございます。

「教育・啓発の推進」の(2)人権教育の基本的なとりくみでは、学校教育と社会教育が連携しながら自発的な学習と実践の促進を目指すこととしてございます。さらに(ア)の学校における人権教育、(イ)の社会教育とに分けています。(ア)学校における人権教育については、教育活動全体において幼児・児童・生徒が社会生活を営む上で必要な知識や態度を身につけることを通じて、人権尊重の精神を養うため、幼稚園教育要領や、保育所保育指針、新学習指導要領に基づきながら、(1)指導方法の改善のための教育実践や学習教材の調査研究、(2)社会教育との連携による体験活動や交流の機会の充実、(3)人権に配慮した教育指導や学校運営、(4)養成・採用・研修を通じての教職員の資質の向上を推進することを書いてございます。

次に、(イ)の社会教育では、自分の権利の行使に伴う責任を自覚し、自分の人権と同様に他人の人権をも尊重する態度や行動が県民の日常生活に現れるような人権感覚を育むと共に、全ての教育の出発点であり、人権形成を営む上で最も重要な家庭教育を支援するため、社会教育施設における取組として(1)から(4)まで書いてございます。(1)は、親の学習機会の提供などによる家庭教育の充実、(2)は学校教育との連携による多様な学習機会の充実、(3)は学習意欲を高める手法など指導方法の研究・開発、(4)は指導体制の充実でございます。

次に、「教育・啓発の推進」の(3)は、人権啓発の基本的なとりくみを書いてございます。人権啓発は県民の理解と共感を得られるものとする必要があることから、内容的には基本的な知識習得を図る啓発や、生命や個性の尊重を訴えかける啓発が求められており、また啓発方法については、年令や理解度に応じた啓発や、具体的な事例を活用した啓発、参加型・体験型の啓発などが求められています。本県においては、人権文化創造のための情報発信基地として設置した、財団法人和歌山県人権啓発センターの活動を中心に効果的な啓発活動を推進すると書いてございます。これを(ア)と(イ)に分け、(ア)は県民への啓発ということで、人権啓発センターが行う人権啓発事業や、各種研修事業、人権相談業務など、今後はさらに創意を凝らしながら内容の充実に努める。また和歌山県人権啓発活動ネットワーク協議会による啓発活動の充実を図る。(イ)としまして、企業等への啓発、従業員に対する人権研修の計画的・継続的実施を要請するとともに、その支援に努めることを書いてございます。また、公正な採用選考や、雇用の機会均等が図れるよう、国と連携しつつ啓発を推進するとしてございます。

(4)としまして、特定職業従事者に対する教育・啓発の充実・強化を謳ってございます。職場研修や各種の研修を通じて、公務員や医療・福祉関係者などに対する人権教育・啓発の充実・強化を図るとともに、研修指導者の養成や情報提供に努めると書いてございます。

(5)としまして、人材の育成と活用、人権啓発センターにおいて、講師団の充実に努めるとともに、地域・職場等の指導者の育成に努めると書いてございます。

(6)としまして、調査・研究の推進、人権意識の現状の調査、また分析などを通して手法や体系についての研究を進め、効果的な人権教育・啓発に努める。また、新たな人権問題に関する研究にも努めるよう書いております。

それから、(7)としまして教育・啓発の共通認識、今後も人権文化の創造を目標とした教育啓発を推進していくための共通認識として、8つの視点を踏まえ、人権文化の中に根付かせていくことに努めるということで、人権文化を創造するために「人権教育のための国連10年和歌山県行動計画」から和歌山県独自の部分を入れてございます。

それから、「相談・支援の推進」ということで、(1)としまして、相談・支援体制の充実・強化、また人権意識の高まりに伴い相談・支援体制の充実強化が求められていることから、以下のような取組を行うということで、(ア)、(イ)、(ウ)と分けて書いてございます。(ア)は、各相談員や関係職員の資質の向上に努めるとともに、各相談・支援機関のネットワーク化を図る。(イ)は、夜間・休日対応など相談機能とともに、国や市町村の機関・民間支援団体等との連携・協力を推進する。また、県民に対して各種相談機関の周知を図る。(ウ)は、DVや児童虐待などに対しては、一時保護機能と自立支援等の取組の充実と、障害者などの福祉サービスなどの利用に関する苦情対応や、判断能力の不十分な痴呆性高齢者などの権利擁護にも取り組むとしてございます。

それから(2)としまして、救済体制の整備として、人権侵害の被害者の公的救済や加害者の処罰は、国の機関の専管事項であり、国の人権擁護機関は、人権侵害一般を対象とした人権相談や人権侵害状態の除去や再発防止を行っているが、限界や問題点が指摘される中、国では新たな人権救済制度を検討しており、本県としては国に対し、早期に必要な措置を講じるよう要望する。また、県においても、国の新たな人権救済制度との連携の在り方や救済制度について検討する。なお、国の新たな救済制度などの組織が形成されるまでの措置として、地方行政が主体的に差別事件処理に取り組むための庁内組織を整備し、人権問題に識見の深い第三者の意見を聞きながら、迅速かつ公平な処理を行うと書いてございます。

それから「人権行政の推進体制等の整備」でございますが、(1)としまして、県の推進体制の整備ということで、全庁的な推進組織として(仮称)人権施策推進協議会を設置し、総合的な推進に努める。(2)としまして、財団法人和歌山県人権啓発センターの充実ということで、組織・機構の整備・充実やスタッフの育成・確保などの機能強化に努めるとともに、ホームページでの総合的な情報発信を行いながら、人権教育・啓発に関する事業のより一層の充実を図る。また、教育・啓発や人権相談を効果的・効率的に実施するため、関係機関やNPOとの連携・協力を図るとともに、これらのネットワークづくりにより、県民啓発組織の整備に努める。(3)としまして、国、市町村、関係団体等との連携ということで、和歌山県人権啓発活動ネットワーク協議会をはじめ、人権に関わる機関と連携・協力して人権に関する取組を効果的に推進する。国に対して、制度面・財政面での適切な支援等の要請を行っていく一方、市町村が取り組む人権施策について必要な助言や財政面での支援に努める。(4)としまして、県民、企業、NPO等との協働ということで、県民や企業、NPO等による自主的・主体的な活動に対しての情報の提供や助言を行うなど、その支援に努める。

第2章としましては、以上の点で書いてございます。

委 員 今、事務局からかなり詳しく説明をして頂きましたので、特に朗読はなくてよろしいでしょうか。もし、省略することについてご異論がなければ、早速、委員方のご意見を賜りたいと思います。
委 員 章立て、小節立てが多くなっていますが、2章全体について意見を述べても良いということなのですか、それとも各小節毎に順番ですか。
委 員 それでは、小節毎にいきましょう。2章の「人権の視点に立った行政の推進」というところから順に、ご意見を賜っていくことにしましょう。
委 員 基本的に、過去の例えば「人権教育のための国連10年行動計画」という人権教育についてのものや、その他にも文章があり、それらを拝見しておりますと、その要旨、要点を編集した内容と思われます。基本的に、個々の細かい点については、あえて反対しなくてはならない点はありません。ただ、私の場合、共通認識のところについては、かなり異論があります。あとは、言葉使いぐらいです。
委 員 今のところでは、他にご意見がないようでしたら、次の「教育・啓発の推進」というところで、ご意見や事務局に対するご質問、ご意見等ございましたら、お聞かせ頂きたいと思います。
委 員 質問ですが、(イ)社会教育の(4)指導体制の充実というのは具体的に、どういうことを想定されているのでしょうか。
事務局 社会教育施設などの充実という意味で書いています。
委 員 具体的には、どのようなことですか。
委 員 社会教育というのは、直接関わりのない団体もかなりあると思うのです。例えば、青少年教育をやっている団体、例えばガールスカウトもそうですが、そういうものまで対象に入れた指導体制の充実ということなのでしょうか。子どもを育てていく、一人の人間を育てていくという中で、学校教育・家庭教育・社会教育という3本柱で、人育てということは考えられています。その中の社会教育という取り上げ方は、これで良いと解釈してよろしいのでしょうか。
事務局 そこまでも含んでということです。社会教育と言えば、大変幅が広くなっております。それで、特に指導体制の充実ということで謳っているのは、やはり指導していく職員の資質の向上、あるいはそういった職員を育てていくという意味合いが強くなっています。確かに、先程言われた部分、私も昔から青年活動などをやってきましたから、そういうことも大事な部分でありますので、個人的にはできれば入れていきたいと思っていますが、特に謳っている部分については、指導者の養成です。
委 員

遠慮なしにご意見をおっしゃって頂くようにお願いします。

なお、今日は教育委員会からも、お見え頂いています。教育委員会からも色々ご意見をおっしゃって頂ければ、大変ありがたいと思います。

委 員 指導者といっても、誰を捉えて指導者というのか。改めて、そういう社会教育担当の指導者をつくっていくということなのでしょうか。私も社会教育に関わっているのですが、この指導体制の充実ということが、とても分かりにくいのです。実際にやっていく上で、どういうかたちで県が関わって下さるのか。
委 員 今のご質問に同感ですが、私はこの項目をこう理解していました。今、生涯学習ということが非常に言われています。生涯学習の充実とその指導体制という言葉がどうか分からないのですが、上の学校教育の(4)にも、教職員の資質向上ということがありますが、ここはそういう生涯学習という言葉が欲しいと思います。そう思いながら、充実という意味だろうかと読んでいました。
委 員

この部分の少し前から言えば、(2)「人権教育の基本的なとりくみ」の中で、組み立て方として、生涯学習という視点から、人権教育は学校教育と社会教育とが連携をするというかたちで書いています。(ア)に学校教育があり、一般的に今まで書かれていることから言えば、この(イ)のところは家庭教育が入ってきて、そして(ウ)に地域社会におけるというような、学校と家庭と地域という組み立て方をしながら進んできています。

ここで出てきているのは、委員がおっしゃったように、10ページの(2)「人権教育の基本的なとりくみ」の一番はじめに、「人権教育は、生涯学習という視点から、学校教育と社会教育が連携を図りながら」と書いています。それで、大きな分け方からすると、学校・家庭・地域と分けたのではなく、学校教育・社会教育とし、その社会教育を生涯学習という視点からという、一つ大きな学習をしていく場の在り方は、従来と変わっているのではなかろうかという感じがします。それが良いか悪いかは分からない。つまり、この生涯学習のかたちで書くと家庭教育の必要性が欠けてしまわないだろうかという思いがあります。だから、(イ)として、家庭教育をきちんと謳う。家庭とはどうあるかということを書いた方が分かりやすいかも分からない。生涯学習も、もちろん家庭教育と地域社会の教育との連携ですから、生涯学習というかたちで書いても構わないと思います。それで、(ア)に「学校における人権教育」があり、そして(4)が「教職員の資質の向上」とすると、社会教育は11ページの(イ)社会教育の1行目に「社会教育においては、生涯学習の視点から、公民館等の社会教育施設を中心に」ということで、施設を考えながら書いている。そうすると先程の12ページの(4)の、「このようなことから、社会教育施設において以下のような取組を推進する」ということだと、学校教育では、学校という施設で先生達の資質を向上するのならば、生涯学習というのが社会教育とすれば、社会教育の施設において職員、リーダーなどを養成していくという幅の狭いものだけしか出てこない。社会全体で、県民、地域住民、父母が関わっていこうということからすれば、ここに入りづらくなってくる。そういう理由で、ここの指導体制というのは、「社会教育施設において」と(1)の前で謳っているところから、施設における(1)、(2)、(3)の提供、充実あるいは研究開発があり、施設における指導体制を充実させていく、そこにいる人達をというかたちだけしか書かれていないということになる。ここの部分は、今の学校・家庭・地域というようなかたち、つまり家庭教育をもっと重視したかたちで書き直すのも一つの案です。また、生涯学習という観点から、家庭と地域社会を一括して社会教育とすることもある。これは教育委員会の、今後の社会教育イコール生涯学習というかたちからすれば、家庭教育がどのようなかたちで、今後、組み立てていくのかということとも関わってくるかも知れないとも思います。

委 員 今の各委員のご意見について、事務局はどの様にお考えですか。
事務局 今のご意見は、大変もっともなご意見だと思います。家庭教育が重要な役割を持っていることは、事務局としても十分に承知していますが、家庭教育に対して、行政としてどのような手だてを打てるかというのは、非常に難しいということでございます。そういうことで、家庭教育が円滑に、上手くいくようにするためには、その中心は親ですので、親が上手く家庭で教育ができるような社会教育ということもあり、4つのことが書かれています。親の教育をするために、社会教育施設において、どのような体制で学習の機会を与えるのか。指導体制についても、公民館等で社会教育が行われるわけですが、指導者の方々の技術の向上に、行政が努めていきたいということになると思います。
委 員 現在、この中で一番重要なのは、家庭教育だと思います。それはそれとして、次に、「社会教育施設において、次の取組をします」とあり、書かれている内容、(3)、(4)は指導方法と指導体制の問題で、中身はない。(1)と(2)の中身は、結局、親の学習機会の提供と親の学習機会の充実の2つです。それだけで良いのかという問題がある。今、むしろ、親自体を誰が教育するのかは別にして、非常に深刻な児童虐待がたくさん増えていますが、そういう親自身を教育するという問題と、それから親がいわゆる家庭教育、子どもに対する影響力を通じて将来的に役立つ人間をつくっていくということがあります。こういう点はあまり詳しくありませんが、ここに書かれている取組は内容から見て、少し貧弱ではないでしょうか。つまり親の学習機会の提供と充実、そのための指導方法の開発体制となると、親が学習さえすれば、問題が解決するということになりかねない。
委 員 話が飛びますが、家庭教育について、どういう場で、どういう方法で、親に対する教育・啓発を考えておられるのか。もう少し具体的な場面をおっしゃって頂けませんか。教育委員会の方でも結構です。社会教育といいますか、生涯学習の関係について。
事務局

県の教育委員会生涯学習課です。よろしくお願いいたします。

今のお話にあった、まずは社会教育施設でございますが、おっしゃって頂いたように、公民館あるいは図書館、同和地区にありました教育集会所などが社会教育施設になるかと思います。あるいは美術館、博物館等も社会教育施設になるかと思います。児童館などは、社会教育施設というよりむしろ、児童福祉施設という位置づけになるかと考えております。しかし、生涯学習は生まれてから亡くなるまでの全てのライフステージにおいての学習が対象となります。従って、学校の中での学習が、学校教育になりますし、地域あるいは家庭の中での教育が社会教育になると私どもは考えております。

今、おっしゃられた家庭教育の部分については、私どもとしては、家庭教育に対する支援ということになります。児童虐待の問題や、家庭において子どもをどう教育していくか、どう育てていくかについての学習を、どの様に支援をしていくかということになります。お父さん、あるいはお母さんに対する支援ということになります。人権の尊重を基盤に据えながら、どの様に子どもを育てていくかということについて、研修会などを行っておるところです。当然、家庭教育の中には、特に学校でございましたら、PTAがございます。PTAの方々に対する研修会で、そういったことも行っております。

委 員 一番最初の頃だったと思いますが、学校教育といいますか、総務学事課あるいは教育委員会の所管する施設に移るまでの間の、橋渡し的な意味における家庭の重要さというふうなことをおっしゃっいましたが、いかがですか。
委 員

この原稿には、社会教育施設における取組と書いてありますが、実際は、例えば子どもが生まれた時から、リスクグループというのですか、例えば望まないで生まれてきた子どもと思っている親にとっては、児童虐待がそこから始まる。あるいは育児ノイローゼになることがある。また、そういうこととは関係なく人権についての意識が低い親の場合だと、社会教育施設で催し物や学習機会があったとしても、出かけて行かないだろうと思うのです。だから、社会教育施設における取組は大事だと思うのですが、むしろそこへ行く人は、まだ意識がはっきりとして、人権についての考え方がある程度あるから行くということになると思います。本当の家庭教育、社会教育ということになると、それこそ子どもが生まれた時に保健師が家庭訪問する段階から、リスクファミリー、リスクグループを把握できるので、行政が家庭にアプローチしていく、入っていく方法を考える必要がある。そうでないと人権について意識が薄い親や家庭に対する教育、サポートにならないのではないかと思います。

ここでの社会教育の取組についても、教育施設における取組だけが目立っていますが、今、申し上げたように行政が家庭に入り込んでいくこと、保健師が行くのでも良いし、あるいは子どもが保育所・保育園に行ったり、あるいは就学時期になれば、教職員との繋がりの中で出てくることもあると思うのですが、そういう取組も考えないと底上げができないのではないかと思います。

委 員

今の点ですが、同和問題の時も、同和研修などに出てくる人は、かなり意識のある人です。ところが研修会に出てこない人がむしろ問題で、そういう人達に対して、行政がどういうアプローチをするのか。今、委員がおっしゃったことと同じ様なことを私も考えます。全てのコアになるもの、必ず通らなければならない過程があります。母子手帳の交付を受けたりする段階において、保健所などが家庭をつくっていく上において必要な知識を与えていくという方法は考えられないでしょうか。

研修会に出ている人は、本当はその必要のない人で、本当に必要な人は出てこない。そういう人達に対してどの様に研修していくのかについて、何か検討されておれば、おっしゃって頂きたいと思いますが。

事務局 特に、家庭教育については、子育て推進課とも連携しながら、妊娠時の母親に対する検診のおりに、研修あるいは、家庭教育手帳などを配布しております。妊娠時や乳幼児検診、3歳児検診などのおりに、家庭教育手帳や家庭教育ノートなどを配布して、家庭教育についての関心を深めて頂く。あるいは当然のことながら、子どもの発達や児童虐待のこと、あるいは人権尊重に基づいた子育てということについて、研修などの取組がされているところです。
委 員 人権という立場から、それが十分に行われているとお考えですか。
事務局 この部分につきましては、教育委員会だけではなく、子育て推進課と協力しながら進めていくことになります。十分かどうかということについては、答えにくい部分があります。ただ、現在のような児童虐待の非常に厳しい状況、連日、新聞を賑わすような状況を踏まえると、やはりそういったことについて、きっちりとしていかないといけないのではないかと考えております。
委 員 先程、ご指摘された点、つまり人権意識のある人が研修に来て、意識の低い人がほとんど来ないということ。それでは、どの様に手を打ってもお手上げの状態です。意識の低い人々に対して、その意識をどう引き上げるのかとなれば、結局(3)の「学習意欲を高める手法などの指導方法の研究・開発」に当たるわけです。この点については、今の話を聞いている限り、県も研究・開発不足で、その点をもう少しご検討をお願いしたいと思います。実際には、まだできていないが、こういうこともできるということがあると思います。現場を良く知らないので、具体的に言えないですが、そういう点を踏み込んで提案していく必要があるのではないでしょうか。そうでなければ、充実した人権に関する施策の基本方針になってこないのではないかという気がします。ですから、討論を聞いていましたら、問題点は、非常にはっきりしてきたと思います。まさに、今のやりとりのあった点が、社会教育の象徴的な問題ではないかと思います。
委 員 同和委員会の当時から、このことについて話題にしてきました。今、委員からお話を頂きましたように、一番重要なことだと思うのです。例えば、県庁内、教育委員会やその他の機関も全部含めて、県全体として取り組む組織、機関あるいは連絡会といったものが、あっても良いものだと思います。数年来、言ってきているのに、総務学事課あるいは教育委員会だということで、一体どこが取り組んでくれるのか。未だにはっきりしない状態だと思います。
事務局

お話を伺い、全くその通りだと思います。色々な部署における具体的な取組について、まだ十分申し上げることはできませんが、確かに言われることは、もっとものことだと思います。

先程、委員の質問について、はっきりと把握できなかったのですが、社会教育の中でも、施設に来られる人、あるいは来られない人の指導体制についての質問だったのでしょうか。それについても同じ様な問題ではないかと思いますので、一度、教育委員会と子育ての部分については、相談したいと思います。

委 員 先程、検診時の色々な教室・講習などについて、個人的にも関心があり、市町村で、直接検診を受けた方に聞けば、ここ2、3年、非常に充実してきています。このことは、非常に効果もあります。他府県で、この時に冊子を配るところと配ってないところとでは、その効果が子どもの発達段階に歴然と出てくる。県内でも検診時に読み聞かせをするところも出てきております。こういうかたちで、母親あるいは乳幼児に、非常に効果的な支援体制に力を入れて頂きたいと思っております。
委 員 家庭教育の方法、在り方ということに関してですが、それぞれ地域に、自治会などの団体があり、そこで回覧などを回して、今度こういう話があるから聞きに行こうと呼びかけることがあります。これは市町村から、講師を呼んだり、映画を持ってきたりということをやってます。それが一つです。もう一つは各振興局、特に保健所が中心となり、ここ数年精神保健福祉ボランティア市民養成講座ということで、障害に関係のない人、人権にあまり関わりのない人に対して、保健所が中心となり、年に4回シリーズ等を行って頂きました。段階をおって教育していきます。そういうふうに、やっていく方法はたくさんあると思うのです。やはり、県としても、方向性を出せば、保健所もどんどん進めていきますし、また市町村も、ご存知のように去年から精神保健福祉サービスの一部が保健所から市町村にゆだねられたということで、市町村も非常にやる気になっていることもあります。そういうことで、もう少し、ネットワークづくり、連携を強化していけば良いと思いました。
委 員

先程から保健所の話が出てきましたが、先日、若い母親との懇談会、小さなお子さんを育てていらっしゃる母親が多数集まった席で、その方達も、そのことを非常におっしゃっていました。子どもを産んで育てる中で必ず行く場所だと、産院の次に行く場所は保健所だ。だから、保健所で母親への啓発が直接届くように工夫をしてもらえれば、もう少しそういった情報をつかむことができるのではないでしょうか。母親がつかもうという意思がなければ、つかめないという部分があるというお話もありましたが、つかもうという意思を育てるということも一つです。それから、やはりつかみやすいような情報提供の仕方をもう少し工夫すればいいのではないかと思います。子育ての中で、保健所は必ず一回は通る場所だということを非常に強調していました。「今は色々な情報をたくさん置いているし、また情報の展示もされていますが、本当に興味を持たないことには、直接母親の心には届いていない。そうした情報を自ら手にしない母親に対して、もどかしく思っている。だから、もう少し何か一工夫がいるのではないか。」と言って下さった若い方がおられました。

それから、もう一つ、子育てに限らないことですが、家庭の中でのこと、例えば介護などもそうかと思うのですが、昔の隣近所で助け合う、情報を共有して助け合うという、地域の中で助け合うシステムをつくろうという動きが民間であるわけです。助け合い、支え合い、ふれ合いのグループづくりを色々と研究している。

例えば地域通貨などもその一つだと思うのですが、町おこしの方ではなく、福祉関係の地域通貨の勉強会を通じて、地域が非常に緊密になっていったという例も、聞いたことがあります。そういうふうに行政主導というよりも、むしろ民間のNPOなどが主導して、非常に成功している例もあります。やはり、家庭のある地域がどのような雰囲気なのかということが、とても大事になってくるのではないかと思っています。本当に行政主導でやって欲しいことと、民間にむしろ支援をしていくことで、先程おっしゃって頂いたような例でも、そういう面が大いにあると思いますが、その両方を睨んで、やっていく。そうすれば、ここに書かれている一つの言葉の意味が、この表現で良いのかどうかは別として、この3番目が次の4番目にかかる大きなヒントを含んでいるのではないかと思います。

委 員 先程から、教育の場に出てこない人に対する教育をどうしていくのかということについて、いくつかの話がありました。それと別に、もう一つ、これはいわゆる良い家庭かあまり良い家庭ではないかはともかくとして、この前のような19歳と16歳の少年の起こした事件や、色々な事件、例えば神戸の事件などを新聞等で見る限りにおいて、これは事件を全く知らない者があまり言うべきことではないですが、親や友達を何か簡単に殺してしまうというようなことが、社会全体の流れの中で出てきているような感じがします。これは、ある意味で感覚的なものですが、世の中で、以前とは少し違ったようなことが出てきているように感じます。学校教育に熱心な家庭も含め、色々な家庭があると思うのですが、今の時代、パソコンなどの情報技術が進んでいく中で、違った犯罪形態が出てくる可能性があるという気がします。これは学校教育だけでなく、家庭教育や社会教育、全部を含めた中で、人の命を大事にすることが必要でないだろうか。これが最も基本的な考えだと思うのですが、間違った行いにならない、至らないような教育が、社会全体として必要ではないだろうかと考えます。そのためには、どうすれば良いかということにもなりますが、あまり特別に考えることもいかがかなとも思います。しかし、色々な教育の指導、研究開発などがある中で、そういった点にも、ある程度配慮した教育が、これから必要ではないかと考えます。
委 員

少し細かいことですが、(ア)の学校教育の(3)に、人権に配慮したとありますが、今の(イ)の(3)は、いきなり学習意欲となっています。この部分にも、「人権についての」という一文があればと思います。前文に示してはありますが、そうして頂いた方が後にも続きやすい気がします。

社会教育の(3)のところのことです。

委 員

先程からのご意見は、この方針を構成していく上においてだけではなく、実質的に将来運営していく上においても非常に重要なことだと思われます。今の世の中では、命が、毎日のように踏みにじられている。こういうことは、研修に来る人あるいは教えてと言って来る人だけに与えておいて済む状態ではない。基本方針の策定の中でも、また、将来の運営の点からも、十分に検討して頂きたいと思います。

その次に移らせて頂きたいと思います。

委 員

共通認識のところ、15ページと16ページにわたる部分ですが、「人権文化を創造するための共通認識」、これは既に発行された人権に関する文章を引用したものですね。まず基本的にいうと、道徳・説教じみていて、あまり現実的でないと感じます。なぜなら、人権文化という概念自体は、まだ明確になっていないわけです。さらに、人権というものも、はっきりしているようで、はっきりしていないわけです。人権を人間の尊厳に位置づけて書いてある文章は、女性関係では、ほとんど見ないわけです。しかし、人権は、やはり人としての尊厳、その根本は生命の尊厳ですが、あまりに生命の尊厳を強調すると、人間の尊厳がかすんでしまうということにもなるわけです。そういう、人権とは何なのかという問題は、むしろ第1章で議論をすべき問題だと思います。これは中途半端な感じ、思いつきで書いたような感じがします。

人権文化を創造するという点が一つ、それから、人権文化を根付かせるということ、その2つのことを言っています。第一歩というのは、始まりという第一歩ですが、そのことを8つに分けている。人権が大事なこと、例えば、全ての人が人権を保障されるのはなぜなのか、なぜ人権は普遍性があるのかという問題を、はっきりとした方が良い。そうすれば、少数者の問題や世間体などの色々なことは、全て押さえることができます。

多様性の認識は、非常に重要です。それから、偏見の脱却も重要ですが、数行の文章を読んで、偏見が脱却されるとはとうてい思えない。例えば、ハンセン病元患者の差別事件について、新聞記事を見ても、実にひどいものです。何十年にわたる偏見が、ほとんど払拭されていない状況です。そういう事実があり、これは非常に偏見の虜となっている。

それから人権というものは、努力して勝ち取るものだという見解です。ここでは、人権が始めから与えられているものという感じがする。そして、人と人との関係において与えられる人権をどうするかというダイナミックな捉え方はされていない。また、人権で大事なのは、やはり社会的弱者の視線に常に立つという視点ですが、これはほとんどないわけです。社会には、あまり弱者という言い方は好みませんが、弱者があったり強者があったりする。しかし、人権があまり保障されていない人が、現実にいるという問題、そういう人の立場に立って、人権の問題を考えれば、もっと違った世界が開ける。いずれにしても、この文章を読むと非常に説教じみている。そして、人権教育と人権啓発にこだわりすぎている。極端に言えば、全部が人権の教育と啓発となってしまう。皆さんの意見も聞きたいのですが、第1章で、もう少し人権施策というものを総合的に捉えなければならない。この文章では、総合的にという箇所が、大体4ヶ所ぐらい出てきます。しかし、一つも総合的に捉えられているとは思えません。そういう意味で、個々の1から8までは、あまり取り上げたくないです。「偏見からの脱却」は始まりではなく、これは、むしろ人権というものを相当学習し、実践して、その中で分かってくるものだと思います。それから痛みが分かるという問題も出ておりますが、本当の差別の痛みが分かれば、こんな苦労はしないわけです。差別の痛みが分かるという説教を100回聞いても、少しも痛みが分からないと思う。それは社会的に弱い人の立場に立って人権を考えるという点を、もう少し徹底して、取り上げなければならない。共生は大事だと思いますが、例えば、自然と人間の共生と言うことに対して、自然は、人間のことなんか考慮に入れていないかも知れない。今、東南海地震などで、もの凄い津波が来るかも知れないと言われてます。富士山がいつ爆発するかも分からない。そういう自然の大きな脅威を前に、人間と自然の共生という考えで何ができるのか。人間は、自然を害している。自然破壊をしている。人間の住めないぐらい害している、そういう条件の中で、人間と自然の共生と言ってみたところで、始まらない。人間と自然の共生と言えば、問題は全て解決したかのような錯覚に陥っているのではないかというふうに思います。だから、ここは、一括して削除した方が良いのではないか。

委 員

12ページに戻りますが、人権啓発の基本的なとりくみということですが、11月15、16日にかけて、ビッグホエールで、人権フェスタを、財団法人和歌山県人権啓発センターが開催しました。私達も参加したのですが、今までなら、人権フェスタとこころのフェスタを別にやっていましたが、この2日間の様子をみて、本当に、市民参加型だと思いました。これは多いに評価すべきことだと思います。かなりの方が参加されていました。今までならば、個別に行っていた部分、関係者・その他というかたちでしたが、多くの方が入っているということ。かなり事前の準備や費用に大変ご苦労されましたが、結果的にすごく良いものでした。

ところで、和歌山県全体を見直しますと、紀南においても、このようなかたちで、啓発することも大事だと思うのです。そういったことが今後の課題ですが、大きな評価を得たという思いでおります。

人権啓発センターの職員の存在は、これから色々なかたちで取り組んでいく際の、核となるところだと思いますので、頑張って欲しいという思いです。

委 員 先程、言われた8つの項目のところですが、これは人権教育のための国連10年の県行動計画を策定する時に、各委員から持ち寄られて、検討してでき上がったもの、色々な立場から出てきたご意見でございました。それをここで引用されたというようなことだと思います。
委 員 17ページから始まる3の大項目は、やはり相談支援と救済の推進とすべきだと思います。
委 員 質問ですが、13ページの一番上に国・地方機関や市町村等とともに組織した和歌山県人権啓発活動ネットワーク協議会とありますが、どういう組織か、また過去における実績も含めて説明して頂きたいと思います。
事務局 和歌山県人権啓発活動ネットワーク協議会ですが、これは地方法務局が主体となっているもので、地方法務局と県と市町村と人権擁護委員連合会によって形成しているものです。
委 員 実際には、どういう活動をしているのですか。
事務局

啓発活動ネットワーク協議会の構成については、ただ今、説明したとおりですが、和歌山県の場合、県内全域を対象とする県協議会と地方法務局の本局管轄区域のみを対象とする地域協議会とがあります。また、他府県には例が少ないのですが、県協議会には、県内50市町村全てが構成員となっております。

活動内容につきましては、12月4日から10日までの人権週間を中心とした啓発活動、街頭啓発あるいは講演会等を中心として実施しております。年に何回か各市町村を含めた構成員を集め、研修等も行ってございます。

委 員

これが全県的なものの一つなのですね。本来あるべきかたちからすれば、組織的な活動の単位になっていると考えても良いものなのですか。

これは、十分機能していると思いますか。法務局の人権擁護委員会との関係で、バラバラになっているような感じありますが、どう考えていますか。

事務局 各市町村との繋がりを残すという意味では、今のところ、これしかないのかなと考えております。そのために、この組織は、是非、維持していきたいと思います。この組織が大きな事業をやっているかと言えば、事務局としても、やっているとは言いづらいですが、法務局が主体となってやっていると捉えています。
委 員 質問ですが、財団法人和歌山県人権啓発センターのような組織は各市町村に設けるのですか。もし、ネットワーク組織をつくっても、そこの協議事項を受けとめる組織がないのなら、その限りでは、無駄なことになります。むしろ、各市町村、各地域に人権啓発センター的なものをつくっていくことは、非常に大事ではないかと思います。ネットワークをつくっても、あまり機能はしないと思う。
事務局 人権啓発センターを財団法人としてつくったということは、民間としての働きという意味合いが強くあります。県が100%出資しているものではありますが、今、賛助会員の募集を行っているところです。先の土曜・日曜と開催した人権フェスタにつきましても、78団体の民間団体に参加頂きましたし、民間との繋がりは、徐々に広がっていると思います。これについては、県も大いに力を入れていきたいと思っていますし、今のところ県職員も5名を派遣している状況でございます。
委 員 県の組織と市町村の組織が、どういうかたちで連携していくかということが非常に重要なことと思います。かつて、同和委員会の場合には、各市町村とも同和委員会を持っており、県の同和委員会との間で連携を取りながら活動したことを念頭に置いて言われているのだと思いますが、それがなくなった現在、どういうかたちでやっていくのか。県のセンターだけで、実際上の市町村における啓発、教育啓発活動をどういうかたちで推進していくのか。これは市町村の独自性に任せて良いと言い切って良いものかどうかという点について、行政としてはどうお考えでしょうか。
事務局 当然、県と市町村も連携していきますし、人権啓発センター自身も市町村との間にネットワークづくりということで活動しております。人権啓発センター自身のPRも兼ねて、各市町村を廻っております。
委 員 各市町村が、どのような人権教育啓発組織をつくり、どのような方向を目指していくかということを、実は質問したいわけです。県の行政として、もちろん一つの中心となる財団をつくられることは良いです。実際に、人権啓発を維持するためには、ネットワークをつくるための各地域の組織は非常に大事だと思うのです。
事務局 市町村内での啓発組織は、今までは各市町村内に同和委員会がありましたが、13年度末で解散して、各市町村においては、現在、人権委員会、あるいは人権尊重委員会といった組織が組織化されてます。そういう組織は、いわゆる市町村における民間啓発団体という位置づけをしてまして、その団体と県のセンターとが連携をして、いわゆる県内隅々まで啓発できる体制づくりを目指しています。各市町村ごとに、県のようなセンターができるかどうかというのは、できるにこしたことはないのですが、なかなかそこまでは難しいだろうと思います。同じ様な考えを持ち、各地域での啓発の取組は一致団結して行っていく。先程言いました人権委員会等々との連携で進めています。市町村との連携についても、人権啓発センターの設立に際して、市町村からも出捐して頂いて、県内の組織をつくっていくのが今までの手法でしたが、今回は県だけの出捐としまして、継続性を持たせ、市町村からは賛助会員というかたちで参加して頂くという方向で進んでいるところでございます。
委 員 要は、県の啓発センターの持っている組織というものを地方に及ぼしていくための地方の組織、市町村の組織を考えているのか、どうかということです。時間的に、そこまで考えていないのではないですか。各市町村から県のセンターに対する支援をして貰うということが中心になって、県から市町村の啓発・教育啓発活動に対する支援を積極的に考えていないと言えば言い過ぎですか。この前から聞きたいと思っていました。
事務局 県から市町村へも啓発の補助金が出ております。
委 員 今の点について、特になければ、次に進みたいと思います。3の相談・支援の推進のところに入りたいと思いますが、それについての各委員のご意見はございませんか。
委 員

これは、やはり相談支援と救済の推進だと思います。救済は一貫して、本当に軽視されてます。しかし、国の人権擁護法案は、廃案になりましたが、そのうち必ず成立すると思います。あれは救済体制を非常に詳しく書いてます。ご存知のように、一般救済体制と特別救済体制について、非常に大小の膨大な条文からなっている。だから、あまり人権擁護法案を研究されていないというか、我々の審議会は、人権擁護法案を少し勉強した方が、本当は良かったかも知れないという感じがあります。それは今、廃案になってますが、いずれ提案されると思います。

それで、この(2)、つまり18ページの一番終わりのところですが、これは、後で提案されることと関係があると思うのですが、それは考え方の問題として、差別事件が起こった場合に、基本的に差別する人と差別される人がそう簡単に折り合わない、和解できないと思います。やはり、かなり真剣な討論を重ねなければならない。それを、行政が仲介するのか仲裁するのかは良く分かりませんが、後で処理委員会みたいなものをつくり、どう認定されるのかは分かりませんが、一つの差別事件が起こった場合に、これは差別であると、こういう内容だということを認定する。私は、そういう権利が、果たしてあるのかどうか極めて疑っています。行政が、何か規則をつくって、それでもって人権を処理しますと言う。法律をつくり、例えば人権擁護法案なら、人権委員というものをつくり、法に基づいて権限として、調査などもできる。しかも場合によっては強制的な調査を市町村もできる条文もあるわけです。そういう権限がないのに、差別事件が起こり調査しますと言ったところで、誰も来なかったらどうするのですか。第一、その差別性自体を認定することができる権限がないのではないかと疑っているのです。だから、例えば、意見を聞かれて、仲裁か調停か根拠のない委員会に出て、意見を述べるつもりはありません。それで、最後のところ、迅速かつ公平な処理とありますが、公平な処理ができるのかどうか。つまり差別者と被害者という差別事件の当事者がおり、第三者が法的な一定の後ろ立てもなしに、それを仲裁、仲介したり、差別と認定したり、説教したりということが、そもそもできるのかどうかという問題を考えなければならない。私はそういう意見で、別につくられても構いません。それから、事件は行政の責任で処理されたら良いと思うのです。わざわざ、こういう第三者に意見を聞く、処理する意味が良く分からない。簡単に言えば、恐らく、隠れ蓑になるのではないか。そういう感じを受けます。だから、差別事件に対する基本的な考え方が分からない。後程提案される時に、申し上げても良いです。もちろん提案されてつくったら良いと思いますが。私は、それに関しては協力はできないということです。

委 員 進行の関係で、人権救済という点を相談支援の中に包含せしめてご議論を願った方が良いかも分かりませんので、4のところも併せて、各委員方のご意見を賜りたいと思います。
委 員 17ページの3行目、「障害者や高齢者などの福祉サービスの利用に関する苦情対応や、判断能力が不十分な痴呆性高齢者、知的障害者、精神障害者などの権利擁護にも取り組みます。」とありますが、これは既に行っている権利擁護事業、県社会福祉協議会のことを言っていると思いますが、これは3年前から行っていますから、取り組んでいる状況です。ですから、文章的にはおかしいです。和歌山県内の8つの基幹的社協が、県社協の指導を得ながら頑張っています。より充実してきていると思います。ですから、取り組みますではなくて、さらに充実するようにしていくというかたちになるかと思います。
委 員 人権救済のご意見に対しまして、事務局の考え方のご説明を願います。
事務局

人権救済につきましては、難しい問題でもあります。各都道府県単位よりも、国において統一的な判断基準などが必要です。法的整備が必要であることは、以前から政府に要望しておりますし、また早急に立ち上げて頂くように、また人権擁護法の関係で実効性のある取組をしていくためには、都道府県レベルには必要であるということを要望し続けております。ご承知のように、成立いたしませんでした。そういう中で、地方行政として、生じた差別事件を放置して良いのかどうかとなりますと、そういうわけにはいかないということであります。法的整備ができるまでの間の暫定的措置として、地方行政としてできる範囲の取組をしていきたいということでございます。やむを得ない事情がありますので、不十分ながらも、その中で最善の取組をしていきたいと考えてございます。後程、提案させて頂くような考え方に立っております。

それで、この3番につきましても、救済につきましては、不十分な取組であることは、十分に承知しながらも、やむを得ない事情があるということでご検討頂けると思います。国で法的整備を進めることについては、県としまして引き続き要望していきますが、実効性のある取組が見えない中で、それまでの間、どういった対応ができるのかということについて、ここに記述しているつもりでございますので、その点よろしくお願いしたいと思います。

委 員 不十分ということを聞いているのではなく、そういう差別事件を調査して、一定の認定を行う、つまりこれは差別であるとか、ないとかを認定する権限があるのかと問うているわけです。しかも、この審議会につくるのですか、提案されていることは。一定の条例の根拠もないし、どういう立場で、そういうことができるのかということもあるわけです。だから、行政がやるのならば、それは、その責任でやれば良い。行政の組織内の事件まで、第三者の委員も入った委員会の意見を聞くのは、どういうことなのですか。なぜ、行政だけの責任で処理しないのですか。

事務局

後程ご説明しようと思っていたのですが、基本的には行政が主体となり、行政の責任のもとに取り組むわけですが、より実効性のある取組をするには、どうすれば良いのかということで、学識経験者である審議会の委員方のご意見をお伺いしながら、行政が主体となって進めるという考え方でございます。行政の中で、密室的な取組ではなく、開かれた取組をするためにも、委員方のご意見を伺いながら、行政主体で進めていくと考えているつもりでございます。
委 員 密室か開かれたかというところが問題になって、人数の問題ではないです。行政がこういう責任を持ち、こう認定して、こう処理しますと発表すれば、それが公開です。密室性がなくなる。そういうことをする権限、根拠があるのかどうか。国でも、人権擁護法案をつくって調査もやるわけです。これは、ある程度、強制力があり調査もできると思います。そういうふうに、非常に慎重に扱っているわけです。それが、県が内部組織をつくれば、どうしてそういう権限が出てくるのですか。憲法で侵すことのできない永久の権利、あるいは理念だと思いますが、そうすると差別を受けた人が、それなりの反応、つまり抗議をすることは当然です。差別をした人は差別をしないと言うかも知れない。それと同じで、行政が入って、一体何をするのですか。
事務局 具体的には、本来の目的である被害者の救済には、なかなか直接的には難しいですが、加害者に反省を促すことによって間接的に被害者の救済に当たることになるかと思います。
委 員

そういうことを言っているのではないです。加害者であると認定するわけならば、その認定ができるのかと言っているのです。ある人が加害者である、差別事件の加害者であると認定して、その裏には被害者がおるわけです。こういう被害を受けたということを認定して、だから加害者が差別したことを認定して、それからどうするのか知りませんが、啓蒙活動を行うのかも分かりませんが。

それで、認定の権限があるのですか。例えば、当事者を抜きにするならば、なおさらそう思いますけれども。

事務局 権限という面では、はっきり言ってないのではないかと思います。ですが、行政としてできる範囲で、加害者と思われる人が反省もしていると言うことであれば、そういった面で、行政として取組を行い、間接的に被害者の救済につなげていくことになります。
委 員 加害者が認めているのならばともかく、問題を認めていないのならばどうするのですか。
事務局 それは、限界であると思います。
委 員

できないわけですね。大部分の加害者が、知らないということもあるのではないですか。普通は、まず認めないですよ。始めからやりましたと言って、裁判で罪を認めるように、差別を認めたことはほとんどないです。例えば、ハンセン病の熊本の事件でも、当然のように拒否しています。本当の意味で、反省したかどうか分かりません。そういうことを言っているのです。

差別事件というのは、非常にデリケートな点もあるわけです。公権力による人権侵害は分かり良い。しかし、私人と私人、または市民と市民との間における差別事件は、非常に難しい。法律をつくったとしても、解決しないかも分からない。しかし、法律をつくるとすれば、それは、社会的に許し難い行為として認定するという意味であって、それはやはり被害者の救済に非常に役立つということもあります。恐らく、これは、いわゆる隠れ蓑的なことを考えているではないかという気がします。特に第三者の委員方の意見を聞いて、委員方の意見ですと言うためではないですか。

委 員

今のご意見は、委員のご意見として承っておきます。なお、これについて、後程、人権侵害事件対策委員会についてご説明があるようです。その段階で、また重ねて、ご議論を頂くということにして、調査について、確かに調査権限がどこにあるかというところについては、やはり調査対象となる人に対する、ある程度の拘束力のようなものが必要ではないかと思われますし、そういう意味では、条例化ということも検討をする必要があるかも分かりません。これも、当局でも検討されているだろうと思います。

その他、この4の人権行政の推進体制等の整備も含めて、委員方のご意見を賜りたいと思います。

委 員

私は、委員がおっしゃった「県や市町村に、そういう権限があるのかどうか」ということと、逆かも分かりません。冒頭の18ページの一番上に人権侵害の被害者の法的救済や加害者の処罰は国の機関の専管事項であると書いています。確かに、処罰は国の裁判事項であり、地方公共団体の権限ではありません。しかし、果たして、法的救済の全部が、国の専管事項であり、地方自治体が法的救済をすることができないのかと言えば、地方自治法の解釈から言っても、条例は必要だと思いますが、条例をつくり、一定の被害の相談を聞いて、調査をし、それを法的救済というかどうか難しい点があるかも分からない。しかし、例えば、勧告をするといったことは地方自治体としてもできるだろうし、実際、やっているところがあります。子どもの人権の関係だと、条例をつくり、地方自治体レベルで、調査を行い、勧告を行っているところがあるわけです。だから、法的救済は国の問題で、地方自治体は何もできない。そして、国には要請するとしか書いていないような感じがして、非常に消極的だという気がしました。

確かに、人権擁護法案は、国で検討されているし、いつか制定されることは、間違いないと思いますが、少なくとも、今は廃案になっているし、今後どうなるのか、まだ分からないというレベルです。人権救済は国の機関の問題であり、地方自治体としては、どうしようもないという雰囲気で書くのは、いかがかなという感じがします。私は、場合によっては、差別事象だけを取り上げるのが良いとは思っていませんが、条例をつくって、調査、勧告を行うという権限を与えて行っていく。そして、調査についても、必要な範囲で調査に応じることを義務づけることも必要になってくるのではないかという気がしてます。

委 員

ありがとうござしました。

今の点についてですが、処罰と救済を同列に扱う、同列に扱ったわけではないと思いますが、表現の仕方が、いかにも同列に扱っているような受けとめ方もできなくはないようです。確かに、全部を国に任せるという状態のようにも受けとめる恐れがあります。この点について事務局で、ご検討をお願いします。

委員:今の意見に賛成です。この節(2)救済は、全面的に書き換えを求めます。それで、この第2パラグラフ、これは国のことか、県のことか何か分からない。第2パラグラフの、誰がどうかということが分からない。これは、もう一度検討されて、書き換えて欲しいと思います。

委 員

委員の言われることと違ったことを言っているのではないということですね。なお、条例化ということが、必要になってくるだろうと思われます。ある段階において、審議会の意見として、国が答申に基づいて法を整備したのと同じ様に、審議会の意見に基づいて、条例化と言うことも、是非考えなければいけないのではないかと思われます。また、後日検討して頂くことにします。

4の推進体制等の整備ということを含めて、ご意見ございませんでしょうか。

委 員

最近、具体的に思うのですが、色々な要素が複合的に絡まった人権問題を抱えた人、子どもで障害者であるとか、病気を抱えて女性でというようなことが増えていると思います。その場合、窓口はあるのですが、たらい回しにされることが多いと聞きます。そういう場合、人権啓発センターができているのですが、行政でも横の連携を取りながら、複合的な問題を抱えた方を救うという視点も、これからは増えてくるのではないか思いますので、お願いしたいと思います。

もう一点は、救済の大切さを痛感いたしました。差別されていた人が、あまりの苦しみから逃れるために、今度は自分で差別を起こした、差別者に回ってしまったということに遭遇しました。一般的に、人間はどちらかということではなくて、色々な要素を抱えて生きていると思うのですが、色々な学習の大切さも痛感したことがございました。そういう視点も私達は、忘れてはいけないと思っております。

委 員 教育委員会の方がお見えなので、申し上げたいと思うのですが、かつて同和委員会があった当時、同和委員会の色々な活動について、教育委員会が濃厚に関与されておったと思います。同和委員会での色々な予算やその他の活動についての説明会にも必ず教育委員会が出てきておられた。そして、教育委員会としての考え方等も述べられた。やはり、そういうことについて、人権教育・啓発を県組織で進めようとしている時に、教育委員会として、県行政の中に合うかたちで、我々との何らかの密接な関連性を考えられないでしょうか。今日はこうして、お越し頂き、非常にありがたく思いますし、先程からご意見も頂戴して、大変嬉しく思いました。こういう機会が、やはり教育委員会としても必要ではなかろうかということも考えます。我々からしても、教育委員会は別の組織でありますが、別の組織だからということで立ち退いて良いものか。特に人権の問題となれば、教育委員会としても、非常に重要な関心のあるところだと思いますので、その点についてのお考えを承りたいと思います。
事務局 委員のおっしゃられる通りだと思っております。当然、教育委員会の人権教育啓発は、県全体としての取組の一環というかたちで考えております。今日は、こういうかたちで参加いたしましたが、皆様のご意見をお伺いしながら、教育委員会としても、どういうかたちでの人権教育啓発が大事なのかということを考えていきたいと思っております。当然、私どもとしても、具体的に人権施策基本方針ができれば、それを踏まえながら、学校現場、社会教育の中で人権教育をどう進めていくのかについて、方針なりが出てくるのではないかと考えております。ですから、このような場に参加して、色々とご意見を頂きながら、私どもの考え方も説明させて頂きたいと考えております。
事務局 私どもも、是非、教育委員会と一緒にやっていきたいと思っております。
委 員

是非とも、教育委員会から、我々の色々な活動についてご意見を賜りたい。我々からお願いという機会を持つのには、やはり審議会が非常に重要な場だと思います。これが教育の独立性に関連していこうとなどとは、少しも思っていませんし、県内の人権意識の向上を願うために申し上げているので、その点についてご検討を賜りたいと思います。

それから、もう一つ、推進体制等の整備ということですが、かつての同和委員会で言えば、審議する立場のものと活動する立場のものを兼ね備えていたわけです。ところが、現在では、審議会という審議する立場と活動する立場のセンターの2つに振り分けたと言うことになります。同和委員会を解散し、2つに振り分ける時に問題になったことが、行政の在り方として、県が人権教育啓発に対してどのくらい熱心に取り組んでくれるのかと考えた時に、体制についてはある程度考えてくれるだろうが、果たして予算についてかつての同和委員会の当時と同じ様に、県行政として、どの程度まで本腰を入れて取り組んでくれるかということがありました。これが、あまり体制の中へ入っていない。これは別の問題だということかも分かりませんが、その点については、どうお考えでしょうか。

事務局 同和委員会の当時のようには、いかないかも分かりませんが、私どもとしてはできる限り、努力してやっていきたい。特に、教育啓発の面では、予算の上でも充実させていきたいと考えておりますし、知事もそういうことを言っておられました。中身が整えば、その点についても、十分に応えて頂けるのではないかと思っています。
委 員 是非とも、予算をしっかりと獲得して頂けるようにお願いします。
委 員 審議会システムとなり、予算が多ければ多い程、良いのですが、県の責任は増えていると思います。その点を自覚されているかどうか分かりませんが、審議会で討議して、これを形の上では知事に答申することになると思います。その中で、どの点を施策として実際に実行するのかは、知事と県の責任になっているのです。だから、人権施策の実施上で、全責任を取らなくてはならないということです。その点を十分にご自覚願いたいということと、やはり審議会は、調査費や色々な費用が必要だと思います。だから、もちろん多ければ、多い方が良いのだろうと私も思います。ただ、審議会委員の個人的な立場かも知れませんが、大いに、頑張って頂きたいと思います。
委 員 第1章と第2章の両方にわたることかも分かりませんが、前回の審議会で発言をさせて頂いたおりに、第1章の1のところ、ここでは1ページですが、「思いを一つにして共に生きることを意味」という文章に対して、共生が人権を推進していく上でいかに大切な概念であるかについては、共通の理解となっていますが、多様性の容認という言葉が、2章の最後の共通認識の一個として挙げられておりますが、その前提として、違いを認め合う、多様性の容認と同じ意味の言葉ですが、その重要性を、もう少し強調していきたい、されるべきではないのかという提案をさせて頂いたと思います。それについて、委員方にご賛同頂いたという認識に立つのですが、それが、どの様に反映されたのかについてお答え頂きたいと思います。
委 員 これについては、事務局で現在検討して頂いております。総論を全体として修正した段階で、一括して皆様にご報告申し上げて、ご意見を賜りたいと考えておりますので、ご了承を賜りたいと考えております。
委 員 途中経過であるということですね。この文章は、全体の会議の内容が反映されて、その都度、変更になっているわけではないのですね。
事務局 前回の審議会から今回の文書を発送するまでの間で、前回の審議会の意見を踏まえて第1章を修正するのには時間的に問題がありました。送らせて頂く時には、前回の審議会の第1章については、修正を加えず送ってございます。前回、全体を見なければ、分からないという意見もございました。まず全文を示し、そして最後まで意見を頂いた上で修正を加え、再度ご審議をお願いしたいということでございます。
委 員

作業のプロセスについて、了解いたしました。

もう一つ、付け加えさせて頂くと、第2章の最後のところで挙げられている共通認識の8項目は、行動計画10年の委員会で既にお決まりなので動かせられないものなのかも知れませんが、一つひとつを読み砕いていくと、同じレベルの概念ではないものが羅列されているというふうに理解をします。ですから、このようなかたちで表現していくことが、的確かどうか。具体的には、例えば8番は、一番の上位概念になるのではないかと思います。また、多様性の容認という、先程来強調させて頂いた部分は、それに継ぐレベルの話ではないかと考えています。それ以外のものと、並べていくということの危険性というのを少し感じます。

委 員 9ページの「1(2)制度や業務の点検・見直し」というところですが、各所属に人権同和施策推進担当者を配置してとなっていますが、これは、具体的にはどうされるのですか、ご説明をお願いします。
事務局 これは、各所属に、人権同和施策推進委員というものを配置してございます。ただ、県内全てではありませんが、本庁と主な機関には、全部配置しております。元々、職場研修員というものは、もちろんおりますが、人権同和施策推進委員という意味で言っています。
委 員 各所属というのは、課を指すのでしょうか。
事務局 課室の単位です。
委 員 他に、ご意見ございませんでしょうか。ないようでしたら、この第2章についての審議は終わらせて頂きたいと思います。それでは、次の議題、その他のところで、今後の人権施策推進審議会のスケジュールについて、また先程から問題になっている人権侵害事件対策委員会の2つについてご説明お願いいたします。
事務局

お手元にお配りしています資料No.2でございます。以前にご承認頂いたスケジュールについては、3月31日ぐらいのでき上がりを予定しておりました。今日は、11月25日ということですが、以前は12月ぐらいで中間取りまとめをしまして、1月からパブリックコメントを実施するという予定でございました。しかし、日程的に厳しい面があると考え、審議会を2回分、増やしております。期限を、大体7月下旬に延ばしています。

それから、今までについても、事務局は原課とは最初にすり合わせをやっていますが、次にある程度まとまったところで、再度、原課とすり合わせをやっていきたいということもございます。この改訂のスケジュールで、是非お願いしたいと思っております。よろしくお願いします。

委 員 この12月19日から2月初旬なっているのは、かなり開いています。今の原課とのすり合わせの関係ですか。
事務局 はい、そうです。この間に、色々と作業をしていきたいと思っていますので、事務局に、お時間を頂けたらありがたいと思います。
委 員 こういうことで、スケジュールの変更をいたしたいと思いますので、ご了承、願いますか。ありがとうございます。
委 員 この間のアンケート分析については、どうなっていますか。
委 員 アンケートの結果、その後の分析の状況についてご報告を願います。
事務局 この前の審議会で、単純集計の分だけをご覧頂きましたが、今、分析をしている最中でございます。できましたら、早急に出していきたいと思います。
委 員 この基本方針を策定する上において、もう一度、ご検討を願った方が良い資料かも分かりませんから、是非ともできる限り急いで頂いて、十分なものでなくても構いませんから、各委員にある段階のものを配布願いたいと思います。
委 員 クロス集計が、非常に重要なのですね。だから、重要な部分を、是非クロス集計して出さないと、単純集計だけでは、これは多いこれは少ないとだけになってしまう。
委 員

それでは、資料2のような方向で、スケジュールを変更させて頂くことに、ご了承を頂いたものとして、事務局で処理させて頂きます。

次に、人権侵害事件対策委員会について、先程、色々と意見が出ましたが、これについての事務局案をご説明願います。

事務局

先程も、色々、ご質問を頂く中で、ある程度、お答えしたわけでございますが、資料3をご覧頂きたいと思います。先般、お願いいたしましたのは、この図の左半分で、基本的に差別事件が起こりましたら、市町村対応ということになっております。左側の大きな四角の中の空白の部分でございます。これが基本的な取組ですが、案件により、広域的に県が取り組むべきものが出てまいります。そういった場合には、県が庁内組織として、差別事件処理対策会議というものを設置し、主体的に取り組むということです。構成メンバーは、本庁担当課以下、関係機関までの合計6者が主体となって、取り組んでいくということで平成14年度以降来ております。この取組をより適切、迅速、効果的なものにするために、人権侵害事件対策委員会というものを設置して、ご意見をお伺いしながら進めてまいりたいと、先般ご説明いたしました。この人権侵害事件対策委員会は、本審議会の小委員会を以て基本的にお願いしたいと考えております。案件によりましては、残りの10人の委員の中から、何人か加わって頂くことも、会長の考えにおいて、あり得るということでございます。

まず起こったことが、差別事件、人権侵害として取り組むべき案件かどうかのご相談をさせて頂いて、取り組むべき案件に当たれば、その後の処理計画などは県行政でまとめまして、委員方のご意見をお伺いながら進めていきたいということでございます。最後に報告書について、どの様に公表していくか、また市町村にどの様に通知をし、今後の啓発として活かしていくのかというようなことも進めていきたいということです。左半分については、既に、審議会でご了承を頂いているところでございます。今回お願いしたいのは、右半分の県の組織内での事件、具体的には県職員が差別事件を起こしたり、また県の施設内で落書きといったものが考えられるわけですが、その場合に左の対応ではなく、人事・考査室を中心に、調査対策委員会を設置して、所属課室長から組合本部などの8団体からなる委員会を立ち上げ従来から取り組んでいるところです。このような県組織内で起こった案件につきましても、先般、ご了承を頂きました人権侵害事件対策委員会のご意見を賜りながら進めてまいりたいという追加の案件でございます。同じ様に、処理計画などをつくって進めていくわけですが、その折々に委員方のご意見をお伺いしたいということでございます。

3の2に、ご了承を頂いていた件も含め委員会の設置要綱案を付けさせて頂いてます。名称は和歌山県人権侵害事件対策委員会でございます。第2条には(1)として、広域として取り組むべきもので、差別事件対策会議を設置して、迅速、効果的な解決をする。(2)につきましては、調査対策委員会のことを書いてございます。目的につきましては、そういうことです。業務につきましては、第3条で、(1)につきましては、広域的な、県として取り組まなければならないケースについて、対策会議からの諮問に対して、意見を述べるという業務、それから、(2)につきましては、県職員が当事者となるケースについての調査対策委員会からの諮問に対し、意見を述べる業務、それから、第3番目に、その他、両会議から必要と認める業務につきましてご指導して頂きたいという3つの業務をお願いしたいと考えてございます。組織につきましては、先般からも議論がありましたように、差別事件処理は、大変、重要な任務でございます。この審議会は、条例設置に伴う審議会であり、人権施策に関し、最高の位置づけの委員会であります。その委員会と上下関係であっても困ります。どちらも重要な案件であることから、小委員会の委員で以て組織して頂くとことをご了承頂きました。案件によっては、会長のご指名により、必要な時には他の委員に加わって頂くという組織で、考えてございます。役員につきましては、小委員会の会長が当たり、副会長は会長のご指名によるということでございます。会議につきましては、会長が招集し、その議長となります。そして必要に応じて、関係委員の出席を求めて、意見を聴いて進めていくことも明記してございます。事務局は、人権政策課、事務局長は人権政策課長が、事務局次長には副課長が当たるということで、まとめてございます。追加提案になりますが、よろしくお願いしたいと思います。

委 員 別に、こういう委員会をつくることは反対してませんよ。ただ、私は、参加しないというだけです。もし、採決されるのなら棄権をいたします。
委 員 これは法律が正式に決まるまでの間の暫定的な組織、処置ということですね。
事務局 そうです。地方行政として責任を持った処理をしていくことは、行政だけでは不十分だということを、各方面からもご指摘を頂いております。ベストではないかも分かりませんが、ベターな選択をしたということで、学識経験の方のご意見を聴きながら進めていくということです。色々なご意見に十分に応えられていないかも分かりませんし、ご無理をお願いする小委員会の委員方を始め審議会の委員方に根拠がない中で、どうのようなことができるのかということもご意見を頂きました。しかし、行政としても何らかの対応していくことは、避けて通れないかなと思っています。何とぞ、委員方のご協力、ご支援をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
委 員 いかがでございましょうか。ご了承を願えますでしょうか。また、ご了承を頂くとしても、こういう点を検討する必要があるというご意見がございましたら、是非承っておきたいと思います。特になければ、これとしてご了承を賜るということでお願いいたします。
委 員 私は、棄権ですから。
委 員 委員は、棄権されるということですね。
委 員 反対するのは、やはり具合が悪いので棄権です。
委 員 遠慮せずに、反対とおっしゃって頂いた方が良いのですよ。
委 員 棄権です。ただし、この4の差別事件で、非常に不当な決定を出される可能性がないことはないと思うのです。その時は批判の自由を利用しますということを改めて申し上げているわけです。棄権と批判の自由ということです。当然、第4条の委員にどうかと言われても、私は参加いたしませんので、よろしくお願いします。
委 員 そういうことですから、この案件については、委員が棄権されるということで、他の委員方にはご了承を賜ったということで、事務局の方で処理して頂けますか。将来のことですが、先程、言われたように、あくまでも行政が主体だということです。この人権侵害事件対策委員会という名称辺りも、また検討して頂くことにして。
委 員

いずれ、人権擁護法ができると思いますが、こういう機関は、条例をつくってきちんとやるべきです。ただ、人権擁護法がどうなるか分からないので、条例をつくるとなれば難しいと思います。法の成立まではできないと思いますが、こういう機関をつくる必要がないと思います。やはり、県が隠れ蓑に使わないことを希望します。

この人権侵害事件対策委員会は、意見を聴くだけなら、別に取り上げなくても良い。何のために意見を聴くかということがありますが、非常に微妙な意見が出てきます。その判定を仰ぐようなことではダメです。もっと、県として主体的にやって下さい。特に、県外の組織の人が、そういう事件を起こした場合は、もっと主体的にやる必要がある。あちらこちらを見て、誰かの意見を聞いて、救いの手を出しても、誰も救ってくれないと思います。

委 員

差別性の認定というのは、なかなか難しくて、かつて事件があった時に、同和委員会自身で、差別性の判定をしたらどうかというようなことを言ったことがありました。なかなか難しい問題だと思います。

それでは、この運用について、ご検討を頂くということで、この件については、ご承認を賜ったということで処理して下さい。

委員方にご審議を賜ることは、他にございませんか。

事務局 事務連絡になります。次回の審議会の日程でございますが、12月19日の金曜日、13時からこの場所におきまして、ご審議をお願いをしたいと考えてございます。それから、先程、審議会のスケジュール変更をご了承頂きましたところですが、スケジュール表では、2月初旬に入ってたかと思います。この日程調整につきましては、また後日、郵送等を使い、調整させて頂きたいと考えてございますので、ご協力をよろしく願いたいと思います。
委 員

日程調整については、できる限り早い時期に調整して頂きますか。

それでは、本日の審議は、これで終わらせて頂きます。長時間ありがとうございました。

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